子宮がん検診とは、主に子宮頸(しきゅうけい)がんの早期発見を目的として行う定期検査のことです。

子宮がんには、子宮頸部に生じる子宮頸がんと、子宮体部に生じる子宮体がんの2つの種類があります。各自治体(市区町村)が実施する子宮がん検診とは、通常の場合は子宮頸がんの有無を調べる検診を指し、子宮体がんの検査は行われないことが多いため、注意が必要です。

子宮頸がん検診では20歳以上の健康な女性を対象に、2年に1度の間隔で受けることが推奨されています。

早期の子宮頸がんでは症状が現れないことが多く、進行すると不正出血や月経不順などの症状がみられることがあります。このような症状がある場合は、検診のタイミングを待たずに医療機関を受診して検査を受けましょう。

  • 性交渉経験がある
  • 妊娠・出産回数が多い
  • 喫煙の習慣がある

子宮頸がん検診では、まず問診票に生理周期や直近の生理の状態(月経痛の有無、経血量など)、妊娠歴、閉経年齢などを記載し、診察室で医師の問診を受けます。その後に診察台の上で内診・視診や細胞診を行い、子宮頸がんの可能性を調べます。

内診・視診

内診とは医師が直接患者の体に触れて行うもので、視診は目で見て診察するものです。内診では医師が片方の指を腟に入れ、子宮や卵巣を触って状態を確認します。視診では腟内に腟鏡(クスコ)という器具を挿入し、おりものの状態や子宮頸部の炎症の有無などを調べます。

細胞診

専用ブラシやヘラなどを用いて子宮頸部を優しくこすり、細胞を採取して顕微鏡で異常な細胞があるかを調べます。

子宮がん検診

妊娠中や妊娠の可能性がある人や、生理中の人でも検診を受けることができます。ただし、生理中の場合には正確な検査結果を得られないことがあるため、できる限り時期をずらして検診を受けたほうがよいでしょう。

また、子宮を全摘した人は、子宮頸がん検診(細胞診)を受ける必要はありません。

検査にあたって飲食の制限はありませんが、検査前の腟内洗浄や性交渉によって正しい結果を得られない場合があるため、検査3日前から腟内洗浄や性交渉をしないでおきましょう。

検査は下着を脱ぎ、診察台の上で行います。そのため、当日はゆったりとしたスカートなどを着ていくとスムーズです。また、細胞診では専用ブラシやヘラなどで細胞を採取する際に出血することがあるため、おりものシートや生理用ナプキンを持参しておくと安心です。

視診、細胞診の所要時間は併せて数分程度です。器具を挿入する際などに多少の違和感や出血がある場合もありますが、痛みはほとんどないとされます。

費用については、市区町村が実施する住民健診や職場健診の場合、各医療機関で自主的に受ける場合などによって異なります。住民健診を受ける場合には、事前に自治体のホームページやがん検診窓口で確認しておきましょう。

一般的な医療機関において自費で受ける場合は、3,000~10,000円程度の費用がかかると想定されます。

検診結果の通知方法は地方自治体や各医療機関によって異なりますが、文書で通知されることが多いと考えられます。

結果の判定にはベセスダ分類が広く用いられ、NILM、ASC-US、ASC-H、LSIL、HSILなどのアルファベットで判定されます。

NILMは正常(異常なし)であることを示し、それ以外では何らかの異常を示唆する所見があったことを示します。そのためNILM以外の場合には、より詳しく調べるために精密検査が必要となります。

子宮頸がん検診で異常が見つかった場合には、精密検査として主にコルポスコープ診が行われます。この検査ではコルポスコープという拡大鏡を腟内に挿入し、子宮頸部の状態を詳しく確認します。この検査で異常な部位が見つかった場合、組織の一部を採取して良性か悪性かを調べます。

また、コルポスコープ診の必要性を判断する目的で、HPV検査が行われることがあります。HPV検査では子宮頸部から細胞を採取し、子宮頸がんの原因となるHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染の有無を調べます。

子宮がん検診(子宮頸がん検診)は、20歳以上の健康な女性が2年に1度の間隔で受けることが推奨されています。

特に性交渉経験のある人や妊娠・出産回数が多い人、また喫煙の習慣があるといった人は積極的に受けたほうがよいでしょう。

子宮頸がんはHPVの感染が関連しています。HPVに感染してもほとんどは2~3年程度で自然に消失しますが、ごく一部で感染が続き、長い年月を経て前がん病変(異形成)となり、その一部が子宮頸がんへと進展します。

検診を受けることで、子宮頸がんになる前段階の病変(前がん病変)の発見にもつながるため、定期的に検診を受けるようにしましょう。

本記事で採用している検査名称はより一般的な表現を採用しておりますが、医療機関や検査機関によって異なる場合があります。また名称が異なる場合、検査内容も一部異なっている場合があります。