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インタビュー

胃がんの原因-ピロリ菌感染・喫煙・食生活がリスクになりうる

胃がんの原因-ピロリ菌感染・喫煙・食生活がリスクになりうる
熊谷 厚志 先生

北里大学医学部 上部消化管外科学 診療教授

熊谷 厚志 先生

目次
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この記事の最終更新は2016年02月25日です。

ヘリコバクター・ピロリ菌をご存知でしょうか。近年、胃がん発症のリスクとしてメディアなどで取り上げられる機会が増え、耳にされたことのある方も多いと思います。本記事では、ヘリコバクター・ピロリ菌を含め、胃がんのリスクと考えられているものについて、がん研有明病院 消化器センター 胃外科医長 熊谷厚志(くまがいこうし)先生にお話しいただきました。

ヘリコバクター・ピロリ菌は胃や十二指腸に炎症および潰瘍を起こす細菌です。ヘリコバクター・ピロリ菌の感染率は衛生環境と関連するといわれており、日本人では中高年に多く、若年層では近年減少傾向にあります。

ピロリ菌感染者すべてが胃がんを発症するということはなく、ピロリ菌株の種類や感染者の免疫反応の多様性、胃がん発症のリスクとされている他要因との関連などによって胃がんを発症するかどうかは変わってきます。しかし、ピロリ菌の除去が胃がん発症のリスクを低下させるという研究結果が集積されつつあります。ですから、ピロリ菌への感染がわかった時点で、除菌療法(プロトンポンプ阻害薬と抗生物質を1〜2週間服用)を行うことや定期的な胃の検診が勧められます。

2007年の国際がん研究機構(IRAC)における評価では、アルコール飲料は人間に対し発がん性があると結論づけられています。特に口腔・咽頭・喉頭・食道・肝臓・大腸・乳がんのリスク要因とされています。しかし、胃がんとの関連は欧米を中心に研究が数多く行われていますが、結果は一致していません。また必ずしも欧米の結果が参考になると限らない理由は以下のとおりです。

  1. 日本と欧米ではよく飲まれる酒の種類が異なること
  2. 日本人の約半数がアルコールを飲んですぐ顔が赤くなるタイプであり、欧米人との体質の違いがあること
  3. 日本人は胃がんの原因であるヘリコバクター・ピロリ菌感染者の割合が高いことなど

飲酒により胃の噴門部や上部3分の1で胃がんの発生のリスクが高まったという研究報告もありますが、日本では現在のところ、飲酒と胃がんリスクの関連を示す科学的根拠は不十分といえます。

国立がん研究センターによると、たばこを吸っている人はたばこを吸ったことがない人に比べ、男性で1.8倍、女性で1.2倍、全体では1.6倍胃がんになりやすいと報告されています。

野菜や果物を「ほとんど食べない人」を基準にすると、「週1日以上食べる人」では胃がんの発生率が低いという報告があります。胃がんは年齢とともに発生率が高くなる「分化型のがん」と、若い人にも多い「未分化型のがん」にわけられます。食事等の影響を受けやすい「分化型のがん」において、発生率が減少しました。

野菜や果物に含まれるがんを予防する成分には、食物繊維・カロテノイド・葉酸・ビタミンC・フラボノイド・イソチオシアネート・フィトエストロゲンなどが挙げられます。これらの成分がいくつか組み合わされることによって発生率が減少するかなど、今後も研究が必要となります。どの程度の量を食べると良いのかは先ほどと同様、今後も研究が必要ですが、毎日野菜や果物を食べることは胃がんの予防となりうると考えられています。

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