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公開日 : 2017 年 07 月 28 日
更新日 : 2017 年 10 月 24 日

卵子凍結・卵巣組織凍結の可能性やリスク・費用について

目次

記事1『がん治療が妊娠・出産に与える影響―女性の妊孕性(妊娠する能力)温存とは?』ではがん患者さんの妊孕性温存(妊娠する力を人工的に残しておくこと)の基礎を、記事2『がんでも妊娠・出産を可能に―卵子凍結と卵巣組織凍結の違いや適応、画像でみる凍結の流れ』では妊孕性温存のなかでも特に卵子凍結・卵巣組織凍結の適応や手順などについてお伝えしました。がん治療で妊孕性の低下が懸念される患者さんにとって、卵子凍結や卵巣組織凍結はとても希望のある治療法です。しかしながら、実際の妊娠率や安全性、費用などはどうなのでしょうか。また、妊孕性温存を希望する場合、妊娠後にがんが再発した場合はどうすればよいのでしょうか。引き続き、生殖補助医療を専門に行う京野アートクリニック 理事長 京野 廣一先生にお話しいただきます。

卵子凍結・卵巣組織凍結での妊娠率

授精

妊孕性温存実施後の妊娠率は、治療の種類や患者さんの置かれている状況によって異なります。

卵子凍結での妊娠率は、卵子1個あたり5%程度といわれており決して高い数字とはいえません。そのため、卵子凍結を実施する場合は複数個の凍結を実施することが推奨されます。一方、卵巣組織凍結では、(卵子凍結と単位が変わりますが)1回の移植につき妊娠率は約25%といわれています。卵巣組織凍結では卵巣の機能が継続し排卵が起こる限り妊娠のチャンスがあります。1回の排卵あたりの妊娠率は高くないものの、毎月きちんと排卵が確認できれば1年に12回は妊娠のチャンスを得ることができるのです。

 

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卵子凍結・卵巣組織凍結の問題点・リスク―妊孕性温存の安全性について

卵子凍結や卵巣組織凍結は、将来妊娠を希望する女性にとって有用な治療法ですが、問題点やリスクも指摘されています。

卵子凍結の問題点やリスク

卵子凍結は、やはり卵子1個あたりの妊娠率が他の妊孕性温存の方法と比べて低い点が問題であるといえます。また、融解後の卵子の生存率が90%であること、卵巣刺激症候群(OHSS)、出血、感染に注意が必要です。

卵巣刺激症候群とは、排卵誘発を行ったことが主な原因で、採卵後に卵巣が腫れて腹水が溜まる症状が出現するものです。お腹が張った感じや腹痛、尿が出にくい、喉の渇き、症状が進行すると血栓症を引き起こすリスクがあります。

 

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卵巣組織凍結の問題点やリスク

卵巣組織凍結は卵子凍結と違い、ある程度の妊娠率の高さを持つ点や技術的には0歳児から実施可能な点がメリットです。しかしリスクとして、微小残存病変(MRD: Minimal Residual Disease)による悪性腫瘍細胞の再移入があります。

悪性腫瘍細胞の再移入のリスクとは、凍結した卵巣にほんのわずかながん細胞が混入しており、融解した卵巣を移植したことによってがんが再発することです。特に卵巣へのがん細胞の混入の危険性が高い疾患などでは、卵巣組織凍結とその移植は勧められていません。

凍結した卵子や卵巣によって生まれた子どもに影響はある?

凍結卵子や凍結卵巣を使用した妊娠を経て誕生した子どもに、発育などの影響がみられたという報告は今のところありません(2017年現在)。特に卵子凍結に関しては、凍結卵子の使用で生まれた子どもが成人し、その後の生殖機能にも問題がなく妊娠に至ったと報告されています。

一方、凍結した卵巣を用いて生まれた子どもに関しては、成人後の生殖機能についての問題の有無はまだ明らかになっていません。卵巣組織凍結による最初の出産報告が2004年ですから、これから徐々にわかってくる段階でしょう。

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