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子宮体がんの抗がん剤治療とは?〜病巣を縮小させたり消滅させたりする治療〜

子宮体がんの抗がん剤治療とは?〜病巣を縮小させたり消滅させたりする治療〜
横田 治重 先生

埼玉県立がんセンター 元病院長、埼玉県立がんセンター 地域連携・相談支援センター長

横田 治重 先生

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子宮体がんの治療の基本は子宮全摘出を含む手術ですが、病気の広がりが強い場合や再発の場合には、手術をせずに、または手術後に抗がん剤治療を行うこともあります。

本記事は、子宮体がんの抗がん剤治療の流れや方法、使用する抗がん剤、リスクや副作用などについて詳しく解説します。

子宮体がんの治療法の1つには薬物療法(化学療法)があり、抗がん剤治療は薬物療法の1つです。抗がん剤とは、がん細胞の増殖を抑える薬のことで、抗がん剤を用いることで病巣を縮小させたり消滅させたりすることができます。

また、手術や放射線は治療を行った箇所にしか効果が期待できませんが、抗がん剤を注射した場合は血液が回っている部分全てに効果が期待できるという特徴があります。

子宮体がんの抗がん剤治療は、多くの場合複数の抗がん剤を組み合わせて行います。

具体的には3週間に1回抗がん剤を点滴し、次の点滴を行うまでの間に何度か血液検査を行います。このセットを3~6回程度繰り返すことが一般的ですが、さらに回数を重ねることもあります。

子宮体がんの抗がん剤治療は単独で行われることもあれば、手術などと併せて行われることもあります。抗がん剤が用いられるタイミングは以下のとおりです。

子宮体がんは手術をして進行期(ステージ)を決めることになっています。そのため、細胞診・組織診・さまざまな画像診断(CT/MRI等)などでステージを推定し、手術での摘出物の病理検査結果をもとにステージを確定します。

このとき、再発リスクの判定を行い、再発リスクが中程度以上の場合にリスクを少なくするため、追加治療として抗がん剤治療が行われることがあります。

再発とは、一度がんがなくなった後に再びがんが出現することをいいます。再発がんの治療は一般的に広い範囲を対象とする必要があるので、基本の治療が抗がん剤治療ということになります。状況によっては手術や放射線を行うこともあります。

抗がん剤でがんを小さくしてから手術をする方法もあります。しかし、子宮体がんの場合は子宮全摘を含む手術が治療の基本であり、手術を行わないとがんの状態も正確に分からないため、手術前に抗がん剤が使用されることは多くはありません。

以上で説明したほか、全てのステージにおいて手術が不可能と判断された場合(重い持病なども含みます)にも抗がん剤治療が行われることがあります。

子宮体がんに有効な薬剤はタキサン系、プラチナ系、アドリアマイシンとされています。状況によって用いる抗がん剤の種類は異なります。

子宮体がんの抗がん剤治療における標準治療はAP療法(アドリアマイシン+シスプラチン)とされています。標準治療とは、科学的根拠に基づき現在利用可能な最良の治療であることが示され、特定の状態の一般的な患者に推奨される治療法のことです。

ただし、AP療法は吐き気や腎障害といった副作用が強く出ることがあります。

実際の治療ではTC療法(パクリタキセル+カルボプラチン)が多く用いられています。AP療法に劣ることはなく、約70~80%の患者に効果があるとされています。

再発の際は、再発までの期間や体力などを考えてTC療法、AP療法、アドリアマイシン単剤治療を選択して用いますが、根治(病気を完全に治しきる)することは困難とされています。

点滴の際、抗がん剤が血管から漏れて皮膚炎が起こることがあります。時間とともに悪化していく場合もありますので腫れや痛みを感じた場合は医師や看護師に相談するとよいでしょう。

また、抗がん剤が体に合わないと、発疹や発熱、気分が悪くなる、汗をかく、一時的に低血圧になるなどの症状が出ることもあります。

抗がん剤は、がん細胞だけでなく正常な細胞にも影響してしまうため、さまざまな副作用が出ることがあります。

自分で感じられる副作用の代表的なものに、髪の毛が抜ける、吐き気や筋肉痛・関節痛、手足のしびれ、口内炎や下痢などがあります。また検査上の副作用として白血球・赤血球・血小板など血液中の細胞数の減少があり、程度によっては感染症の起こしやすさ・貧血・出血しやすさが症状として起こることがあります。

吐き気止めや鎮痛剤などの適切な使用により、副作用を安全に回避したりコントロールしたりできることも多いので、医師や看護師と相談するとよいでしょう。

抗がん剤治療は副作用が強く現れることもある治療法です。治療を実施するタイミングや使用する薬剤もさまざまであるため、治療を受ける際は医師とよく相談をして、治療の目的や予想される副作用などをしっかり認識しておくとよいでしょう。

また、抗がん剤治療に限りませんが、病状や治療・生活について分からないこと・不安なことがある場合は、メモをして主治医・看護師・がん相談支援センターの相談員などに相談することが大事です。

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  • 埼玉県立がんセンター 元病院長、埼玉県立がんセンター 地域連携・相談支援センター長

    日本産科婦人科学会 産婦人科専門医・指導医日本婦人科腫瘍学会 婦人科腫瘍専門医・婦人科腫瘍指導医

    横田 治重 先生

    婦人科系悪性腫瘍に対し、手術(ロボット支援手術含む)、化学療法、放射線治療を症状に応じ提供している。また、婦人科悪性腫瘍のそれぞれの段階の診療において、常に自覚的症状を最大限緩和するような治療(症状緩和治療)の実施に力を注いでいる。さらに、必要に応じ院内の緩和ケアチームや緩和ケア科と連携しながら、婦人科チームが共働して診療にあたっている。

    実績のある医師

    周辺で子宮体がんの実績がある医師

    独立行政法人国立病院機構 東京医療センター 産婦人科 科長

    やました ひろし

    国立病院機構 東京医療センターー低侵襲な医療を患者さんに提供することで地域医療に貢献する

    区西南部医療圏の医療を支える東京医療センターによる、前立腺がん・子宮体がん・胃がん.大腸がん・慢性中耳炎.真珠腫性中耳炎の治療をテーマにした特集です。

    内科、アレルギー科、血液内科、リウマチ科、外科、精神科、脳神経外科、呼吸器外科、消化器外科、腎臓内科、心臓血管外科、小児科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、歯科口腔外科、麻酔科、乳腺外科、呼吸器内科、循環器内科、緩和ケア内科、腫瘍内科、感染症内科、消化器内科、糖尿病内科、内分泌内科、膠原病内科、脳神経内科、放射線診断科、放射線治療科

    東京都目黒区東が丘2丁目5-1

    東急田園都市線「駒沢大学」 徒歩15分

    国際医療福祉大学三田病院 婦人科部長、国際医療福祉大学 産婦人科学教授

    うえだ かず
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    内科、血液内科、外科、精神科、脳神経外科、呼吸器外科、消化器外科、腎臓内科、心臓血管外科、小児科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、歯科口腔外科、麻酔科、乳腺外科、呼吸器内科、循環器内科、消化器内科、糖尿病内科、内分泌内科、脳神経内科、血管外科、脊椎脊髄外科、放射線診断科、放射線治療科、頭頸部外科、病理診断科

    東京都港区三田1丁目4-3

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    国立がん研究センター中央病院 婦人腫瘍科 医師

    かとう ともやす
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    内科、血液内科、精神科、脳神経外科、呼吸器外科、消化器外科、小児科、小児外科、脳脊髄腫瘍科、骨軟部腫瘍科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、婦人科、眼科、歯科、麻酔科、乳腺外科、呼吸器内科、緩和ケア内科、消化器内科、肝胆膵内科、肝胆膵外科、放射線診断科、放射線治療科、頭頸部外科、病理診断科

    東京都中央区築地5丁目1-1

    都営大江戸線「築地市場」A1番出口 徒歩3分、東京メトロ日比谷線「築地」2番出口 徒歩5分、東京メトロ日比谷線「東銀座」6番出口 徒歩6分

    順天堂大学医学部附属練馬病院 産科・婦人科教授/診療科長

    おぎしま だいき

    順天堂大学医学部附属練馬病院―“ワンチーム”で充実した医療を地域に届ける

    練馬区の医療を支える順天堂大学医学部附属練馬病院によるを不整脈・子宮頸がん・大腸がん・前立腺がんテーマにした特集です。

    内科、アレルギー科、血液内科、リウマチ科、外科、精神科、脳神経外科、呼吸器外科、消化器外科、腎臓内科、心臓血管外科、小児科、小児外科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、歯科、麻酔科、乳腺外科、呼吸器内科、循環器内科、消化器内科、糖尿病内科、内分泌内科、膠原病内科、脳神経内科、総合診療科、病理診断科

    東京都練馬区高野台3丁目1-10

    西武池袋線「練馬高野台」 徒歩3分

    戸越銀座レディースクリニック 院長

    さとい えり

    思春期から大人まで、様々な世代の女性の悩みに寄り添い続ける

    戸越銀座レディースクリニック(東京都品川区戸越3丁目1-2 イマールビル 地下1階:都営浅草線 戸越 徒歩1分)の病院ページ。

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