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子宮体がんの原因と予防
子宮体がんとは、子宮内膜から発生するがんで、約80%以上はエストロゲンという女性ホルモンが過剰に分泌されることが原因です。子宮頸がんの原因はヒトパピローマウイルスというウイルスで、同じ子宮にでき...
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子宮体がんの原因と予防

公開日 2017 年 11 月 18 日 | 更新日 2017 年 11 月 21 日

子宮体がんの原因と予防
永瀬 智 先生

山形大学医学部産婦人科 教授

永瀬 智 先生

子宮体がんとは、子宮内膜から発生するがんで、約80%以上はエストロゲンという女性ホルモンが過剰に分泌されることが原因です。子宮頸がんの原因はヒトパピローマウイルスというウイルスで、同じ子宮にできるがんでも子宮頸がんと子宮体がんでは、実は原因が全く異なるのです。

子宮体がんには不正出血やおりものの異常などの初期症状があり、予防法としては、食生活の改善や適度な運動、低用量ピルの服用などがあります。今回は、子宮体がんについて山形大学医学部産科婦人科教授である永瀬智先生に詳しくお話を伺いました。

子宮体がんとは

子宮体がん

子宮は、妊娠すると赤ちゃんの部屋になる場所で、果物でいうと西洋梨をひっくり返したような形をしています。子宮の首の細い部分を子宮頸部といい、さらにその奥深くを子宮体部といいます。妊娠すると、赤ちゃんはこの子宮体部で成長します。子宮体部のなかには、生理のたびに剥がれ落ちる子宮内膜があり、その内膜部分にできたがんを「子宮体がん」といいます。

2017年現在、約1万人の方が子宮体がんと診断されており、患者数では子宮頸がんを超えています。子宮体がんは、閉経した50代の女性に1番多く発症します。

子宮体がんの原因は女性ホルモン

子宮体がんには、ホルモンが関係する「タイプ1」とホルモンが関係しない「タイプ2」があります。それぞれ原因は異なりますが治療法は同じで、病態により治りやすいものから難しいものまであります。

タイプ1

エストロゲンとは女性の体に長期的に分泌される女性ホルモンです。このエストロゲンの分泌が異常に多い場合、または初経が早く閉経が遅いなどエストロゲンの分泌期間が長い場合、子宮体がんになりやすいと考えられています。

このエストロゲンを原因として発生する子宮体がんを「タイプ1」と呼び、全子宮体がんのうち約80%以上を占めます。(日本産婦人科学会婦人科腫瘍委員会報告 2014年度患者年報)

タイプ2

漿液性(しょうえきせい)がんや明細胞がんなど、エストロゲンが原因でないがんを「タイプ2」と呼び、65歳以上の高齢者に多く発症します。タイプ2は、全子宮体がんの約10%を占め、予後はあまりよくありません。

子宮体がんになりやすい人

子宮体がんは、摂取する栄養や生活習慣が大きく関係しています。

近年の食生活の欧米化が、日本で子宮体がんが急激に増えている原因の1つだといわれています。たとえば、揚げ物やインスタントラーメンを食べる機会が多い方は発症リスクが高くなります。

このほか、以下に該当する方は、子宮体がんのリスクが高くなります。

  • 妊娠・出産歴がない
  • 乳がんの治療でタモキシフェン(ノルバデックス)を飲んでいる
  • 肥満
  • 閉経が遅い
  • PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)
  • 糖尿病・高血圧症

妊娠・出産経験のない方

妊娠中は妊娠を助ける女性ホルモンであるプロゲステロンが増えてくることから、子宮体がんを抑える作用が強まります。妊娠したことがない方は、エストロゲン優位の環境が続きますので、妊娠・出産を経験した人に比べて、子宮体がんのリスクがあがります。現在は、昭和初期に比べ初経年齢が低くなっていますが、閉経の年齢はあまり変わっていないため、生涯で月経がある期間が長くなっています。また、以前に比べ少子化になっていることもあわせて、子宮体がんが最近増加している原因といえるでしょう。

乳がんの治療でタモキシフェン(ノルバデックス)を飲んでいる方

乳がんの治療で、タモキシフェンというホルモン薬を飲んでいる方は、子宮体がんのリスクが上昇します。

タモキシフェンは、臓器によって効き方が違う薬で、乳腺の組織に対しては、エストロゲンを抑えるのですが、子宮の内膜には逆の働きをします。つまり、乳がんにとってはよい働きをする一方で、子宮内膜には悪影響があるのです。

タモキシフェン服用中は、子宮体がんの検診を定期的に受けましょう。

更年期障害をエストロゲン単剤で治療している方も注意

辛そうな更年期の女性
更年期障害をエストロゲン単剤で治療している方は、子宮体がんのリスクが上がってしまいます。

子宮を摘出した方の場合は、エストロゲンだけを投与し治療します。しかし、子宮がある方で更年期症状がでている場合は、子宮体がんのリスクが上がらないように、エストロゲンとプロゲステロンの両方のホルモンを服用しなければいけません。

子宮体がんは遺伝する?

家族内に子宮体がんが多く発症する症候群としてリンチ症候群というものがあります。家系内に大腸がん、子宮体がん、小腸がん、尿管あるいは腎盂のがんを発症した方が3名以上いる場合は、リンチ症候群を考えます。

リンチ症候群の場合、70歳までに子宮体がんになる確率は、最大で70%といわれています。子宮体がん患者さんの0.5%〜3%程度占めるといわれています。

原因となる遺伝子がわかっていますので、病院でカウンセリングを受け、遺伝子検査を受けるかどうかを判断してください。数は少ないですが、適切な管理により初期に対応が可能です。

子宮体がんの予防法

コーヒー

私たちが2002年〜2007年にわたり行った、子宮体がんになった方となっていない方の食事や生活習慣を比較した研究(2013年に発表)は、揚げ物、インスタントラーメンを食べる機会が多い方は、子宮体がんの発症リスクが高かったです。反対に、コーヒーや緑茶の摂取が多い方、日常的に野菜や豆類を多く食べる方は子宮体がんのリスクが減少しました。

魚や肉の摂取量は、子宮体がんとあまり関係がありませんでした。日本人が普段食べる程度の肉の摂取量では、あまり影響がないようです。乳製品においても、あまり差は出ませんでした。

予防が期待できる食事法

  • 油の多い食事は控える(揚げ物やインスタントラーメンなど)
  • コーヒーを1日1杯〜2杯飲む
  • 緑茶を1日1杯〜2杯飲む
  • 野菜、豆類の摂取
  • 豆乳を飲む

どれも過剰摂取はいけません

適度な運動を

糖尿病、高血圧、高脂血症、肥満なども子宮体がんに関係があるので、適度な運動が大事です。エストロゲンは脂肪細胞からもつくられるため、肥満だとエストロゲンが増えて子宮体がんのリスク増加につながります。自分のBMI(肥満度を表す指数)を知り、肥満にならないように運動をしましょう。

低用量ピルで子宮体がんを予防

低用量ピルは、エストロゲンとプロゲステロンの両方が入っているためホルモンバランスが整えられます。そのため低用量ピルを服用すると、子宮体がんの発症リスクが低下します。きちんと服用することで子宮体がんを予防できます。

 

現在、山形大学医学部産婦人科の教授を務め、子宮体がんなどの婦人科悪性腫瘍の手術や研究を行う。また、治療成績向上のため、子宮体がんをはじめ婦人科がんの各ガイドライン作成に携わっている。

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