せりあっくびょう

セリアック病

別名:小児脂肪便症/グルテン過敏性腸症/グルテン不耐症
大腸・小腸

目次

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概要

セリアック病とは、小麦に含まれる「グルテン」と呼ばれる物質に対して、誤って免疫反応を起こしてしまうことから引き起こされる病気を指します。インターネット上では「小児脂肪便症」、「グルテン過敏性腸症」、「グルテン不耐症」と検索されていることも多いようです。セリアック病で免疫反応が生じる結果、小腸が障害を受けてしまい栄養の吸収に支障が生じることになります。

セリアック病の患者数は以前よりも増加してきていると考えられており、環境要因などの影響もあるのではと推測されています。

症状の出方は千差万別であり、セリアック病であってもほとんど無症状の人がいる一方で重度の栄養失調をきたす人もいます。治療はグルテンを食事中から除去するのが基本になります。しかし、食事療法のみでは治療効果が不十分なこともあるため、セリアック病に対しての治療薬の開発が期待されています。

原因

セリアック病は、「グルテン」と呼ばれるタンパク質に対して免疫反応が生じることから発症します。グルテンは小麦、ライ麦、大麦など多くの穀物類に含まれており、パンやパスタ、シリアルなど日常生活においてよく摂取する食べ物と関係が深いタンパク質です。グルテンは、モチモチした食感を与える役割も持っています。

タンパク質を構成する成分はアミノ酸と呼ばれますが、グルテンにはアミノ酸のなかでも、グルタミンとプロリンが多く含有されています。両者が多く含まれるグルタミンは、胃や小腸での消化が不完全に終わりやすいことが知られています。不完全消化に終わった物質が小腸粘膜から吸収をされると、トランスグルタミナーゼと呼ばれる酵素による処理を受けることになります。この反応を通して、グリアジンと呼ばれる、より一層抗原性の高い物質が産生されることになり、セリアック病の方においては自己免疫反応が誘発されることになります。

血液型にA型やB型、AB型、O型などのタイプがあるように、白血球を含めて全身臓器にも「HLA」と呼ばれるタイプがあります。人によってHLA型は異なっており、血液型以上の複雑さを有しています。そのなかでも「HLA-DQA1」や「HLA-DQB1」と呼ばれる型において、特定の型を有する方がセリアック病の発症リスクが高いといわれています。リスク因子となりうるHLA型を持つ場合において、グルテンに対して誤った免疫反応が生じてしまいます(自己免疫反応)。自己免疫反応が生じる結果、小腸粘膜が障害を受けてしまい小腸が萎縮することになります。萎縮した小腸は、小腸本来のはたらきである「栄養素の吸収」を有効に実行することができなくなってしまい、種々の栄養障害が引き起こされることになります。

症状

セリアック病の典型例は、慢性的な下痢、体重減少、成長障害などですが、こうした重症例は比較的まれな部類に入ります。より一般的な症状としては、便秘、お腹がはった感じ、疲れやすさ、頭痛、腹痛など、誰でも一度は経験したことがある、とてもありふれた症状です。また、身体に必要な鉄、カルシウム、ビタミン、その他各種栄養素が吸収障害を受ける結果として、鉄欠乏性貧血、骨粗しょう症、口内炎、脱毛、皮膚の萎縮、手足の感覚障害、慢性的な肝障害なども発症することが知られています。

セリアック病は自己免疫疾患のひとつであることから、それ以外の免疫反応に関連した疾患を発症するリスクも高いことが知られています。具体的には、甲状腺疾患や1型糖尿病などを挙げることができます。また、ダウン症候群やターナー症候群を有する方において、セリアック病発症する可能性が高いことも知られています。

検査・診断

セリアック病は、萎縮した小腸を顕微鏡的に確認することから診断されます。しかし、腸の組織を実際に採取するのは侵襲性が高く、実施にあたり困難な場合もあります。そのため、血液検査にてトランスグルタミナーゼに対する抗体(IgAやIgG)が存在しているかどうかを確認することもあります。こうした検査に加えて、臨床症状やそのほかの合併症などの情報をもとに、セリアック病の診断がなされます。

治療

セリアック病では、小麦に含まれるグルテンを摂取することで症状が引き起こされます。そのため、治療にはグルテンを食事中から除去することが重要になります。グルテン除去食により、数日から数週間の間に症状や小腸粘膜萎縮の改善をみることができる場合もあります。しかし、実際にグルテン除去を完全に行うには、難しい側面も多いことが知られています。たとえば、グルテン除去食品は一般的に高価ですし、外食時に完全にグルテンを抜いた食事を摂取するのも難しいことがあります。糖尿病などの慢性疾患と比較すると、患者さんが感じる負担は大きいという指摘もあります。

セリアック病では鉄やカルシウム、葉酸、ビタミンB12、ビタミンDなどが不足することもあるため、こうしたものの補充も検討されます。また免疫力が低下する傾向もあり、セリアック病の方は肺炎に罹患しやすいという報告もあります。そのため、肺炎球菌ワクチンの接種が検討されることもあります。

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