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インタビュー

小児腎移植の方法と移植後の管理について

小児腎移植の方法と移植後の管理について
佐藤 裕之 先生

東京都立小児総合医療センター泌尿器科医長

佐藤 裕之 先生

現在の日本の小児腎移植では大人の腎臓を子どもに移植します。そのため腎臓が体に比べて大きく、大人の腎移植方法とは異なる部分があります。また成長に伴う管理も慎重に行う必要があるといいます。子どもは腎臓の移植を心理的に受け入れにくいこともあり、しっかりと免疫抑制剤を飲んでもらうための工夫が大事になってきます。東京都立小児総合医療センター 臓器移植科医長の佐藤裕之先生にお話しいただきました。

1つ目は下腹部斜切開で約15㎝を切開し、そこから腸のある腹腔内に入らない形で、血管にドナー腎を植えていく方法です。さらに小さいお子さんではこの方法ではドナー腎が収まりません。そこで2つ目は腹部を大きく切開して経腹的に腎臓をつなぐ方法がとられます。

移植の手術そのものは2つの血管(動脈・静脈)と尿管(腎臓で作られた尿を膀胱に送る尿の通り道)をつなぐというものですが、いかに上手くつなぎ、問題のないようにお腹の中に臓器を収めるかという点が重要になります。しっかりと腎臓をお腹の中に収めてあげなければその後の体格にも影響してきますし、お腹も閉まりません。

また、腎臓は基本的に体の骨盤腔の右側に移植することが多いです。体格が良ければ左側に植えることも不可能ではありませんが、血管の走行の関係上、体格の小さいお子さんでは血管をつなぐのが困難になります。

 

子どもの腎移植手術における移植腎の設置部位と切開線
子どもの腎移植手術における移植腎の設置部位と切開線

腎臓移植手術で重要なことは「安全に手術できるか」というリスク管理を厳密にすること、血管や臓器に問題が無いかをしっかりと確認することです。

また、腎移植をうまく終わらせることではなく、移植後長期に腎臓がもってくれそうかを予測することも大事になります。もしうまく腎臓移植ができたとしても、すぐに移植腎が働かなくなってしまうようであれば手術の意味がありません。

たとえば、膀胱の機能や尿の出し方がまだ正常ではないという子どもに移植腎をつなぐと、腎臓が炎症を起こしてしまい、腎機能が早く落ちてしまいます。このように、如何に他の問題が起こらないかもきちんと確認してから治療に進みます。そして、本人が腎臓移植を受け入れるかという心理的な問題もしっかりと考えておく必要があります。

子どもが大きくなればなるほど、どの時期が最適かを考えていかなければなりません。

具体的には家族の体制や社会的な環境の変化です。学校に通っている子どもであれば、受験が終わってから移植手術を行うなど、移植プランは慎重に立てる必要があります。幸い肉体的には透析という方法があるため、容態を安定化させる方法は残っていますが、精神的な問題は非常に慎重に判断します。

事実として、とりあえず腎移植はしたけれど、その後免疫抑制剤を飲もうとしなかったために早期に命を落としてしまった子どももいらっしゃいます。このような事態は避けるべきです。

免疫抑制剤を飲むことで多少の副作用はあるものの、生活の制限はほぼなくなります。拒絶反応としては様々な症状がありますが、基本的には医師の指示通りに免疫抑制剤を飲んでいただければ重症化することはありません。

しかし免疫抑制剤をきちんと飲まない方が、実は50%以上いるのではないかともいわれています。いかに薬を飲んでもらうかを検討することは急務です。ご家庭で免疫抑制剤を飲んでくれなければ移植治療は始まりません。指導とは、そういった薬を飲むことの重要性を理解してもらうために行っており、指導は今後の移植の課題とも考えられるでしょう。

東京都立小児総合医療センターでは、腎臓移植の1・2・3・5・10年後に定期的な腎生検(腎臓の組織の一部を採取し、拒絶反応が起きていないかを診断する)を行います。

これにより、隠れた腎障害と長期間かけて進行したダメージを発見することができます。東京都立小児総合医療センターは、移植腎生検の回数としては、他の病院よりは多いかもしれません。

生検の頻度は病院によって異なるので、ご自身の通われている病院がどの程度腎生検を行っているのかあらかじめ確認しておくとよいでしょう。

薬(免疫抑制剤)を飲むことも大事ですが、現在の課題として「何を指導したら長持ちできるのか?」というものがあります。

患者さんが自分の病気を理解し、免疫抑制剤を飲む必要性を把握することはもちろん大事です。しかし、将来的な展望について医師が患者さんにお話しすることも必要だと考えています。

たとえば妊娠の話もそのひとつで、出産ができることを期待していないどころか絶望している患者さんもいるのが現状です。これに対しては、しっかりと妊娠も出産もできることを話すべきだと考えます。そうやって妊娠・出産に対する不安に対応することで、患者さんが自発的に、きちんと免疫抑制剤を飲もうと思えるかもしれません。

どのようにすれば患者さんが納得できるアドバイスを差し上げられるのか、よい指導ができるのかは私自身もまだ悩むところが多い点です。とはいえ、将来の展望はあると思っています。

 

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