概要
骨粗しょう症とは、骨の強度が低下してもろくなり、骨折しやすくなる病気です。骨の強度が低下する主な要因としては、主に女性ホルモンであるエストロゲンの欠乏、加齢、運動不足などの生活習慣が考えられます。
一般的に広く認識されている“原発性骨粗しょう症”に関しては、加齢ならびにエストロゲン欠乏のために、とりわけ閉経後の女性が発症しやすいことが知られています。骨粗しょう症は骨折しやすくなるだけでなく、体全体の不調を招きかねない病気です。
原因
骨粗しょう症は、骨の強度が低下することで引き起こされます。骨の強度(骨の強さ)は、骨の量の指標となる骨密度と骨の質 (骨質)の2つの要因によって決まります。骨の強度に関しては、70%が骨密度、残りの30%は骨質に影響されるといわれています。
骨粗しょう症には、原発性と続発性の2つがあります。
原発性骨粗しょう症
原因となる明らかな病気などがなく、主に女性ホルモンの低下や加齢によって引き起こされるものです。一般的に広く認識されている骨粗しょう症です。
健康な骨の維持には骨の形成や吸収といった代謝のバランスが鍵となります。加齢に伴うビタミンDや副甲状腺ホルモンのはたらきの変化により骨代謝のバランスが崩れていきます。さらに女性の場合、閉経や加齢により、骨の分解を抑制するエストロゲンというホルモンの分泌が急速に低下します。その結果、骨の形成が吸収に追いつかなくなり、より骨を壊す方向へと傾いてしまいます。
このほか、無理なダイエットや偏食により栄養バランスが偏ると、カルシウムやタンパク質、ビタミンD、ビタミンKなどが不足し、骨量が減りやすくなります。また、遺伝的要因が関わっていることも知られています。
続発性骨粗しょう症
特定の病気や薬の影響によって二次的に起こります。甲状腺機能亢進症やクッシング症候群などの内分泌疾患、胃切除や吸収不良症候群など栄養に関連した病気、ステロイドなどの薬剤、糖尿病などの生活習慣病、先天性疾患などさまざまな原因が挙げられます。前述したように、骨の強度は骨密度と骨質によって規定されます。
症状
骨粗しょう症は自覚症状がほとんどありません。1番問題となるのは、転倒やくしゃみなどのわずかな衝撃でも骨折しやすくなることです。
骨粗しょう症で骨折しやすい骨の部位としては、背骨の柱となる“椎体”や太股の付け根にあたる“大腿骨近位部”、手首の骨である“前腕骨遠位部”、腕の付け根にある“上腕骨近位部”などが挙げられます。
骨が折れると痛みが生じ、体が動かしにくくなることがあるほか、変形によって全身にさまざまな悪影響が及ぶことがあります。たとえば、椎体が押しつぶされるように折れると、背中が丸くなることがあるほか、それによって消化器や呼吸器などの機能障害が現れる恐れがあります。また、そのほかの部位の骨折でも活動性が低下し、運動不足になりがちです。運動不足により、ますます骨が弱くなることがあるため注意が必要です。
検査・診断
国が実施している骨粗しょう症の検診では、生活習慣や食生活に関する問診と測定機器を用いた骨密度の測定が行われます。検査の結果によっては、より詳細な検査のために医療機関の受診をすすめられる場合があります。
骨評価や骨密度測定の検査にはDXA (デキサ) 法が標準的に用いられています。DXA法は、エネルギーの低い2種類のX線を使って骨量を測定する方法です。骨粗しょう症の診断時には、背骨の腰に近い部分 (腰椎)と大腿骨近位部の2つの部位を測定することが推奨されています。
定量的超音波測定法であるQUS法では、超音波が骨の中を通過する超音波伝播速度と、減衰する程度を示す超音波減衰率を測定して骨評価を行います。この検査のみでは骨粗しょう症の診断をすることはできませんが、人間ドックや検診などでスクリーニング検査として広く用いられています。MD法が用いられることもあります。
このほか、X線やCT、MRIといった画像検査、血液検査や尿検査による骨代謝マーカーの測定、身長測定が実施されることがあります。
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治療
骨粗しょう症では薬物治療が中心に行われます。
骨粗しょう症の治療に用いられる薬は、骨吸収を少なくする薬 (骨吸収抑制薬)、骨形成を助ける薬 (骨形成促進薬)、痛みを取り除く薬などさまざまな種類があります。また、ホルモン剤やビタミン剤など不足したものを補う薬が処方されることもあります。
将来の骨折予防のためにも、自己判断で服薬を中止することなく、医師の指示に従うようにしましょう。
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予防
骨粗しょう症の予防には、バランスのよい食事と適度な運動が効果的です。食事では、牛乳などに多く含まれるカルシウムや魚に豊富に含まれるビタミンD、納豆や海藻などに含まれるビタミンK、そのほかリンやマグネシウムなどを積極的に取るとよいでしょう。適量のタンパク質も大切です。喫煙や過度な飲酒は骨粗しょう症の危険因子となるため、控えましょう。
そのほか転倒に注意しながら、適度な運動や日光浴を心がけるとよいでしょう。
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