子宮がんには、子宮体がんと子宮頸がんがあり、それぞれが発症原因・症状・治療方法などの異なる別の病気として認識されています。なかでも子宮体がんは子宮体部にできるがんのことで、“子宮内膜がん”と呼ばれることもあります。子宮体がんと診断される患者数は2018年では約17,000人といわれ、これは子宮頸がんの約11,000人よりも多い数字です。しかし、子宮頸がんにはワクチンが存在する一方で、子宮体がんにはワクチンが存在しません。この理由にはどのようなことがあるのでしょうか。
本記事では子宮体がんにワクチンが存在しない理由や子宮体がんの予防法、早期発見のためにできることについて詳しく解説します。
子宮体がんワクチンが存在しない理由には、子宮体がんの原因が関係しています。
子宮体がんの原因は主に2つに分けられます。1つは女性ホルモン(エストロゲン)による刺激です。出産経験がない、閉経が遅い、肥満、一部の薬などによってエストロゲンの刺激が長く続くことが子宮体がんの原因だと考えられています。
もう1つの原因としては、エストロゲンとは関係なく、糖尿病や遺伝が関与して発症することがあると考えられています。
このように、子宮体がんの原因はワクチンで予防できるウイルスなどではないため、ワクチンが存在していません。
一方で子宮頸がんワクチンが存在するのは、子宮頸がんの原因であるヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスが関係しています。実際に子宮頸がんにかかっている方の約9割以上にHPVが見つかるとされており、HPVの感染が長期にわたることで子宮頸がんを発症すると考えられています。
このように、子宮頸がんワクチンを接種するとHPVの感染を予防することができるため、結果として子宮頸がんの予防につながるとされているのです。
子宮体がんはがんが子宮にとどまっているうちに治療すれば、8割以上が治るとされています。そのため、早期発見・治療が重要です。
早期発見のためには、自覚症状が現れた段階で病院を受診することが大切です。子宮体がんは比較的初期症状が現れやすいがんとして知られており、実際9割以上の人に不正出血が出現するといわれています。そのため、不正出血があった場合は放置せずに、受診することが大切です。
また、症状がない場合では検診が有効な場合があります。子宮体がんには、指針として定められている検診は存在しませんが、自治体によっては細胞診を行っているところがあります。子宮体がんの細胞診とは、子宮の細胞を採取して、がん細胞であるかどうか調べる検診です。気になる方は、近くの医療機関や自治体に問い合わせをし、相談してみるとよいでしょう。
子宮体がんをはじめ、さまざまながんの予防のためには、“禁煙”“節酒”“食生活の見直し”“適度な運動”“適正体重の維持”などがよいとされています。
特に子宮体がんの予防に関連するものは以下の通りです。
たばこはさまざまながんの発生リスクを高めると考えられています。実際に喫煙者はたばこを吸わない人に比べてがんのリスクが1.5倍程度上昇するともいわれています。したがって、子宮体がんを予防するためには禁煙、または受動喫煙に注意するとよいでしょう。
適度に体を動かすとがん発生リスクが低くなるとされています。推奨されている活動内容は、歩行やそれと同じくらいの運動を毎日60分行い、さらに週に60分程度、息がはずみ、汗をかく程度の運動を行うことです。
ピルの服用によって子宮体がん発生リスクが下がるとされています。また、同時に卵巣がんの発生リスクも下がるとされています。
しかし、一方でピルの服用は血栓症、血管障害、乳がんなどの発生リスクが高まるといった報告もあるため、ピルに関するメリット、デメリットを理解したうえで服用するのがよいでしょう。なお、ピルの服用に際して不安や疑問がある場合は医師や薬剤師に相談しましょう。
子宮体がんにはワクチンは存在しないため、子宮体がんを早期発見するには、子宮体がんが疑われる症状がある場合は迷わず受診すること、検診を検討することが大切です。検診は、自治体によって行っているところもあります。詳しくは住まいの自治体、または医療機関に問い合わせをするとよいでしょう。そのほか、子宮体がんは普段の生活習慣を見直すことで予防につながるといわれているため、上記で解説した禁煙や適度な運動といったことを心がけるようにしましょう。
名古屋市立大学 医学研究科産科婦人科学分野 助教
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