概要
腎移植とは、他人の腎臓を移植することで腎臓が担う機能を回復させる治療方法です。
腎移植で使用される腎臓には、生体腎(生きている方から提供を受けたもの)もしくは、献腎(脳死や心肺停止後の方から提供を受けたもの)があります。
腎移植が必要とされる状況は、腎機能が著しく低下した状態です。近年の日本においては、糖尿病や高血圧といった生活習慣病をもとにして、慢性腎不全のリスク因子である慢性腎臓病が増加傾向にあります。また、インターネット上では、腎臓移植と検索されていることも多いようです。
原因
移植が必要とされる状態である慢性腎不全の原因となる病気はいくつかあります。たとえば、糖尿病性腎症、腎硬化症、膜性腎症やIgA腎症、巣状分節性糸球体硬化症、多発性嚢胞腎などの病気が挙げられます。
また、慢性腎不全は成人だけでなく、小児においても生じることがあります。先に挙げた病気以外にも、生まれつき腎臓の機能が低下していたり、腎尿路系の奇形を原因として腎不全が引き起こされたりすることがあります。
腎不全は多様な原因により引き起こされますが、一定以上に腎臓の機能が低下すると、さまざまな不具合が生じます。具体的には、水分や電解質、酸アルカリのバランスが崩れたり、貧血や骨の異常をきたしたりすることもあります。
症状
腎移植が求められる状況
腎移植が求められる状況では、さまざまな症状が出現します。具体的には、以下のような症状が挙げられます。
- 血圧が異常に高くなる
- 身体がむくむ
- 排尿ができない
- 息苦しい
などがあります。
また、倦怠感や食欲不振などの症状もみられることがあります。
電解質のバランスやホルモンバランスの異常をきたすことから、不整脈を生じたり骨がもろくなったりします。貧血が進行することから、動悸や息切れ、疲れやすさなどの症状もみられます。こうしたさまざまな症状が出現する腎不全から回復させることを目的として、腎移植が行われます。
腎移植とは
他人の腎臓の動脈静脈を自分の動脈静脈とつなぎ、また尿を運ぶ尿管を自分の膀胱につないで尿を産生できるようにします。体には、自分の組織でないものが入ると排除しようとする免疫というはたらきがあります。このため、腎移植をしたときには免疫を抑える治療が必要になります。
腎移植により起こり得る合併症
腎移植による合併症が生じることがあります。具体的には、移植された腎臓が拒絶され、うまくはたらかないことがあります。また、免疫抑制剤の影響から感染症にかかりやすくなることや、高血圧や糖尿病が進行することもあります。
腎移植では、こうした合併症が生じないように、腎不全が再燃(治まっていた症状などが再び悪化すること)しないよう注意しながら経過をみることが求められます。
検査・診断
腎移植を行う場合、腎臓の機能を確認することが大切です。具体的には、血液検査によるクレアチニンの評価や、蓄尿による腎機能の評価が行われます。
原因となる病気や腎臓での障害の程度を評価するために、腎生検が行われることもあります。
腎移植では、移植される腎臓がうまく生着するか、移植される腎臓として適切かなど評価するための検査も重要です。
これにはHLA検査やがんの有無、糖尿病の有無なども含まれており、治療を受ける方だけでなく、腎臓の提供者も検査を受けることが求められます。
治療
腎移植にもちいられる腎臓は、日本では生体腎を用いることが多いです。直視下や腹腔鏡を用いて摘出された腎臓は、その後、患者さんに移植されます。移植される場所としては、右側の骨盤内に移植することが一般的です。
腎移植後には、拒絶反応が生じないかどうかをみつつ、免疫抑制剤を使用します。定期的に経過を追いつつ、拒絶反応が生じていないかを長期的にみていくことが大切です。
腎移植を受けることで、腎機能の回復を大きく見込むことができます。しかし、看過できない合併症や再度腎不全が生じるリスクもあります。
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