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インタビュー

子宮体がんとは-50歳を過ぎたら注意すべきがん

子宮体がんとは-50歳を過ぎたら注意すべきがん
辻岡 寛 先生

飯塚病院 産婦人科 管理部長

辻岡 寛 先生

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この記事の最終更新は2015年12月16日です。

婦人科腫瘍の中でもっとも多いのが子宮にできるがん子宮頸がん子宮体がんの二種類がありますが、同じ子宮にできるがんでもその病態は全く異なっています。やや高齢の女性に多くみられ、子宮体部と呼ばれる場所にできる子宮体がんは、さらに2種類のタイプに分けられます。どのような違いがあるのか、子宮体がんの特徴について飯塚病院産婦人科部長の辻岡寛先生にお話を伺いしました。

私が医者になった20数年ほど前には、子宮体がんと頸がんは、体がんが2割で頸がんが8割という比率でした。しかし、いまはその割合は1:1です。都市部ではおそらくもっと体がんの割合が増えているのではないでしょうか。子宮頸がんの数が減っているわけではないので、子宮体がんが非常に増加傾向にあるというわけです。

子宮体がんにかかりやすいリスクとしては、以下のようなものがあります。

  1. お産経験がない もしくは少ない
  2. 肥満である
  3. 閉経している
  4. 高血圧である
  5. 糖尿病である
  1. 不正出血
  2. おりもの
  3. 排尿痛・排尿困難
  4. 性交痛

子宮体がんは別名「子宮内膜がん」とも呼ばれ、女性ホルモンが関与して発症するがんであることが知られています。子宮内膜は、月経の周期によって剥がれ落ちるところであるため、子宮体がんは月経が毎月起こって内膜が剥がれている方には原則として起こらない病気です。内膜が剥がれにくくなる頃、つまり閉経を迎える前後くらいから患者数が増えてきます。

女性ホルモンにはエストロゲンとプロゲステロンがあります。どちらも卵巣から出るホルモンですが、月経があるときにはこのふたつのホルモンが絶妙なバランスで均衡を保っています。ところが、閉経近くになると卵巣の働きが衰え、排卵機能が低下してくるため、エストロゲンが優位になってきます。プロゲステロンには子宮体がんを抑制する効果があるので、そのプロゲステロンが分泌しなくなってくることで、子宮体がんの発生リスクが高まってくるというわけです。

なおごく稀に(全体の4%程度)ですが、排卵障害があり30代や40代という若い年代の女性で子宮体がんになる方もいます。

子宮体がんの種類は大きくⅠ型とⅡ型の2種類にわけられます。Ⅰ型は50~60歳くらいまでの方に多く、エストロゲンの影響を受けて起こるタイプのものです。比較的おとなしいがんで、予後(治療後の経過)も良好です。一方、Ⅱ型のタイプはⅠ型よりも少し高齢の70歳~80歳くらいの方に多く発症するもので、原因がまだはっきりとはわかっていません。悪性度が高く、予後もよくないタイプのがんです。

治療はⅠ型、Ⅱ型ともに手術を行います。手術では、子宮と卵巣・卵管および骨盤内のリンパ節を郭清(完全に取り除くこと)します。切除したそれらの組織について進行度を確認し、組織再発のリスクとして順に「低リスク」「中リスク」「髙リスク」の3段階に評価されます。

低リスクの場合には手術のみで追加治療は必要ありませんが、中リスク以上の場合には手術に加えて術後補助療法としての抗がん剤治療を行います。

  • 50~60歳に多い
  • エストロゲンの影響を受ける
  • 悪性度は低い
  • 予後は良好
  • 70~80歳に多い
  • エストロゲンは直接関与しない
  • 悪性度が高い
  • 予後は不良
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    辻岡 寛 先生

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