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胃がんの原因や症状について――長引く胃の違和感は一度受診を

胃がんの原因や症状について――長引く胃の違和感は一度受診を
田中 求 先生

NTT東日本関東病院 外科 医長

田中 求 先生

目次
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胃がんの死亡者数は全体でみると減少傾向にあるものの、がんの罹患数全体でみると男性4位、女性4位*、死亡数では男性3位、女性5位**と上位を占めています。胃がんは進行しても症状が現れない場合もあるため、自覚症状がきっかけで受診される方は少なく、健康診断で指摘を受けたことで来院される方が多いといいます。本記事では、胃がんの原因や症状のほか、受診の目安や治療法について、NTT東日本関東病院 外科 医長 田中 求(たなか もとむ)先生にお話を伺いました。

*罹患者数全体でみると男性4位、女性4位:2020年「がん罹患数の順位」より
**死亡数では男性3位、女性5位:2023年:2023年「がん死亡数の順位」より

胃がんとは、胃の内側を覆う粘膜の細胞が何らかの原因でがん細胞となり、増殖することで発生する悪性腫瘍(あくせいしゅよう)です。がんが進行すると粘膜下層、固有筋層、漿膜下層(しょうまくかそう)、漿膜まで至り、さらに進行すると大腸や膵臓(すいぞう)など周辺の臓器まで広がります。

PIXTA
イラスト:PIXTA

胃がんの原因の1つとして挙げられるのが、胃の粘膜に生息するヘリコバクター・ピロリ菌(以下、ピロリ菌)です。ピロリ菌は胃の粘膜に毒素を出して攻撃を加え、粘膜を傷つけることで胃がんを発生させます。ここ最近、ピロリ菌の感染率が低下していることと、ピロリ菌除去が進んでいるため減少傾向にありますが、日本における胃がんの原因の99%を占めます。そのほかの原因としては、塩分過多の食事、刺激物(香辛料)、喫煙などが挙げられます。

代表的な症状として多いのが、食事すると心窩部(しんかぶ)(みぞおちのあたり)が痛くなる、胸やけ、胃の痛み・不快感・違和感、食欲不振、体重減少(当院で胃がんを疑う場合の目安としては半年で5~10kg以上減少)などです。また、胃の粘膜から出血することで、貧血の症状が現れたり、血便(黒い便)が出たりすることもあります。なお、これらの症状は必ずしも現れるとは限らないうえ、現れたとしても見過ごしてしまいやすく、自覚症状をきっかけに受診する方は少ない傾向にあります。

病院を受診する目安としては、胃の不快感・違和感、食事をした後に胃が痛くなるなどの症状が現れている場合は、一度、消化器内科の受診をしていただきたいと思います。胃はかぜやストレスなどによりさまざまな症状が現れることがありますが、「きっとたまたま」と思って見過ごした症状が実はがんによるものの可能性もあります。特に症状が長引く場合や症状が強く現れるような場合は、注意が必要です。なお、健康診断で胃の異常が疑われた場合は、前述したような症状の有無に関係なく、精密検査を受けていただきたいと思います。

まず、問診で食事量、食事中の腹痛、心窩部痛がないかを確認します。これらの内容を踏まえて胃がんの可能性が考えられる場合は、胃内視鏡検査を行います。胃内視鏡検査は、小型のカメラを装着した細い管を口または鼻から挿入し、食道、胃、十二指腸を観察する検査です。

胃がんと疑われる部分がある場合は、その部分の組織を採取し病理検査を実施します。さらにこの病理検査で悪性が認められた場合はCT検査やMRI検査を行い、画像を見て胃がんの深達度(がんがどの深さまで達しているか)や、胃の周辺臓器である大腸、膵臓への転移がないかを確認します。

胃がんは、がんの深達度、リンパ節や周辺の臓器への転移の有無によって、下記の表のとおりのステージに分類されます。胃がんは胃の粘膜で発生し、徐々に胃の外側の漿膜にむけて広がっていきます。下記の表のとおりT1a、T1b、T2、T3、T4a、T4bと数字が大きくなるほど、がんが胃の外側へ進行していることを表します。その中でもT1a、T1bは胃の粘膜内にとどまる早期胃がん、T2以上が粘膜を超えて広がっていく進行胃がんです。

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イラスト:PIXTA

胃がんには、内視鏡治療(内視鏡的切除)、手術(外科治療)、薬物療法(化学療法)の3つの選択肢があります。

がんの深達度が粘膜層(T1a、T1b)までの場合は、基本的に内視鏡治療が適応となります。がんの大きさが2cm以下で潰瘍(かいよう)がない場合は内視鏡的粘膜切除術(EMR)を行います。EMRとは、胃がんの病変部分を細い銅製のワイヤで焼き切る方法です。また、大きさが2cmを超える潰瘍のない病変や、3cm以下の潰瘍のある病変は内視鏡的粘膜下層剥離術(ないしきょうてきねんまくかそうはくりじゅつ)(ESD)が行われます。ESDとは、胃がんの病変周囲や病変の下の部分を特殊なメスで切開してはがし切除する方法です。

ほかの臓器への転移はないものの、内視鏡治療ではがんの切除が不十分になったり、難しかったりする場合は手術となります。胃がんの手術には、お腹を切開して行う開腹手術、お腹の何か所かに穴を開け器具を入れて手術を行う腹腔鏡下手術(ふくくうきょうかしゅじゅつ)・ロボット支援下腹腔鏡下手術(以下、ロボット支援下胃切除術)があります。当院では、開腹手術と腹腔鏡下手術、ロボット支援下胃切除術の全てに対応可能であり、2022年からは腹腔鏡下手術、ロボット支援下胃切除術の割合が多くなっています。

すでにがんが進行し手術により切除することが難しいと判断した場合には薬物療法が行われます。ほかにも再発胃がんや手術後の補助的な治療としても実施されます。

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