概要
胃ポリープとは、胃粘膜の細胞が過剰に増殖し、胃壁からイボ状に突出して形成される腫瘤(塊)の総称です。自覚症状はないことが多く、上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)やバリウム検査などの検診で偶然発見されることがほとんどです。
胃ポリープは、胃底腺ポリープ、過形成性ポリープ、特殊型ポリープ(腺腫性ポリープなど)の大きく3つに分けられます。
胃底腺ポリープは、良性のポリープで一般的に症状は現れません。一方、過形成性ポリープは出血して貧血を起こすことがあります。また、過形成性ポリープと腺腫性ポリープは、大きいものだとがん化のリスクがあるため、大きさや形によっては内視鏡的切除が検討されます。
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原因
胃ポリープの発症原因は種類によって異なります。
胃底腺ポリープは、胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの治療薬として使用されるプロトンポンプ阻害薬(PPI)の長期服用が原因の1つといわれていますが、女性に多く見られることから女性ホルモン(エストロゲン)が発生に関与している可能性も報告されています。ただし、その因果関係は明確には解明されていません。
一方、過形成性ポリープと腺腫性ポリープは、ピロリ菌感染によって胃の粘膜に炎症が長く続くことが発症に関与していると考えられています。
症状
多くの胃ポリープは無症状ですが、過形成性ポリープは、ポリープの表面から出血が生じて貧血を起こすことがあります。また、大きくなると幽門(胃の出口)を塞いで食べ物の通過を妨げることがあります。
検査・診断
胃ポリープは、定期検診として胃カメラやバリウム検査を受けた際に発見されることが多く、疑われた場合は、以下のような検査を行います。
上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)
先端にカメラが付いた細い管を口または鼻から挿入して食道・胃・十二指腸の内部を確認する検査です。病変の大きさや形、出血の有無などを確認します。内視鏡の先端には小さな穴が開いており、その穴から処置具を出して胃ポリープの組織の一部を採取し、病理検査を行うこともできます。
病理検査
採取した組織を顕微鏡で観察し、病変の種類やがん化の有無を診断します。特に過形成性ポリープや腺腫性ポリープでは、治療方針の決定に用いられる重要な検査です。
血液検査
過形成性ポリープは貧血や炎症の有無など全身の状態を評価するために、血液検査を行うことがあります。
ピロリ菌検査
過形成性ポリープや腺腫性ポリープではピロリ菌感染の有無を確認します。主な方法は以下のとおりです。
- 尿素呼気試験……尿素を服用した後に呼気を採取し、分解産物(二酸化炭素)の量を測定して、ピロリ菌感染の有無を判定します。
- 抗体測定……血液や尿を使い、ピロリ菌に対する抗体の量を調べます。
- 迅速ウレアーゼ試験……内視鏡で採取した胃粘膜組織を用い、ピロリ菌が産生する酵素による反応の有無を確認します。
治療
治療の要否は、ポリープの種類と症状の有無によって判断されます。胃底腺ポリープはがん化の可能性が極めて低いため、経過観察されることが一般的です。PPIの長期服用が原因の場合は、中止によって縮小することがあります。
一方、過形成性ポリープは、ピロリ菌除菌治療によって縮小することがあります。出血や貧血を伴う場合やポリープが大きい場合には内視鏡的切除を行います。同様に、腺腫性ポリープもがん化の可能性があるため、内視鏡的切除を検討します。
予防
ピロリ菌感染の多くは幼少期に起こります。成人になってからの新規感染はまれなため、日常生活での感染予防策(手洗い・うがいなど)の効果は限られます。そのため、成人ではまず自分がピロリ菌に感染していないかを調べることが重要です。感染している場合は、除菌治療を受けることで、ピロリ菌感染による慢性胃炎を改善し、過形成性ポリープ、腺腫性ポリープなどの発症リスクを減らすことができます。
除菌後も新たなポリープや胃がんが発生するリスクがあるため、医師の指示にしたがって定期的に内視鏡検査を受けるようにしましょう。
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