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胃がんのリスクを低下させるために─検査の重要性について
胃がんの発生には、胃の粘膜に感染するヘリコバクター・ピロリ(以下「ピロリ菌」)が大きく関与しています。胃がん発生のリスクを低下させるためには、まずは内視鏡検査などによりピロリ菌の有無を調べること...
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胃がんのリスクを低下させるために─検査の重要性について

公開日 2019 年 01 月 17 日 | 更新日 2019 年 01 月 17 日

胃がんのリスクを低下させるために─検査の重要性について
井上 和彦 先生

一般財団法人 淳風会 理事、淳風会健康管理センター センター長

井上 和彦 先生

目次

胃がんの発生には、胃の粘膜に感染するヘリコバクター・ピロリ(以下「ピロリ菌」)が大きく関与しています。胃がん発生のリスクを低下させるためには、まずは内視鏡検査などによりピロリ菌の有無を調べることが大切です。

今回は、胃がん発生のリスクとなるピロリ菌や、胃がんのリスクを低下させる方法について、淳風会健康管理センター長の井上和彦先生にお話を伺いました。

胃がんの原因とは?発生のリスクについて

胃がん ピロリ菌

ピロリ菌が胃がんの発生に関与している

胃がんは、胃の壁の内側にある粘膜に発生する悪性の腫瘍です。胃の粘膜内の細胞が何らかの原因によってがん細胞になり、増殖を繰り返すことで生じます。大きくなるにしたがってがん細胞は壁の中へと広がり、外側にある漿膜(しょうまく)や、さらに外側まで浸潤します。また、肝臓などの臓器に転移することもあります。

胃がん発生のリスクを高めるといわれている要因には、ピロリ菌の感染や、喫煙や食生活といった生活習慣などが挙げられます。その中でももっとも大きな要因がピロリ菌の感染です。

ピロリ菌は4~5歳までの子どもの頃に感染することが多く、成人してから新たに感染することはまれであるといわれています。日本における感染率は、高齢者の場合は高く、若年者の場合は非常に低くなっています。

ピロリ菌の感染率は低下してきている

ピロリ菌の感染率については、年齢ではなく誕生年で考えると分かりやすいかもしれません。たとえば、50歳の方の感染率は、2004年時点では約50%ですが、2014年時点では約30%と低下してきているため、年齢だけで考えることはできません。

1964年の東京オリンピックを知っている世代は、ピロリ菌感染率が高いといわれています。一方、誕生年が1980年以降の方の感染率は20%~30%、2000年以降の方の感染率は5%~10%とされています。実際に、私たちが岡山県で実施している、中学生を対象としたピロリ菌のスクリーニングの結果、中学生のピロリ菌感染率はおよそ5%程度であることが分かっています。このように、ピロリ菌の感染率は低下がみられます。

ピロリ菌に感染しても胃がんになるとは限らない

ピロリ菌の感染は胃がんの発生にかかわっていますが、ピロリ菌に感染したすべての人が胃がんになるというわけではありません。ピロリ菌に感染している方の胃がん発生頻度は、1年間で約0.5%です。大まかには、ピロリ菌に感染している方が200名いれば、毎年その中の1名に胃がんが発生するということです。

しかしながら、胃がんになった方のほとんどは、ピロリ菌に感染しているか、ピロリ菌に感染していたことのある方です。ピロリ菌未感染の方が胃がんを発症する頻度は、日本人の胃がんの中でも1%であると考えられています。

ピロリ菌に感染していなければ胃がんの発生リスクは低い

胃がんのリスク要因として、塩分の多い食品の過剰摂取などが指摘されていますが、胃がん発生の必要条件はピロリ菌感染です。ピロリ菌に感染していて、ほかに胃がん発生のリスクをもっていると、発症する確率が高くなると考えてよいでしょう。

スナネズミを用いた発がん動物実験では、ピロリ菌に感染していなければ高濃度の塩分を過剰摂取しても胃がんはほぼ発生しないということが示されています。

胃がんのリスクを低下させるためにできること

ピロリ菌の感染を調べること

先にお話ししたように、胃がんの発生にはピロリ菌の感染が関与しているため、ピロリ菌に感染しているかどうかを確認することは非常に重要です。胃がんの有無やピロリ菌の感染については、胃がん検診などで調べることができます。

これまで胃がん検診の対象年齢は40歳以上でしたが、厚生労働省の指針が改正され、2016年度からは50歳以上に変更されました。しかし、ピロリ菌の研究に取り組んできた医師としては、一律に50歳以上の方だけが検診を受ければよいわけではないと考えています。すでにピロリ菌に感染している場合は、30代や40代などの若い方でも胃がんのリスクがあるためです。

まずは一度、内視鏡検査(胃カメラ)や胃X線(レントゲン)検査を受けて、ピロリ菌による胃炎がないことを確認してください。それに加えてピロリ菌の検査を行い、陰性であると分かれば、ピロリ菌による胃がん発症のリスクは低いと考えてよいでしょう。

感染が分かれば除菌治療が推奨される

胃がんになるリスクを低下させるためには、ピロリ菌の除菌治療が有効であるといわれています。リスクをおよそ1/2~2/3に低下させるため、ピロリ菌に感染していることが確認できれば除菌治療が推奨されます。

ただし、胃がんになるリスクは減っても消失することはないため、除菌治療は胃がんにならないための特効薬とはいえません。除菌治療のあとも、内視鏡による定期検査を行っていくことが大切です。

胃がんの検査の種類

胃X線検査

胃X線検査は、発泡剤を飲んで胃をふくらませ、バリウムを飲み、胃の中の粘膜を撮影して行う検査です。検査当日は食事などの制限があります。検査に伴い、バリウムが誤って気管に入ってしまう誤嚥(ごえん)や、検査後の便秘などが起こる可能性があるため注意が必要です。

内視鏡検査

内視鏡検査
淳風会健康管理センター 内視鏡(胃カメラ)

内視鏡検査は、先端にレンズとライトがついた「内視鏡」を口(あるいは鼻腔)から挿入し、胃の中を観察する検査です。胃の内部を直接みて行うため、胃がんと思われる小さな病変を直接発見することができます。また、鎮静薬(眠り薬)を注射したりして実施することがあります。検査の準備と内容については、検査前に担当医にご確認ください。

ペプシノゲン検査

ペプシノゲン検査は、血液検査によって胃粘膜の萎縮度を調べ、萎縮性胃炎という状態をみつけるための検査です。胃がんは萎縮の進んだ粘膜から発生することが多いため、この検査をきっかけにして、胃がんをみつけられる可能性があります。そのため、ペプシノゲン検査で陽性と判定された場合は、内視鏡による検査を受けることが望ましいといえます。

ヘリコバクター・ピロリ抗体検査

ヘリコバクター・ピロリ抗体検査は、血液検査で行うピロリ菌の感染診断検査です。胃がんの発生にかかわるピロリ菌に感染しているかどうかを調べることができます。

ABC分類

ABC分類

ABC分類は、ペプシノゲン検査とヘリコバクター・ピロリ抗体検査を組み合わせた胃がんリスク層別化検査です。胃がん発生のリスクを分類する検査であり、胃がんになりやすいかどうかを調べることができます。

ABC分類と疾患リスク

胃がん検診における内視鏡検査の重要性

内視鏡検査の様子
淳風会健康管理センター 内視鏡検査の様子

人間ドックで胃がんの画像検査を行う場合は、バリウムを飲んで行う胃X線検査か、内視鏡検査のどちらかを選択することができます。

胃がんの検査の中でも内視鏡検査は、胃がん発見率が高く、初期の胃がんが見つかりやすいという特徴があります。胃内視鏡検査による胃がん検診の実施件数は増加傾向にあり、内視鏡検査を選択される受診者は徐々に増えてきています。

また、ピロリ菌を原因とする胃炎である「ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎」に対する除菌治療が2013年より保険適用されました。保険内で治療を実施するためには、内視鏡検査によりヘリコバクター・ピロリ感染性胃炎であることを確認している必要があります。

胃がんを予防するために、まずは一度、内視鏡検査を受けてみるとよいでしょう。

 

淳風会健康管理センターの人間ドック(井上和彦先生)の連載記事

1983年より内科医師としてのキャリアをスタートさせた。松江赤十字病院勤務時代より、ピロリ菌の感染診断検査と萎縮性胃炎を同定する検査を組み合わせたABC分類という胃がんリスク分類を開始した、胃がん検診のスペシャリスト。

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