暑い夏になると、熱中症になる方も増えてきます。熱中症の予防法はさまざまなメディアに出てきていますが、腎不全患者さんの熱中症対策は、普通の熱中症対策とは少し異なります。
では、どのような点が異なるのでしょうか?以下に詳しくご説明します。
熱中症は「暑熱環境における身体適応の障害によって起こる状態の総称」と定義されています。つまり、“暑い環境で起こる健康の障害”をまとめて熱中症といいます。
参考記事「熱中症とは? 症状・時期・かかりやすい人について」
普通の熱中症対策では、「塩分と水分をしっかり摂取すること」と「暑さを避けること」が基本となっています。
しかし、腎不全患者さんは、
ことから、腎不全患者さんの熱中症対策は、普通の熱中症対策とは少し異なります。
では、どのような点で異なるのでしょうか?
普通の熱中症対策では、「塩分と水分をしっかり摂取すること」が基本ですが、腎不全患者さんの場合、水分や塩分を過剰に摂取してしまうと腎不全の悪化につながります。
特に、塩分の摂り過ぎには注意して下さい。塩分と水分を同時に摂取できるという理由で、スポーツドリンクは普通の熱中症対策にはとても有効です。しかし、腎不全患者さんはスポーツドリンクを飲むと塩分の過剰摂取につながりますので、飲まない方がよいでしょう。
また、一回で大量に水分を摂るのではなく、こまめに少しずつ摂るようにしましょう。そのために、小さなコップを使う、水を飲むのではなく氷を一個なめる、といった工夫もいいかもしれません。
汗をかくと、血圧が低くなってしまいます。腎不全患者さんの血圧管理はとても大切です。欠かさずに血圧の測定・記録を行ってください。
夏の間、早朝の涼しい時間以外は運動を避けるようにしましょう。日中に運動したい場合は、室内の運動施設やプールなどを利用するといいでしょう。
その他、暑さをさけることに関しては、普通の熱中症対策と同じです。
例えば、室内にいる時は、エアコンを使い室温をしっかり調節するようにしましょう。詳しくはこちらの記事をご参照ください。
参考記事「熱中症を予防するには? 腎臓内科医が教える熱中症対策」
〈上條先生による「熱中症」関連の記事〉
医療法人社団善仁会 中田駅前泉クリニック 院長、医療法人社団ときわ 理事、横浜市立大学腎臓高血圧内科 客員研究員
日本内科学会 総合内科専門医・内科指導医日本透析医学会 透析専門医・透析指導医日本腎臓学会 腎臓専門医・腎臓指導医日本高血圧学会 会員
全人的総合的腎不全医療(Total Renal Care:TRC)を推進・普及させるためにアウトリーチ活動を行っている。一人ひとりの腎不全患者が自己管理や行動変容を実現するための教育というミクロなアプローチから、腎不全患者自身がさまざまな治療の選択肢を持てるようにするための社会システム全体の構築というマクロなアプローチも積極的に行っている。
上條 由佳 先生の所属医療機関
石橋 由孝 先生の所属医療機関
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