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インタビュー

公開日 : 2017 年 12 月 07 日
更新日 : 2017 年 12 月 07 日

腎移植のドナーとレシピエント—それぞれのリスクや予後とは?

記事2『腎移植の手術方法・費用・ドナーの適応条件とは? 腎移植はどのように行われるのか』では、腎移植の具体的な方法などをご紹介しました。本章では、腎移植によってドナーとレシピエントそれぞれが抱えるリスク、予後の経過についてご説明します。国際医療福祉大学三田病院移植外科副部長の加藤容二郎先生にお話を伺いました。

腎移植ドナーの予後・リスクについて

移植後の腎機能は100から50ではなく60〜70に保たれる

記事1『腎不全とは? ステージ分類と治療法、腎移植について』でご説明したように、腎臓は左右対称に2つあり、腎移植ではドナーから片方の腎臓を摘出します。腎機能が2つの腎臓を合わせて100だとした場合、1つを摘出すると50にまで下がるかと思われますが、多くの方の場合、残った腎臓がもう少し頑張ることで60〜70に保たれます。

一般的な手術・将来的な透析のリスクが伴う

腎臓摘出には手術が必要なため、全身麻酔、疼痛、手術創痕などの一般的な手術のリスクが発生します。また腎機能が60〜70になるため、片腎提供後のドナーは腎臓への負担を軽減するために塩分摂取量を控えめにすることが勧められます。生体腎移植ドナーガイドラインの基準を満たす方から腎臓を提供していただいた場合、腎臓が1つになっても生涯透析が必要になることはまずありませんが、腎臓を提供した影響で将来的に透析治療を必要となるリスクも完全には否定できません。

腎移植レシピエントの予後・リスクについて

腎移植後に拒絶反応が起こることがある

移植された腎臓を異物と判断し、免疫反応によって排除しようとすることがあります。これを移植後の拒絶反応と呼びます。拒絶反応は、反応のスピードや時期によっていくつかの種類にわけられます。

拒絶反応の種類

(例)

・超急性拒絶反応:移植した直後より24時間以内に移植腎内の血が固まり、血栓ができ移植腎壊死に至る

・促進型急性拒絶反応:移植後1週間以内に起こる比較的強い拒絶反応で、徐々に尿量が減ることもある

・急性細胞性拒絶反応:移植後1週間から3か月の間に好発する細胞性拒絶反応で、治療に反応することが多い

・慢性拒絶反応:移植後3カ月以降に、長い期間をかけて徐々に腎機能が低下していく

免疫抑制剤の進歩、戦略の変化によって腎移植の成績は向上している

腎移植後には、拒絶反応を抑えるために免疫抑制剤を飲み続ける必要があります。以前は免疫抑制剤の種類も少なく、拒絶反応や感染症などの合併症が多かったのですが、免疫抑制剤の種類も増え、それらを組み合わせることにより、長期生着率(透析を再導入せず、移植腎が機能している割合)が改善してきています。

また、以前はABO血液型不適合の腎移植場合、血漿交換後に脾臓(ひぞう)を摘出してから腎移植を行うことで拒絶反応を抑える方法が主流でしたが、近年、リツキシマブという薬剤を使用することより、血液型の異なるドナーからの移植でも脾臓を摘出せずに腎移植を行えるようになってきました。

免疫抑制剤を使用することにより感染症や悪性新生物のリスクが高まる

記事2『腎移植の手術方法・費用・ドナーの適応条件とは? はどのように行われるのか』でご説明したように、レシピエントは腎移植後、拒絶反応を抑えるために免疫抑制剤を飲み続ける必要があります。免疫抑制剤を使用することにより、通常はあまりかかることのない、サイトメガロウイルス感染やニューモシスチス・カリニ肺炎などといった感染症のリスクが高まります。また、免疫抑制剤を使用することにより、一部の悪性疾患(腎癌など)の罹患率が一般の方より上がるという報告もあります。

肺炎

新たな治療法の開発:免疫抑制剤が不要になるか

現在、腎移植後の免疫抑制剤が不要となる免疫寛容の研究が世界中でされており、米国や日本では、生体腎移植での臨床研究も行われています。この方法が実用化されれば、移植後に免疫抑制剤を飲み続ける必要がなくなり、同時に免疫抑制剤による感染症や発癌のリスクも低下します。つまりこの研究が成功すると、腎移植のデメリットだった部分が解消されるのです。

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