子宮頸がんの多くは検診によって発見され、精密検査を経てがんを診断します。そのため、定期的に検診を受けることが非常に大切です。また、検診では「クラス分類」「ベセスダ分類」と呼ばれる分類が、がんと診断され実際のがんの広がりを調べるうえでは「ステージ」という分類がそれぞれ用いられています。
今回は子宮頸がんの実際の検診、検査の流れや、それぞれの分類の違いについて、国立病院機構大阪南医療センター産婦人科医長の金村昌徳先生にお話を伺いました。
子宮頸がんの検査には大きく分けて2つの種類があります。
<子宮頸がんの検査>
まず細胞診ですが、こちらは子宮頸がんの可能性の有無を調べるスクリーニング検査として用いられます。いわゆる子宮がん検診はこの細胞診にあたります。子宮頸がんの検診はがんの進行が比較的ゆっくりであるため、2年に1回程度でも十分に効果があるといわれています。
細胞診は専用の器具で子宮頸部の細胞を採取します。この採取には綿棒や柔らかいブラシのような形状の器具を使用するため、痛みはほとんどありません。採取された細胞は顕微鏡によって観察され、それを元にして検査からおよそ2週間以内に検査結果が明らかになります。細胞診の判定は「クラス分類」「ベセスダ分類」によって行われます。
細胞診でがんの恐れや所見があった場合、次に行われるのが精密検査です。精密検査では「コルポ診」「病理組織診」の両方が行われます。腟拡大鏡「コルポスコープ」を用いて子宮頸部の状態を詳しく観察し、病変と見られる部位があった場合には組織を採取し、顕微鏡で観察するという方法です。
病理組織診では所見ががんであるかどうか、がんであった場合に広がりや転移の様子はどうかを確認します。もしがんであった場合にはこれらの検査に加えてMRI検査やCT検査などを行い、がんの広がり、転移の有無などを確認したうえで「ステージ」を確定します。
上記のように、子宮頸がんの検査にはクラス分類、ベセスダ分類、そしてステージと3つの異なる分類が用いられます。ここではそれぞれの定義や違いについてご説明します。
クラス分類とは、従来用いられてきた子宮頸がんの細胞診の結果を5段階に分けた分類です。
クラス分類は比較的大まかな分類であることが特徴です。また、子宮頸がんの原因がヒトパピローマウイルスであることが明らかになった2008年以降は、クラス分類では判断しきれないケースも生じてきたため、新たな分類を作成する必要がありました。
そこで登場したのがベセスダ分類です。ベセスダ分類は細胞診により細かい推定病名をつけ、長期的に観察していくための手段です。
子宮頸がんはヒトパピローマウイルスの感染から数年〜十数年を経て徐々にがんが発生していきます。しかし、感染しても多くの場合には一過性の感染となり、一定の期間を経て細胞から排除されます。ベセスダ分類ではヒトパピローマウイルスのこのような特性を加味したり、より細かな推定病名をつけたりすることによって精密検査が必要な方の振り分けをより明確にしています。ベセスダ分類では「ASC-US(アスカス)」以上と判定された患者さんが精密検査を受けるようにすすめられます。
クラス分類・ベセスダ分類は現在の日本の医療機関では併記されることが多く、両方が同時に用いられることの多い分類です。
上記のクラス分類・ベセスダ分類によってがんを疑うような所見が見られた場合に、精密検査が行われます。この精密検査によってがんが確定した場合、さらに詳しい検査を行いがんのステージを確定します。子宮頸がんのステージ分類は下記のとおりです。
独立行政法人国立病院機構 大阪南医療センター 産婦人科 医長
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