あいじーえーじんしょう

IgA腎症

腎臓

目次

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概要

IgA腎症とは、血尿やたんぱく尿などの症状が現れる慢性糸球体腎炎の一種です。日本では約7~8割の患者さんが、学校や職場などで実施される一般健康診断の尿検査をきっかけに発見されています。

発症初期には自覚症状はほとんどありませんが、治療をしないまま放置すると透析治療が必要な腎不全へ至ることもあります。以前は腎不全へ至る割合が高いとされていましたが、2018年現在は早期の段階で適切な治療を受けられるケースが増えており、臨床的寛解(症状が出なくなった状態)を目指すことも可能になっています。

原因

IgA腎症は、免疫に関係する病気です。病名にあるIgAとは、免疫機能のなかで大きな役割を担う免疫グロブリン(血液中や組織液中に存在する蛋白質)のひとつで、気管支や腸などの粘膜を外敵から守っています。

IgA腎症の方では、異常なIgAが産生されていることがわかっています。この異常なIgAは、接着性が高く、腎臓の糸球体という場所にくっついて沈着してしまいます。さらに糸球体で炎症がおこり、糸球体の血管が破れてしまいます。これが原因となり、IgA腎症を発症するといわれています。

一部の症例は家族内に発生していることから、遺伝的な要素が発症に関わっているものと想定されています。しかし、発症に関わる特定の遺伝子は発見されておらず、研究が進められています。

症状

IgA腎症の主な症状は、血尿とタンパク尿です。

IgA腎症では糸球体血管に炎症が起こり、血管壁が傷害されることで赤血球とタンパク粒子が尿に漏れ出てきます。しかし、分子量が大きい赤血球とは異なり、タンパク粒子は尿細管というところで再吸収されます。

発症初期の患者さんの場合、炎症を起こしている糸球体は全体の一部であるため、血尿のみでタンパク尿は認められないこともあります。血尿といっても、実際に尿の色が赤くなるわけではないため、肉眼では確認できません。顕微鏡的血尿といって、顕微鏡で見ると尿中に赤血球が出てきていることが確認できます。

上気道炎や扁桃腺炎に罹患した後に、ウーロン茶のような色の尿(肉眼的血尿)が出ることがあります。しかし、初期段階では血尿やタンパク尿があっても見た目ではわからないことが多く、自覚症状がない場合がほとんどです。

また腎機能の低下するスピードは比較的ゆっくりであるため、初期には腎機能も正常です。しかし治療をしないまま症状が進んでしまうと、糸球体の炎症が広がりやがて硬化してしまい、腎機能の低下をきたしてしまいます。

検査・診断

まず、随時尿(任意の時間に採尿される尿)を用いた尿検査が行われます。尿試験紙を用いて、尿中に赤血球やタンパクが含まれているかを調べます。また、尿中のタンパク濃度とクレアチニン濃度の比を調べることで1日に漏れ出しているタンパクの量を推測できます。

異常が認められる場合には、24時間蓄尿による検査と血液検査が実施されます。24時間蓄尿による検査ができれば、前述の随時尿を用いた検査と比べ、より正確な情報を得ることができます。また血液検査と組み合わせることで、腎機能がどの程度であるかを調べることができます。

これらの結果に基づき、腎臓に異常がある可能性が高い場合には、正確な診断をつけるために腎臓の組織の一部を採取する腎生検が行われることがあります。腎生検では、IgA腎症の診断を下すとともに、治療の必要性やその後の腎炎の進行を予測できます。また、腎エコー検査も併せて行われます。

24時間蓄尿の方が不正確であるとの論文もあります。それは、蓄尿を正確に実施すること自体が困難であることに起因します。特に高齢者では、随時尿の方が安定した値が得られます。

治療

2018年現在、日本では、ステロイド薬の大量投与(点滴投与)と扁桃腺の摘出手術を組み合わせた「扁桃摘出術+ステロイドパルス療法」(扁摘パルス療法)が主流となっています。

IgA腎症の原因となるIgAは扁桃腺で生成されます。異常なIgAの発生源である扁桃腺を取り除くことで、腎炎の進行を防ぐことができると考えられています。しかし、全身麻酔の必要な外科的手術のため、持病のある方や高齢の方など施行されない場合もあります。

ステロイドパルス療法では、点滴で副腎皮質ステロイドを3日間連続投与、さらに2か月毎に合計3回繰り返す方法が基本です。扁摘パルス療法では、ステロイド薬単剤での治療と比較し合計投与量や治療期間が大きく減少したために、骨粗しょう症、白内障、緑内障、糖尿病の悪化、感染リスク増大などの副作用が軽減できるようになりました。

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