こうねんきしょうがい

更年期障害

最終更新日
2021年01月20日
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2021/01/20
更新しました
2017/04/25
掲載しました。

概要

更年期とは“生殖期(性成熟期)と非生殖期(老年期)の間の移行期のことで、卵巣機能が減退し始め、消失するまでの時期”をいいます。

更年期の年齢は、一般的に閉経前後の5年間、合計で10年間をいいます。閉経*の年齢は個人差が大きく、40歳代前半に迎える女性もいれば、50歳代後半になっても迎えない女性もいるため更年期の年齢は個人差があります。 

この時期に、のぼせ・ほてり(いわゆるホットフラッシュ)・めまい頭痛・全身倦怠感(けんたいかん)・不眠などといった身体的な症状、また気持ちの落ち込み・やる気のなさ・不安・憂鬱(ゆううつ)などといった精神的な症状がみられ、ほかの検査を行っても特に異常がないものを更年期症状といいます。これらの症状がひどくなり、日常生活に支障をきたす状態を更年期障害といいます。 

閉経とは

子宮摘出や薬剤などの治療を行っていないにもかかわらず、月経が永久に停止することです。40歳以降で最後の月経から1年間月経がないことを確認して、初めて閉経を迎えたということになります。そのため、閉経年齢とは最後の月経があった時の年齢をいいます。

原因

更年期障害の主な原因は、エストロゲンの血中濃度が大きく変動しながら低下していくことです。エストロゲンは卵巣から分泌されている女性ホルモンで、更年期になると卵巣機能が低下することに伴い、エストロゲンの分泌量も減少します。これを脳が感知すると自律神経バランスに乱れが生じ、それに加えて身体的(加齢など)、心理的(性格など)、社会的(職場や家庭の人間関係など)な要因などが関与することで、更年期障害を引き起こすと考えられています。

症状

更年期障害の症状には、血管運動症状(ホットフラッシュなど)、精神的症状(イライラ、抑うつなど)、身体的症状の大きく3種類があります。

血管運動症状

のぼせ、顔のほてり(ホットフラッシュ)、発汗、動悸、息苦しさ、疲労感、頭痛、肩こり、めまいなど

精神的症状

気分の落ち込み、倦怠感、イライラ、意欲の低下、不眠、食欲低下など

身体的症状

腰痛、関節・筋肉痛、冷え、しびれ、疲れやすさ、湿疹かゆみ排尿障害、頻尿など

検査・診断

更年期障害は、主に問診によって診断します。問診では、患者さんが感じている症状について質問表などを用いながら詳しい聞き取りを行います。その際、ほかの病気の可能性がないかも含めて診断にあたることが重要です。特に、更年期によく起こる病気である甲状腺疾患は、更年期障害とよく似た症状がみられることから、しっかりと鑑別する必要があります。

また、採血検査でエストロゲンなどの血中濃度を測定することもありますが、この値は閉経から約2年後までは大きく変動します。

治療

どのような病気に関しても共通していますが、生活習慣を整えることが重要です。運動を習慣化し、食事療法を行って過度の飲酒や喫煙は避け、規則正しい生活を心がけましょう。そのうえで、更年期障害に有効とされている治療法として、いくつかの薬物療法があります。

代表的な方法として、ホルモン補充療法(HRT)・漢方薬・抗うつ薬などの治療法が挙げられます。

ホルモン補充療法(HRT:Hormone Replacement Therapy)

ホルモン補充療法(HRT)は、女性ホルモンを補うことで更年期障害の症状を改善させる方法です。さらに、長期的には骨粗しょう症認知症の予防にも効果があることが分かっています。

女性ホルモンの代表である、2種類のホルモン(エストラジオールとプロゲストーゲン)を組み合わせて行います。

薬剤には、飲み薬や貼り薬、塗り薬があります。副作用が生じるリスクも異なるとされるため、症状や状況を医師と相談しながら選択することが大切です。

HRTの方法には、さまざまなものがあります。開始年齢や実際の症状、子宮の有無、持病などによって使用する薬剤や量が選択されます。また、子宮体がん乳がんを治療中の人、過去に乳がんの加療を受けた人、心筋梗塞脳卒中、肝臓に重症な病気を患った人など、一部の人はHRTを実施できない場合があります。HRTの開始時期や継続期間、終了時期なども症状に合わせて医師と相談のうえで決めるのがよいでしょう。

治療を開始する場合や長期間継続する場合は、定期的に子宮がん検査や超音波検査などを受ける必要があります。かかりつけの医師と相談しながら行いましょう。

漢方薬

体全体のバランスを整え、心と体を健康にすることを目的とした治療法です。

ほてりやのぼせといったホットフラッシュがあり、症状が多岐にわたっている人に適しています。副作用も少なく、比較的長期間服用することができます。

抗うつ薬・抗不安薬

抗うつ薬は、うつ病を治療する際に薬物療法として使われることがある薬です。

抑うつ気分は多くの人が更年期に経験する症状です。抗うつ薬は、精神的な変化だけでなくホットフラッシュといった身体的症状にも効果が期待できます。

ストレスの要因から離れて休息を取るなど、心身ともにリラックスできる生活を心がけましょう。

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