胃がんとは胃の粘膜にできるがん(悪性腫瘍)で、ピロリ菌や喫煙が危険因子として知られています。心窩部痛や胸やけなどの症状がみられることもありますが、多くの場合は無症状で経過します。罹患者数は年々減少傾向にあるものの、2019年の統計では、男性では3番目、女性では4番目に罹患数の多いがんです。本記事では、胃がんの典型的な症状から検査方法まで解説します。
初期の胃がんは症状があまり見られないことが多く、進行しても症状が出ないこともあります。そのため多くの場合は検診で発見されます。
胃がんの多くは症状に乏しいとされていますが、代表的な症状がいくつか知られています。
胃のあるみぞおちの痛み(心窩部痛)や不快感・違和感、胸やけなどが現れることがあります。それに加え、吐き気や食欲不振などの消化器症状も現れることがあります。
さらに、胃がんから出血すると貧血や黒い便(黒色便)などがみられる場合もあります。
胃がんがさらに進行すると、食事が取りづらくなったり、悪性腫瘍により体重が減少したりすることがあります。これらの症状がみられた場合は進行胃がんの可能性もあるため、速やかに医療機関を受診するようにしましょう。
胃がんの症状には胃の不快感・胸やけや貧血などがありますが、これらの症状は胃がんだけではなく、ほかの胃の病気でもみられます。
慢性胃炎とは慢性的に胃の粘膜に炎症をきたしている状態のことを指します。症状としては、心窩部の不快感や胸やけなどがみられます。
胃潰瘍とは胃の粘膜に深く傷が入ってしまった状態です。心窩部痛や腹部膨満感、悪心・嘔吐などの症状がみられます。胃がんと同様に出血することがあり、その場合には吐血や黒色便がみられることがあります。
胃ポリープとは、胃の粘膜にできた“いぼ”のような隆起性病変です。基本的に悪性腫瘍のように大きくなることは少なく、症状を自覚することはほとんどありませんが、出血すると貧血や黒色便がみられます。
症状などから胃がんが疑われた場合、目的に応じて以下の検査を行います。
胃がんと確定診断するためには、がんと疑われる病変組織を直接取り、病理学的に診断する必要があります。病変組織をつまむための検査として内視鏡検査が行われます。内視鏡検査とは、内視鏡と呼ばれるカメラを口から入れて、胃の内部を直接見ることのできる検査です(一般的な胃カメラ)。この検査では病変を観察するだけではなく、病変組織の一部をつまんで取ってくることもできるため、確定診断に必要な検査となります。
胃がんと確定診断されると、次に治療方針を決定するためにさまざまな検査を行います。治療方針を決定するためには、がんの深さやリンパ節転移の有無、多臓器への転移などを調べる必要があります。その精査のために、CT検査などを追加で行います。また、腹膜播種が強く疑われる場合には審査腹腔鏡(腹部に小さな穴をあけ、腹腔鏡と呼ばれる細い内視鏡でお腹の中を直接見る検査)が行われることがあります。
胃がんは心窩部痛や胸やけ、貧血などの症状がみられることがありますが、無症状で進行することが多い病気です。自覚症状に乏しいので、早期発見のために定期検診を受けることが大切です。
また、早期診断・治療が予後の改善につながるので、検診を受けるとともに何か症状がある場合には、近くの内科(特に消化器内科)を受診するとよいでしょう。
参考文献
国立国際医療研究センター病院 外科 鏡視下領域手術外科医長
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