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胃・十二指腸

胃がん

目次

胃がんとは

胃の壁は、内側から順に、

  1. 胃液や粘液を分泌する粘膜
  2. 粘膜下筋板
  3. その下の粘膜下組織
  4. 胃の蠕動を担う固有筋層
  5. 一番外側で胃全体を包む漿膜(しょうまく)

の5層で成り立っています。 胃がんとは、胃の壁のもっとも内側である粘膜内の細胞が、何らかの原因によってがん細胞になり、増殖を繰り返すことで生じる悪性の腫瘍です。

胃がんは大きくなるにしたがって、壁のなかへと広がり、一番外側である漿膜に達し、さらには近くにある臓器(膵臓や大腸など)へと広がっていきます。また特殊なタイプの胃がんとして、粘膜の下を這うように広がっていくスキルス胃がんがあります。

胃がんは、およそ2:1の割合で女性よりも男性に多くみられます。年齢としては、男女ともに60代が発症のピークとされます。日本国内では、東北地方の日本海側で多く、南九州、沖縄などで少ない傾向が見られます。近年、食生活の変化や検診の普及、治療の進歩などによって、胃がんで亡くなる方の割合は減ってきていますが、高齢化のために胃がんに罹る方の全体の数は横ばいとなっています。

原因

胃がんの原因については、いくつかのリスク要因が指摘されています。

  • 喫煙習慣
  • 塩分の摂りすぎや野菜・果物の摂取不足などの食生活
  • ヘリコバクター・ピロリ菌への持続的感染

などが、胃がんの発生を高めるとされています。現在、日本人におけるヘリコバクター・ピロリ菌の保菌率は、高齢者ほど高くなっており、30代では約2割ですが、70代では約7割とされています。

ヘリコバクター・ピロリ菌に感染しているすべての人が胃がんになるわけではありませんが、除菌治療を行うことで、胃がんの発生を低下させることができると指摘されており、近年では除菌治療が積極的に行われています。

症状

胃がんは、がんの小さい早期の段階では症状が出ることは少なく、またかなり大きくなって進行した段階であっても、症状が出にくいことがあります。主な症状としては、みぞおちの痛みや不快感、食欲の低下、胸やけ、吐き気などがありますが、これらは胃がん特有の症状というわけではありません。

胃炎や胃潰瘍(いかいよう)といったほかの病気でも起こることがありますで、検査を行って評価することが必要となります。そのほか、黒色の便(胃がんからの出血のため)が出たり、体重が減るといった症状から検査を行い、結果的に胃がんと診断されることもあります。

検査

胃がんの検査としてまず行われるのは、検診としても行われる胃のX線検査(バリウム検査)や内視鏡検査(胃カメラ)です。早期の胃がんは、検診によって発見されることも多く、定期的な検診の受診は、胃がんの早期発見・早期治療のためにも重要となります。

胃X線検査

胃X線検査は、造影剤(バリウム)と発泡剤(胃を膨らませるための薬)を飲み、胃の中に病変がないかチェックしていく検査です。胃X線検査で異常を指摘された場合には、さらに詳しく調べるために、内視鏡検査を行います。

内視鏡検査

内視鏡検査では、口や鼻から内視鏡(胃カメラ)を挿入して、胃の中を直接観察します。胃の中の小さな病変も見つけることができ、胃がんが疑われる場合にはその部位の組織を一部採取(生検検査)します。採取した組織を顕微鏡で詳しく調べ、胃がんであるかどうかを診断をします。

腹部超音波検査やCT検査

さらに、胃がんのすすみ具合や、深達度(壁のどの深さまでがんが進んでいるか)、転移(がん細胞が血液やリンパ液の流れに乗り別の臓器に移動し、そこで増殖すること)を調べるための検査として、腹部超音波検査やCT検査を行います。

胃がんでは、特に胃近くのリンパ節や肝臓への転移が頻度として多くみられるため注意深く検査をしていきます。 その他、血液検査においては、CEAやCA19-9といった腫瘍マーカーと呼ばれる胃がんなどで上昇する項目の検査を行います。 こうした様々な検査結果を総合的に判断し、病期(=ステージ:がんの進行の程度を判定するための基準)を判定し、治療方針を決定します。

治療

胃がんの治療は、

  • 手術(外科治療)
  • 内視鏡治療
  • 薬物治療(化学療法:抗がん剤治療)

の3つが中心になります。治療の選択は、病期(ステージ)によって決まります早期の段階では、内視鏡を用いた治療を行います。進行したがんの場合には、手術可能であれば手術を行い、薬物治療(化学療法)を組み合わせて治療します。また手術が困難な段階のがんの場合には、抗がん剤治療を主体とした治療や、緩和的治療・ケア(症状を和らげるための治療)を行います。

内視鏡治療

内視鏡を用いて、胃の内側からがんの部分を切除する治療です。切除の方法には、

  • 内視鏡的粘膜切除術(ないしきょうてき ねんまく せつじょじゅつ:EMRと呼びます)
  • 内視鏡的粘膜下層剥離術(ないしきょうてき ねんまくかそう はくりじゅつ:ESDと呼びます)

があります。これらの治療は、早期の段階でがんが胃の浅い深さにどまり、リンパ節に転移している可能性がほとんどない場合に行われます。 内視鏡による治療後に、顕微鏡で病理の検査を行います。がんが切除しきれていなかったり、転移の可能性が高いと判断された場合には、追加で手術治療を行う必要があります。

手術治療

進行した段階の胃がんでは、手術治療(外科治療)が基本となります。 手術では、がんのある部位を切除すると同時に、周りのリンパ節を取り除くリンパ節郭清や、新しく食べ物の通り道を作り直す手術(消化管再建)も行います。 手術で胃を切除する範囲は、がんのある部位や病期(ステージ)の両方を考慮して決定します。

手術の種類は胃を切除する範囲によっていくつか方法があります。代表的な手術としては、

  • 胃全摘術
  • 幽門(ゆうもん)側胃切除術
  • 幽門温存胃切除術
  • 噴門(噴門)側胃切除術

があります。手術の種類によって消化管再建の方法も異なってきます。

薬物治療(化学療法)

胃がんの治療では、手術治療と組み合わせて術後補助化学療法(がんの再発を防ぐために手術後に抗がん剤治療を行うこと)を行うことがあります。

また、がんが進行していて手術で切除できない場合や、離れた臓器への転移(遠隔転移)がある場合、治療後に再発をした場合には、薬物療法(化学療法)が治療の中心となります。 使用される薬物(抗がん剤)は複数種類があり、標準的な治療方針に基づいて選択されます。

分子標的薬

さらに最近では、「分子標的薬(ぶんしひょうてきやく)」と呼ばれる薬も登場し、抗がん剤治療の成績が向上しています。分子標的薬は、がんが増殖したり、転移したりするのに必要な分子を狙い撃ちにすることで効果を発揮します。

胃がんに対してはたとえば、トラスツマブ(ハーセプチン®)やラムシルマブ(サムライザ®)などが効果があることが示されています。現在分子標的薬によるがん治療は、さまざま種類のがんで積極的に行われつつあり、胃がんの化学療法も今後さらに成績が向上することが期待されています。

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