
胃潰瘍には、ピロリ菌によるHp潰瘍と非ステロイド性抗炎症薬によるNSAIDs潰瘍があります。日本ではピロリ菌感染人口の減少と除菌療法の普及に伴い、Hp潰瘍は減少しており、高齢化によりNSAIDs潰瘍に罹患するリスクは増えています。このNSAIDs潰瘍は、Hp潰瘍に比べ重症化することもあり、再発のリスクも高いという特徴があります。本記事では、痛みや炎症を抑える薬・NSAIDsが原因となる胃潰瘍の治療法について、国際医療福祉大学塩谷病院の山根建樹先生にお話しいただきました。
NSAIDsとは、鎮痛作用や抗炎症作用を有する薬剤です。また血栓予防目的に循環器疾患などで処方される低用量アスピリンもNSAIDsの一種です。一般的によく処方されるNSAIDsには、ロキソプロフェンナトリウム水和物、ジクロフェナクナトリウム、ロルノキシカム、アスピリンなどがあります。
NSAIDsは痛み止めとして頻繁に用いられる薬剤であり、3日4日など、短期の服用であれば大きな問題になることはあまりありません。ただし、数週間~数か月など長期的に服用すると、酵素のCOX-1(シクロオキシゲナーゼ-1)の働きが阻害され、胃粘膜を健康に保っている主要な胃粘膜防御因子であるプロスタグランジン(PG)が減少して胃潰瘍に発展してしまうことがあります。このように、NSAIDs潰瘍は薬剤の短期服用時に比べ、長期服用時に発生率が高くなります。また、NSAIDsの鎮痛作用の強さや用量に比例して発生率が高まることもわかっています。
NSAIDs潰瘍の治療は、原因となっているNSAIDsの服用を中止することから始めます。整形外科疾患などによる疼痛のため引き続き鎮痛剤を服用しなければならない患者さんには、代わりに比較的安全なNSAIDsのコキシブ系の薬剤や非NSAIDsであるアセトアミノフェンを処方します。
PPI(プロトンポンプ阻害薬)、P-CAB(新しい薬でPPIの1種)とは、胃の攻撃因子である胃酸分泌を抑える薬であり、プロスタグランジン製薬は、胃粘膜を保護する防御因子を強める薬です。胃潰瘍の治療は、これらの薬剤投与による内科的薬物療法が中心となります。
これは、NSAIDsにより心窩部痛(みぞおちの痛み)が抑えられてしまい、貧血になるほど出血が酷くなるまで発見されなかった巨大潰瘍の症例写真です。非常に巨大なため、治癒するまでに約半年の期間がかかりましたが、このような巨大潰瘍でも内科的治療により完治します。
出血に対しては外科的手術を行うこともありますが、大半は内視鏡を用いた処置により止血できます。
再発を予防するには、まずNSAIDsの長期服用を避け、どうしても服用せねばならない場合にはPPIやP-CABを共に内服することが効果的です。このほか、プロスタグランジン製剤も再発予防のために処方することがあります。
NSAIDsの長期服薬は、胃潰瘍だけでなく腸の傷害や腎障害を惹き起こすこともあり、漫然と服用を続けることは問題です。
ただし、プロスタグランジン製薬は、下痢などの副作用を起こすこともあり、あまり多用されない傾向にあります。
国際医療福祉大学 教授、国際医療福祉大学塩谷病院 消化器内科部長
周辺で胃潰瘍の実績がある医師
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