じょうぶしょうかかんないしきょうけんさ

上部消化管内視鏡検査

別名
胃カメラ
食道
内視鏡検査
小型のカメラを用いて、体内の様子を直接観察する検査です。
確定診断
この検査を行うことで、ある特定の病気であるかどうかが明確にわかるものです。他の検査の結果を受けて精密検査として行われる場合もあります。
鑑別診断
この検査だけで病名を確定することはできませんが、異常の有無やどのような病気が考えられるかなどを知ることができるものです。検査結果に応じて、さらに検査が追加される場合があります。
フォローアップ
治療の効果や、病気の経過を知るために行われる検査です。定期的に繰り返して実施されることもあります。
スクリーニング
ある特定の病気について、その可能性があるかどうかを広く知るために行われる検査です。具体的な診断をするためにはさらなる検査を必要とします。また、健康診断などで用いられることもあります。
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上部消化管内視鏡検査とは、食道・胃・十二指腸の内部を内視鏡で観察する検査で、いわゆる胃カメラのことです。これらの臓器は総称して上部消化管と呼ばれ、上部消化管内視鏡検査は上部消化管のがんや炎症、潰瘍(かいよう)などを見つけるために有用な検査です。

内視鏡とは、先端にカメラを付けた細い管を口または鼻から消化管内に挿入し、内部の様子を観察できるようにした検査器具です。体を傷つけることなく消化管の内部を詳しく観察することができるため、がんをはじめとしたさまざまな病気の診断、治療に必要不可欠な検査です。

上部消化管内視鏡検査は、食道がん、胃がんなどの消化器がんや、胃潰瘍、十二指腸潰瘍などの消化器潰瘍など、消化管粘膜に現れるあらゆる病気の診察のために行われます。

上部消化管内視鏡検査は、病変(病気による変化がみられる箇所)の様子によっては、その場で病名が分かる場合があります。ただし、腫瘍などは生検により組織の詳しい状態を調べなければ良性か悪性か分からない場合があるため、追加の検査が必要となる場合もあります。

また、上部消化管内視鏡検査(胃内視鏡検査)はがん検診の項目にも指定されています。対象は50歳以上の方で、2年に1回、上部消化管内視鏡検査または胃部エックス線(胃のレントゲン)のどちらかを受けることとされています。

上部消化管内視鏡検査は、内視鏡を口から挿入する場合と鼻から挿入する場合の2種類があります。

  • 口から挿入する上部消化管内視鏡検査(経口内視鏡検査)

のどの麻酔を行い、検査台に横になり、マウスピースを加えた状態で口から内視鏡を挿入します。場合によっては、胃の運動を抑える薬や緊張を和らげる薬を使用することがあります。

  • 鼻から挿入する上部消化管内視鏡検査(経鼻内視鏡検査)

鼻の通りをよくする薬と、鼻の中の麻酔を行います。場合によっては、のどの麻酔を行うこともあります。麻酔後、検査台に横になり、鼻から細い内視鏡を挿入します。

また、内視鏡に超音波を出す器具を付けて、消化管のより内部の様子を調べる検査もあります。

  • 超音波内視鏡検査

内視鏡の先端に超音波を出す器具を取り付け、消化管の内側から超音波検査を行います。消化管にできた病変の深さを調べたり、消化管の周りの臓器の状態を調べたりすることができます。

他にも、検査に対して不安が大きい場合は、麻酔を使った状態で検査を行うことができる場合があります。

  • 麻酔を使った上部消化管内視鏡検査

静脈から麻酔を注射した状態で検査を行います。検査を受ける人の状態や病院の設備によっては麻酔を使用できないこともあるため、事前に医師に相談するようにしましょう。

上部消化管内視鏡検査は、絶食して胃の中を空っぽにした状態で行います。最後の食事からどれくらい時間をあける必要があるかは検査を受ける機関によって異なるため、説明をよく聞くようにしましょう。一般的には前日の夜から絶食をする場合が多いとされています。

検査を受けられない/受けるのに注意が必要な人

通常服用している薬も検査前は内服を控える必要がある場合がありますので、事前説明の際に確認するようにしましょう。特に、血栓予防のため血液をサラサラにする薬を飲んでいる場合は、一定期間服用を中止する必要がある場合がありますので、主治医に相談しておくとよいでしょう。

検査前に心掛けるとよいこと

検査当日はリラックスして検査を受けられるように、体を締めつけない服装をするようにしましょう。また、当日使用する薬の種類によっては検査後の運転ができない場合があるため、自分の運転での来院は控えたほうがよいでしょう。

検査を受ける医療機関や検査方法によっても異なりますが、検査自体は5~15分程度で終了します。準備の時間を含めても、20~30分程度で終了すると考えてよいでしょう。

この検査は、内視鏡を挿入する際に痛みや違和感を覚える場合があります。麻酔を使用するので過度に心配する必要はありませんが、違和感が強い場合は麻酔を追加することもできるため、医師に伝えるようにしましょう。

検査の結果は、医師が画面に映し出された画像を見て、出血や潰瘍、腫瘍の有無などを判断します。受診者が画像を直接見る機会がない場合や、受診者本人が画像を確認しても異変がわかりにくい場合もあります。そのため、通常病気の有無や詳しい状態については、医師から説明を聞くことになります。

上部消化管内視鏡検査で見つけられる病気は多岐に渡ります。代表的なものは胃がん、食道がんなどの消化器がんやポリープ、胃・十二指腸潰瘍、消化管の炎症などです。これらは上部消化管内視鏡検査だけで分かることもあれば、ほかの病気との鑑別が必要になることもあります。

この場合には精密検査が行われることがあり、がんが疑われる場合は組織を採取する病理検査、ピロリ菌などの感染が疑われる場合は感染菌の有無の特定、消化管の内部を染色液で染めて病変を分かりやすくした状態での内視鏡検査(色素内視鏡検査)などがあります。

また、使用する内視鏡の種類によっては、内視鏡に取りつけた器具を使用して、その場で組織の採取や病変の切除を行うことができる場合もあります(内視鏡的切除)。

上部消化管内視鏡検査は上部消化管の病気の発見のために優れた検査であり、定期的に受けることで、がんなどによる死亡の割合を減らすことが分かっています。医師から定期的な検査や生活上で注意することについて指示された場合には、その指示をしっかりと守るようにしましょう。また、普段の生活で胃や胸の辺りに違和感を覚えたら、油断せずに検査を受けるようにしましょう。

本記事で採用している検査名称はより一般的な表現を採用しておりますが、医療機関や検査機関によって異なる場合があります。また名称が異なる場合、検査内容も一部異なっている場合があります。

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大森赤十字病院 外科(上部消化管)部長

うらべ まさゆき

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国立がん研究センター中央病院 病院長、元東京大学医学部附属病院 胃食道外科 科長

せと やすゆき
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