いかいよう

胃潰瘍

最終更新日:
2021年12月27日
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2021/12/27
更新しました
2017/04/25
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概要

胃潰瘍(いかいよう)とは、胃の壁の欠損、すなわち“穴ぼこ”です。50歳前後の方に多いといわれています。ヘリコバクター・ピロリ菌(以下、ピロリ菌)の感染や、痛み止め(NSAIDs)の内服などが原因となって発症しますが、ピロリ菌の感染率は時代とともに徐々に低下しています。胃潰瘍になると、腹痛や出血による貧血などの症状が現れます。治療には、胃酸の分泌を抑える薬や胃の粘膜を保護する薬が使用されます。また、ピロリ菌を除菌する治療も効果的です。

原因

胃潰瘍を発症する主な原因は、ピロリ菌感染と、解熱鎮痛剤の一種である非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の内服です。喫煙やストレス、アルコールは胃潰瘍の誘因となります。

健康な胃は、消化に必要な胃酸(しかし胃粘膜に対する“攻撃因子”ともいえる)や、ペプシン(タンパク質分解酵素)などに傷つけられないよう、胃粘液や胃血流(血のめぐり)などの“防御因子”により粘膜表面が保護されています。しかし、攻撃因子が強まり防御因子が弱まると、胃粘膜は障害・損傷される恐れがあります。ピロリ菌や、痛み止め(NSAIDs)は、その攻撃因子を強めたり防御因子を弱めたりして、攻撃因子と防御因子のバランスを崩す原因となります。

胃の壁の損傷・欠損が粘膜下層よりも深い部分まで及んでいる場合を“胃潰瘍”といいます。

症状

胃潰瘍の症状は、原因や胃の壁の障害・損傷によって異なります。初期の段階でみられる典型的な自覚症状は、みぞおちの中央あたりに生じる鈍い痛みである心窩部痛(しんかぶつう)です。

また、潰瘍によって胃の蠕動運動(ぜんどううんどう)が障害されると、嚥下困難(えんげこんなん)誤嚥(ごえん)などの嚥下障害、胸やけ、胸痛、嘔吐、食べ物の逆流などが生じることがあります。潰瘍がさらに進行して胃壁の血管を侵食すると、出血が起こります。そのため、下血(黒色便~タール便)や、吐血の症状が出ることがあります。また、出血が長く続くことによって貧血が引き起こされる場合もあります。

痛み止め(NSAIDs)が原因で起こる胃潰瘍は、鎮痛作用の影響で自覚症状が現れず、発見が遅れる場合があります。発見が遅れると重症化することが多く、出血性病変がみられることもまれではありません。

検査・診断

胃潰瘍が疑われる場合、胃の内視鏡検査(上部消化管内視鏡検査)や、造影剤を飲んでX線撮影をするバリウム検査によって潰瘍の有無を確認します。特に胃の内視鏡検査は、検査中に粘膜組織採取が行えるため、胃がんとの鑑別などにも役立ちます。

また、病歴を確認して原因がピロリ菌なのか、痛み止めのNSAIDsなのかを見極めます。ピロリ菌感染を調べる検査方法には、主に以下のものがあります。

ピロリ菌の主な検査方法

  • 血液検査……ピロリ菌抗体(HpIgG)を測定します。
  • 迅速ウレアーゼ試験……内視鏡検査で採取した胃の粘膜組織を試薬内に入れ、試薬の色調変化からピロリ菌の存在を確認します。
  • 病理組織学的検査……内視鏡検査で採取した胃の粘膜を染色し、顕微鏡で見ることによってピロリ菌の有無を確認します。
  • 尿検査……尿中のピロリ菌に対する抗体を調べる検査です。
  • 便検査……便の中にピロリ菌の抗原があるかどうかを調べる検査です。
  • 尿素呼気試験……診断薬を服用する前・した後の吐いた息を集めて行う検査です。ピロリ菌に感染している場合、診断薬服用後は13CO2が多く検出されます。 

治療

胃潰瘍の治療は、基本的にはプロトンポンプ阻害薬またはH2受容体拮抗薬によって行われます。腹痛には抗コリン薬、嚥下障害にはセロトニン受容体拮抗薬、胸やけには水酸化アルミニウム・マグネシウム配合剤なども用いられることがあります。

ピロリ菌感染が原因の場合は、除菌療法が行われます。除菌療法では、胃酸の分泌を抑えるプロトンポンプ阻害薬などに加えて、2種類の抗生物質を内服します。1回目の除菌であればアモキシシリンとクラリスロマイシンを1週間内服します。除菌率は80%前後と報告されています。この方法が無効であれば、ほかの抗生物質が使用されます。

痛み止めのNSAIDsが原因の場合は、痛み止めの中止・変更が検討されます。同時に、プロトンポンプ阻害薬などを併用し、内科的薬物療法が検討されます。

セルフケア

胃潰瘍は前述の原因に加え、喫煙やストレス、香辛料、カフェイン、アルコールの取りすぎなどが発症の危険性を高める可能性があります。胃潰瘍と診断された場合でも厳しい食事制限などをする必要はありませんが、食生活など生活習慣を見直すことを心がけましょう。

 

予防

胃潰瘍はピロリ菌の感染によって生じることがあるため、感染が確認された場合には除菌療法を行うことで予防が可能です。

また、痛み止め(NSAIDs)の内服によって生じることもあるため、すでに胃潰瘍にかかったことのある方で服用の継続が必要な場合には、医師に相談のうえ、胃酸の分泌を抑えるプロトンポンプ阻害薬や防御因子増強薬の併用を検討しましょう。

実績のある医師

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国立国際医療センター 消化器内科 医長・診療科長

あきやま じゅんいち
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内科、血液内科、リウマチ科、外科、心療内科、精神科、神経内科、脳神経外科、呼吸器内科、呼吸器外科、腎臓内科、心臓血管外科、小児科、小児外科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、歯科、歯科口腔外科、麻酔科、乳腺外科、乳腺腫瘍内科、膠原病科

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池袋はやし胃腸内科外科内視鏡クリニック 院長

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