きゅうしゅうふりょうしょうこうぐん

吸収不良症候群

最終更新日:
2024年01月19日
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2024/01/19
更新しました
2017/04/25
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概要

吸収不良症候群とは、消化・吸収機能の低下によって食べ物に含まれる栄養素が体に十分取り入れられなくなり、栄養障害を引き起こす病気の総称です。

栄養素の消化・吸収は“消化管内での消化”“小腸での吸収”“吸収した栄養素の輸送”の3つのプロセスで成り立ちます。吸収不良症候群は、このいずれかのプロセスが障害されることによって起こります。

ほとんどの吸収不良症候群は、主に栄養の吸収を行う小腸の粘膜に異常が起こり発症するとされています。そのほか、消化液を分泌する肝臓、膵臓(すいぞう)、胆のうなどの病気や、消化・吸収にかかわる臓器の手術によっても吸収不良症候群を引き起こすことがあります。

吸収不良症候群では、炭水化物やたんぱく質、脂質のほかビタミン、ミネラルなどほぼ全ての栄養素の吸収障害を伴うものと、特定の栄養素のみの吸収障害を伴うものがあります。

いずれも栄養素の吸収が障害され、吸収されなかった栄養素に応じて下痢や脂肪便、お腹の張り、体重減少などを生じることがあります。

原因

吸収不良症候群の原因は多数挙げられますが、大きく小腸に関連するものと小腸以外の臓器に関連するものに分けられます。

小腸に関連するもの

クローン病がんの治療などで小腸を広範囲に切除した場合、栄養素を吸収する腸の面積が不十分になり、吸収不良症候群を発症することがあります。

また、アミロイドーシスセリアック病などの小腸の粘膜に障害をきたす病気によっても栄養素の吸収が低下し、発症することがあります。

小腸以外の臓器に関連するもの

閉塞性黄疸(へいそくせいおうだん)慢性膵炎(まんせいすいえん)などの病気や、膵切除、胃切除、胆のう摘出などの治療を受けることによっても栄養素が十分に吸収できなくなり、吸収不良症候群を発症することがあります。

症状

吸収不良症候群では、栄養素が十分に吸収されないことで下痢や脂肪便、全身倦怠感、むくみ、貧血、体重減少などの症状がみられます。

ほかにも、ビタミンやミネラルの吸収が障害されると、欠乏症として下記のような症状を認めることもあります。

ビタミン欠乏症状

  • ビタミンA:暗いところで目が見えづらい、体の成長が遅い、発疹(ほっしん)など
  • ビタミンD:骨粗鬆症ビタミンD依存性くる病骨軟化症など
  • ビタミンE:歩行がしづらくなる、貧血など
  • ビタミンK:出血が止まりにくいなど
  • ビタミンC:易疲労感(疲れやすい)、脱力感、体重減少、出血など
  • ビタミンB1:手足のしびれ、脚気、だるさなど
  • ビタミンB2口唇炎口角炎舌炎脂漏性皮膚炎など
  • ビタミンB6:口角炎、舌炎、脂漏性皮膚炎など
  • ビタミンB12末梢神経障害(まっしょうしんけいしょうがい)、貧血、認知障害など

ミネラル欠乏症状

検査・診断

慢性的な下痢や貧血、体重減少などを認める場合には吸収不良症候群が疑われ、原因の特定や確定診断のためにさまざまな検査が行われます。

一般的には、まず血液検査で血液中の鉄やたんぱく質などの栄養素が不足していないかなどを調べます。必要に応じて、消化吸収試験という吸収障害が疑われる栄養素を含む食物を摂取して、便中に排泄される脂肪の量を測定する検査を行う場合もあります。

このほか、小腸粘膜の状態を調べるために造影剤を用いたX線検査や内視鏡検査などが行われることもあります。

治療

原因となっている病気の治療に加えて、個々の症状や状態に応じた栄養管理が行われます。

栄養管理の方法はさまざまあり、口から直接栄養を取る経口栄養、鼻から細い管を入れる、または腹部に造設した穴(瘻孔(ろうこう))からカテーテルを通して腸に栄養を送る経腸栄養、点滴で体内に栄養を送る中心静脈栄養などがあります。

通常は経口栄養や経腸栄養が選択されますが、栄養状態が非常に悪い場合や症状が重い場合には中心静脈栄養が選択されます。

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