いえん

胃炎

最終更新日:
2024年02月22日
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2024/02/22
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概要

胃炎とは、胃の粘膜に炎症を引き起こす病気のことです。原因はストレス、暴飲暴食、感染症、薬の副作用、免疫の異常など多岐にわたることが知られています。

胃炎は、発症の仕方によって“急性胃炎”と“慢性胃炎”という2つのタイプがあります。急性胃炎はその名のとおり、胃の粘膜に急激な炎症が生じて痛みや吐き気、むかつき、嘔吐などの症状を引き起こします。軽症の場合は数日で回復しますが、炎症が強い場合は長く症状が続くことも少なくありません。一方、慢性胃炎は主にピロリ菌感染によって慢性的な炎症が生じ、粘膜の萎縮や胃部不快感、吐き気などの症状を引き起こすことがあります。

治療方法は急性胃炎と慢性胃炎によって異なりますが、胃潰瘍(いかいよう)などの重篤な合併症を引き起こすケースもあるため適切な治療を行うことが大切です。

原因

急性胃炎は、ストレス、暴飲暴食、痛み止めなどの薬の副作用、感染症などによって胃の粘膜に炎症が引き起こされることで発症する病気です。胃の粘膜からは酸性度が高い“胃酸”という消化酵素が分泌されます。そのため、胃の粘膜は胃酸の刺激に耐えられる組織でできています。しかし、ストレスや暴飲暴食が続くと胃の粘膜を守る機能が低下することに加え、胃酸が過剰に分泌され、胃の粘膜が荒れて炎症が生じます。また、NSAIDsと呼ばれるタイプの痛み止めは胃の粘膜を守るために必要な物質の産生を抑える作用があるため、胃の粘膜にダメージを与えることが知られています。

一方、慢性胃炎の多くはピロリ菌感染が原因であるとされています。ピロリ菌は胃の粘膜に慢性的な炎症を引き起こし、胃の粘膜を萎縮させることが分かっています。そのほかの原因としては、免疫の異常によって抗胃壁細胞抗体や抗内因子抗体など胃の粘膜を攻撃するタンパク質が作られると慢性的な炎症を引き起こす自己免疫性胃炎が挙げられます。また、肝硬変腎不全などの病気によって胃の粘膜への血流が低下したり、粘膜を正常に保つための栄養素が不足したりすることによって慢性胃炎を引き起こすことも少なくありません。

症状

胃炎の症状は、急性胃炎と慢性胃炎によって大きく異なります。

急性胃炎では、みぞおちの痛み、むかつき、吐き気、嘔吐などの症状が突然現れます。重症度は炎症の程度や原因によって異なりますが、軽症の場合には数日で改善します。しかし、重症の場合は症状が長引くことも多く、粘膜へのダメージが強い場合は胃潰瘍などを併発して吐血、黒色便、動悸、めまいなどの症状を伴うことがあります。

一方、慢性胃炎は急激に強い症状が引き起こされることはありませんが、慢性的なみぞおちの痛み、消化不良による吐き気やむかつき、胃部不快感などの症状がみられることがあります。自己免疫性胃炎による慢性胃炎では自己抗体の産生によりビタミンの吸収がうまくできなくなり、重症の貧血になることも報告されています。また、ピロリ菌感染による慢性胃炎は胃がんのリスクを高めるとの報告もあるため注意が必要です。

検査・診断

胃炎が疑われるときは以下のような検査が行われます。

内視鏡検査

口や鼻から内視鏡を挿入して胃の粘膜の状態を詳しく調べる検査です。胃がんなどを疑う病変がある場合は内視鏡で胃の粘膜の一部を採取して顕微鏡で詳しく観察する検査が行われることもあります。

画像検査

胃の粘膜の状態や胃炎の有無を調べるために、消化管造影検査を行うことがあります。

血液検査

胃粘膜の萎縮状態などを調べるために、血液検査を行うことがあります。また、自己免疫性胃炎が疑われるときは、抗胃壁細胞抗体や抗内因子抗体の有無を調べる必要があります。

ピロリ菌検査

ピロリ菌感染による慢性胃炎が疑われる場合は、ピロリ菌感染の有無を調べる検査を行います。検査法には、尿素呼気試験法、血中抗体測定、便中抗原測定、内視鏡検査などがあります。

治療

胃炎の治療は、急性胃炎・慢性胃炎ともに薬物療法が主体となります。

急性胃炎では、発症原因を改善するとともに症状を緩和させるための胃酸分泌抑制薬や胃防御因子増強薬などが用いられます。また、症状が強く食事を取れない場合は点滴治療が必要になることもあります。

一方、慢性胃炎も同様に症状を抑えるための薬物療法が行われますが、ピロリ菌感染以外が原因の場合は根本的な治療がないケースもあります。ピロリ菌感染の場合は、抗菌薬などを一定期間内服する“除菌治療”が必要です。

予防

胃炎の原因はさまざまであり、場合によっては予防法がないこともあります。

しかし、急性胃炎の多くは予防が可能であり、ストレスや暴飲暴食を避けること、適切な感染対策で食中毒などを予防すること、痛み止め内服時は胃酸を抑える薬を同時に内服することなどが挙げられます。

なお、慢性胃炎は予防できないことも多いですが、将来的に胃がんのリスクを高めるケースもありますので不調があるときは早めに医療機関を受診しましょう。

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