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ロボット支援下胃切除術とは――手術の概要、メリットから手術の流れまで

ロボット支援下胃切除術とは――手術の概要、メリットから手術の流れまで
田中 求 先生

NTT東日本関東病院 外科 医長

田中 求 先生

目次
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これまで胃がんの手術は、お腹を大きく切開したり、腹腔鏡を用いたりする方法が主に行われてきましたが、近年では“ロボット支援下胃切除術”が保険適用となったことで選択肢が広がっています。今回は、胃がんに対するロボット支援下手術のメリットやデメリット、適応などについてNTT東日本関東病院 外科 医長 田中 求(たなか もとむ)先生にお話を伺いました。

ロボットを使用した胃がんの切除(摘出)術は、当院ではDaVinci Xi(以下、ダヴィンチ)というロボットを用いて行っています。患者さんにロボット支援下胃切除術の説明をすると、医師の代わりにダヴィンチ自らが手術を行うとイメージする方が多いですが、実際はこのダヴィンチを医師が操作して行います。

ダヴィンチは、「サージョンコンソール」「ペイシェントカート」「ビジョンカート」の3つから成り立っています。

医師(術医)は「サージョンコンソール」というロボットを操る操縦席に座り、手元のコントローラーでロボットの4本のアームに装着されている内視鏡、メス、鉗子を操作します。「ペイシェントカート」に搭載されたアームは、医師の手の動きを忠実に再現し、人間の手以上の可動域を生かして、病変を取り除く手術を行います。患者さんにはこのペイシェントカートの下に横になっていただき、処置を行っていきます。医師以外の麻酔科医*、看護師、臨床工学技士など手術スタッフは「ビジョンカート」というモニターがついたカートで手術中の画像を医師と共有しながら、手術をすすめていく仕組みとなっています。

内視鏡治療、開腹手術、腹腔鏡下手術との大きな違いは、医師と手術スタッフたちとの距離が離れていることです。そのためスタッフ同士のコミュニケーションが重要となり、かつ一人ひとりの技術力が必要となるのが特徴です。

*麻酔科標榜医:小松孝美先生

先方提供

ここでは、まず手術支援ロボットの特徴について詳しく紹介します。

ロボットアームの先は360度回転する動きができるため、人間の手よりも細やかな動きが可能です。従来の腹腔鏡下手術で使用する鉗子は直線状の器具のため動きが限られていましたが、ロボットでは鉗子自体に関節機能がついているので、臓器の中を自由に動くことができます。

医師が操作するコントローラーには手ブレ防止機能が搭載されているため、開腹手術や腹腔鏡下手術で起こりがちだった手の震えを防止し、固定が簡単にできるようになりました。そのため、細い血管や神経でも1本1本丁寧に処理することができます。また、摘出しなければいけない組織と残しておかなければいけない組織の間を切ったり、はがしたりする際にも大きなダメージを与えることなく手術を行うことが可能です。このように、病変を摘出したり縫合したりする際に、正確性を高めて行うことができるのがロボットならではの特徴です。

今までの腹腔鏡下手術では2次元の画像を見ながら操作を行っていましたが、ロボット手術では3次元の画像が得られるので奥行きを感じながら手術を行うことができます。さらに、ロボットのアームの内視鏡が臓器の奥の側面まで入ることができるため、開腹手術では確認することができなかった面を見ることができるようになったのは大きな進歩です。

ロボット支援下胃切除術は、機能的に優れているだけでなく患者さんにとっても身体的負担を軽減できる手術です。この手術方法のメリットとデメリットについて説明します。

これまで一般的に行われていた開腹手術では、みぞおちからおへそのあたりまで15~20cm程度、皮膚を切開していました。しかしこのロボット支援下胃切除術は、8~12mm程度の小さな創から内視鏡やメス、鉗子を挿入していくため、手術後の傷が小さくなります。また開腹手術では出血が多く輸血が必要になることもありましたが、ロボット支援下胃切除術では、出血が少なく基本的に輸血はせずに済みます。前述したとおり、アームの精密な動きが可能となったため、組織へのダメージが少ないというメリットがあります。

関節のある鉗子の動きは繊細で病変部に正確性高くアプローチでき、ほかの臓器を不用意に傷つける可能性もほとんどないため、 合併症のリスクが少ないのが特徴です 。開腹手術では、術後の採血で炎症の数値(CRP)が上昇していましたが、ロボット支援下胃切除術では数値は低い傾向にあることが報告されています。

ロボット支援下胃切除術のデメリットは、実施するための条件が限られていることや医師の不足からロボット支援下胃切除術を行える施設が限られていることです。手術で医師が操作するアームの先端は臓器に触れた感覚が伝わってこないため、視覚で判断できる程度の十分な経験を積んだ医師であることが必要となりますが、その医師が不足しています。また、ロボット自体が高額なため、導入コストがかかることも実施できる施設が限られている原因となっています。

 

精査の結果、胃がんが根治切除可能と判断された患者さんは、ロボット支援下胃切除術が検討可能です。病変の部位によって術式は変わりますが、幽門側胃切除術、噴門側胃切除術、胃全摘術が適応となります。なお当院では、患者さんの胃がんのステージに応じて、胃全摘術を行うこともありますが、患者さんの術後の生活を考えて、可能な限り胃を温存する胃亜全摘術を積極的に行っています。

MN

根治切除が不可能なステージIVB*の患者さんについては、基本的に薬物療法を中心とした治療を行います。

*ステージⅣB:臨床分類ではステージは、Ⅰ、ⅡA、ⅡB、Ⅲ、ⅣA、ⅣBの6つの段階に分けられます。ⅣBは肺や肝臓など他の臓器に転移している状態です。

当院では手術日の前日に入院をしていただき、翌日に手術、その後はリハビリテーション期間を経て約2週間で退院となります。退院の際は、手術を受けられた患者さん向けのパンフレットを配布しています。病院を離れた後のほうが不安は大きくなると思いますので、パンフレットに自宅での傷口の扱い方や食事・排便時の注意点などをまとめることで、少しでも安心して療養生活を送っていただけたらと考えています。ほかにも当院には「患者サポートセンター」があり、多職種が連携して入院前から退院後まで患者さんをサポートする体制ができているのが特徴です。

(患者サポートセンターについてはこちらの記事をご覧ください)

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