じんふぜん

腎不全

腎臓

目次

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概要

腎臓は、血液から老廃物や不要な電解質をろ過して、尿を作るはたらきをします。腎不全とは、腎臓の機能が低下することによって尿量が減少するだけでなく、体内の水分や電解質のバランスが乱れる状態のことをいいます。

何らかの原因で急激に腎臓の機能が悪くなるものを急性腎不全といい、多くは適切な治療によって回復します。一方、数か月~数年かけて徐々に腎臓の機能が低下するものを慢性腎不全といい、最終的には腎臓が機能しなくなります。

原因

急性腎不全と慢性腎不全で原因は異なります。それぞれの代表的な原因は下記の通りです。

急性腎不全

急性腎不全は、腎臓へ流れる血流が低下することによる腎前性腎不全、腎臓自体に異常がある腎性腎不全、腎臓の先の尿路に問題がある腎後性腎不全に分けられます。それぞれ、下記のような病態が原因となります。

腎前性腎不全

脱水や嘔吐、下痢、熱傷などによる体液量の低下、うっ血性心不全やショック状態などによる循環血液量の減少が原因となります。

腎性腎不全

主に、腎臓に悪影響を及ぼす薬物や筋肉の融解によって生じるミオグロビンなどが、腎臓の血管にダメージを与えるものです。他にも、糸球体腎炎や腎動脈血栓など、腎臓に生じる病気が原因となることがあります。

腎後性腎不全

両側の尿管閉塞や、前立腺がん・前立腺肥大による膀胱や尿道の狭窄などによって尿を排出するための通り道が閉塞されることが原因となります。

慢性腎不全

長期にわたって腎臓に障害を与える病気が原因となります。原因となる病気には、さまざまなものがありますが、もっとも多いのは糖尿病による腎症であり、次いで慢性糸球体腎炎、腎硬化症などが挙げられます。

 

症状

腎臓での尿の生成能力が低下するため、体内から余分な水分が排出されず、肺や心臓に水が溜まったり、高血圧、むくみを生じたりすることがあります。

また、過剰なカリウムやリンなどの電解質も排出されず、電解質のバランスが崩れてアシドーシスになることもあります。アシドーシスは軽度であれば自覚症状はほとんどありませんが、重度になると吐き気や倦怠感の原因となります。

慢性腎不全

数か月~数年をかけて徐々に腎臓の機能が低下し、腎不全の末期段階では尿が作られなくなります。老廃物が体内に蓄積すると、疲労感や食欲不振、吐き気などとして現れます。

また、赤血球を作るホルモンが分泌されなくなるため貧血になる、ビタミンDが活性化されないため骨がもろくなる、カリウムが排泄されずに貯留することで重篤な不整脈を起こすなど、さまざまな症状が見られます。

検査・診断

治療方針を決定するうえでも、検査結果は非常に重要な情報となります。主に下記のような検査が行われます。

血液検査

腎臓の機能や電解質のバランスを評価するための検査です。尿素窒素やクレアチニンは腎臓の機能を表し、腎障害がみられる場合にはこれらの値が上昇します。

尿検査

尿の浸透圧やナトリウム量、たんぱく量を調べることで腎臓の機能や腎臓のどこに病変があるのかを評価することができます。また、血液や異形細胞などの混入がある場合には、膀胱がんなどを発見する契機となることがあります。

画像検査

腹部超音波検査

簡便に行える検査です。急性腎不全では腎臓の腫大、慢性腎不全では腎臓の萎縮がみられます。また、尿路結石や膀胱内の腫瘤など、腎不全の原因となる病変を観察することも可能です。

CT検査

高い精度で病変を観察できる検査であり、ほぼ全例で行われます。腎不全の原因となる病変を評価するだけでなく、肺や心臓における合併症の程度も評価することが可能です。

経静脈性腎盂造影検査

腎臓から尿管への尿の流れや逆流の有無を観察するために行われることがあります。造影剤を点滴して、腎臓から尿管への流入を評価します。

腎生検

腎臓に針を刺して組織の一部を採取し、顕微鏡で観察する検査です。糸球体腎炎の診断や末期腎不全の評価をするために行われます。腎不全があるものの、血液検査や画像検査では原因の病気がわからない場合に行われます。

治療

腎不全は、さまざまな原因によって引き起こされるため、原因となる病気の根本的な治療が必要になります。

同時に、水や塩分の制限などによる体液量の管理や、腎臓に負担をかけない高カロリー低たんぱく食などによる食事療法が行われます。また、アシドーシスや高カリウム血症がある場合には、それらを補正するための薬物治療が行われます。

急性腎不全

上記の治療によって多くは後遺症なく治るとされています。しかし、急性腎不全は重篤な病態から生じることも多く、治癒しない場合の多くは多臓器不全をきたすことがあります。

慢性腎不全

上記の治療の他にも、高血圧や貧血など、さまざまな症状に対しての薬物治療が行われます。腎不全の末期になると対症的な治療のみでは対応できず、人工透析や腎移植が必要となります。