インタビュー

小児ネフローゼ症候群とは

小児ネフローゼ症候群とは
伊藤 秀一 先生

横浜市立大学 小児科学教室(発生成育小児医療学) 教授

伊藤 秀一 先生

横浜市立大学附属市民総合医療センター 小児総合医療センター

神垣 佑 先生

小児ネフローゼ症候群とは?

ネフローゼ症候群とは、タンパク質が尿中に大量に漏れ出て、血液中のタンパク質の濃度が低下し、その結果、尿の量が減り、体がむくむ病気のことです。医学的には、原因が何であれ共通の症状が揃っている病気を「○○○症候群」と呼ぶため、ネフローゼ症候群も単一の病気を指している訳ではなく、その原因となる腎臓の病気は多数あります。すなわち、①高度のタンパク尿、②血液中のタンパク質濃度の低下という診断基準を満たしている腎臓の病気であれば、全て「ネフローゼ症候群」と定義します。そのため、ネフローゼ症候群は原因により以下のように分類されます。真の原因が不明である「特発性(原発性)ネフローゼ症候群」、糸球体腎炎(腎炎とネフローゼは違う種類の病気です)などの腎臓の病気により前述の①②の状態を満たした「続発性(二次性)ネフローゼ症候群」、さらに生まれつき遺伝子に異常があって、生まれた直後からタンパク尿が出現する「先天性ネフローゼ症候群」の三つです。

小児ネフローゼ症候群では、「特発性ネフローゼ症候群」が最も多く(約90%)、本稿は「特発性ネフローゼ症候群」に関して説明していきたいと思います。わが国では、小児特発性ネフローゼ症候群は、年間1000人ほど新規に発生していて、小児10万人あたり6.5人の頻度です。2:1の割合で男子に多く、1-3歳での発症が最多です。

小児ネフローゼ症候群:特発性ネフローゼ症候群の種類

 特発性ネフローゼ症候群は腎臓の組織の所見により微小変化型(約85-90%)、巣状分節性糸球体硬化症、びまん性メサンギウム増殖型の3つの病理組織型に分類されます。組織の種類によって治療の効果が異なることがあり、初期治療の効果がなかった場合はどの組織型であるかは重要となります。

■小児ネフローゼ症候群:特発性ネフローゼ症候群の症状

 タンパク尿が出ていない時は、症状は特にありません。タンパク尿が持続し、血液中のタンパク質の濃度が一定の濃度を下回った時にむくみが生じます。血管の中の水分は、血液中のタンパク質が作りだす浸透圧により血管の外に逃げないよう保たれています、そのため、血管内のタンパク質が減ると浸透圧が低下し血管の外側の組織に水分が移動しむくみが形成されます。顔や足などの目立ちやすい部位のむくみ以外にも、様々な部位にむくみに関連した症状が出現します。胸水、腹水、さらに消化管のむくみで腸の動きが悪くなると、吐き気、腹痛、下痢、食欲低下等が起きます。

また血液中のコレステロールや中性脂肪が増加する事も検査上の特徴です。