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インタビュー

小児の腎移植について

小児の腎移植について
伊藤 秀一 先生

横浜市立大学 小児科学教室(発生成育小児医療学) 教授

伊藤 秀一 先生

横浜市立大学付属市民総合医療センター 小児総合医療センター 助教

稲葉 彩 先生

末期腎不全において、「小児の透析療法について」でご説明した透析療法のほか、腎移植が行われる場合があります。小児の腎移植はどのようなものなのでしょうか。また、透析療法と腎移植はどのように選択されるのでしょうか。引き続き、横浜市立大学 小児科学教室(発生成育小児医療学) 教授の伊藤秀一先生、横浜市立大学付属市民総合医療センター 小児総合医療センター 助教の稲葉彩先生に解説していただきます。

腎移植は新しく腎臓を移植する事で腎臓の行う機能の全てを置き換える事が出来る事が出来る根本的な治療です。小さなお子さんでも体重が10kg以上あれば移植を行う事ができます。

移植に患者さんのご家族の腎臓を移植する生体腎移植と、亡くなられた方の腎臓を移植する献腎移植がありますが、わが国では献腎移植を受けられる機会は非常に少なく、移植の大半は生体腎移植であるのが現状です。

腎移植のメリットとしては主に以下が挙げられます。

  1. 食事の制限が全く不要になる
  2. 時間的制約がほぼ全くない
  3. 内服薬の管理以外は健常人と全く同じ生活が可能
  4. 腎機能がほぼ正常な状態になる事で活動性や食欲などが改善し成長や発達が良好となる
  5. 透析に伴う合併症がなくなる

一方腎移植の合併症としては、以下のようなものがあります。

  1. 移植された他人の腎臓が移植を受けた患者さんの体の中で「異物」と認識され、移植した腎臓を攻撃して排除しようとする反応である拒絶反応が必ず起きる(そのため腎移植を受けたすべての患者さんには、拒絶反応を予防するための免疫抑制薬が必要になる)
  2. 拒絶反応を予防するための免疫抑制薬のため、感染症にかかりやすい状態になる
  3. 移植後に尿路の通過障害により移植した腎臓が水腎症の状態になったり膀胱尿管逆流症の状態になる事がある
  4. 免疫抑制薬の影響で、移植後高血圧糖尿病になる事がある
  5. 腎臓移植後にもともとの腎臓の病気が再発する事がある

腎移植が成功すれば毎日の透析から解放され腎不全の合併症も改善され、生活の制限や透析時間の束縛もほとんどなくなります。しかし腎移植が成功しいったん腎機能が回復しても、年数がたつにつれ徐々に慢性拒絶反応などにより徐々に腎機能が低下して、再び腎不全となり透析に戻る、あるいは再移植を必要とする可能性もあります。

小児の腎不全に対する腎代替療法には血液透析と腹膜透析、腎移植があり、それぞれに利点と欠点があります(表)。

一般には透析療法はあくまでもつなぎの治療であり、お子さんにとっては腎移植が成長、発達の面で望ましい治療と考えられていますが、必ずしも全員にあてはまるわけではりません。それぞれのお子さんや家族にとって一番良いと思われる治療を主治医の先生と相談して、選択していくことになります。

 

腎不全に対する治療の比較
  血液透析 腹膜透析 腎移植
腎機能 悪いまま ほぼ正常
必要な薬剤 慢性腎不全に対する薬剤(貧血、骨代謝異常、高血圧など) 免疫抑制薬
生存予後 移植に比べ悪い 優れている
QOL 移植に比べ悪い 優れている
生活の制約 多い(週3回、1回4時間程度の透析治療) やや多い(透析液交換、装置の準備や手間) ほとんどない
食事・飲水の制限

多い

やや多い ほとんどない(水を多くとることが必要)
通院回数 週3回 月に1~2回 移植後1年間は月に1回
運動 自由(ただし内シャント部の圧迫や衝撃は避ける) カテーテル部の圧迫を避ける 移植部の圧迫を避ける以外は自由
旅行 通院透析施設の確保が必要 透析液、装置の準備が必要 自由

〈参考文献〉 国立成育医療研究センターBookシリーズ 子供の腎炎・ネフローゼ (五十嵐隆 監修、伊藤秀一 編)

〈参考リンク〉 横浜市立大学 発生成育小児医療学教室(小児科学) ウェブサイト

 

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