ねふろーぜしょうこうぐん

ネフローゼ症候群

腎臓

目次

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概要

ネフローゼ症候群とは、尿中にタンパク質が多量に出てしまい、血液中のタンパク質が減ってしまう状態を示す症候群です。尿の泡立ちやむくみを主な症状とします。

原因

ネフローゼ症候群は、明らかな原因疾患がない一次性ネフローゼ症候群と、原因疾患がある二次性ネフローゼ症候群に大別されます。

一次性ネフローゼ症候群は主に以下4つの病気により起こります。

  • 微小変化型ネフローゼ症候群
  • 巣状分節性糸球体硬化症
  • 膜性腎症
  • 膜性増殖性糸球体腎炎

一次性ネフローゼ症候群

微小変化型ネフローゼ症候群

腎臓においてフィルターの役割を果たしている糸球体の毛細血管に機能障害が起こり、タンパク質が尿中に漏れ出る疾患です。糸球体の形状には大きな変化はみられません。子どもから若年層に好発しますが、中高年~高齢者にも発症します。発症は急性で、数日のうちにむくみが進行します。ステロイドがよく効きますが、減量あるいは中止すると再発しやすい傾向にあります。

巣状分節性糸球体硬化症

一部の糸球体で、部分的な毛細血管の硬化がみられ、そこからタンパク質が漏れ出る病気です。発症は急性で、しばしば微小変化型ネフローゼ症候群との見極めが問題になります。ステロイド治療に反応しにくいことが比較的多く、透析が必要な末期腎不全に至ることもあります。

膜性腎症

糸球体の毛細血管壁に炎症が起こり、タンパク質が尿中へと漏れ出る病気です。中高年層に好発します。蛋白尿が軽症の場合には予後がよいとされており、症状を抑える対症療法が中心となります。しかし、蛋白尿が多く治療に反応しないステロイド抵抗性の場合、末期腎不全にいたることもあります。

膜性増殖性糸球体腎炎

糸球体の毛細血管壁だけでなく、血管と血管を保持しているメサンギウムにも炎症が起こる病気です。原因はひとつだけではなく、さまざまな病気が含まれるとも考えられています。ステロイドが効きにくいことが多く、10年の経過で約50%が末期腎不全に至ります。

二次性ネフローゼ症候群

二次性ネフローゼ症候群は糖尿病、膠原病(全身性エリテマトーデスや関節リウマチ)、慢性肝炎、悪性腫瘍などが原因となって起こります。また、抗リウマチ薬や、非ステロイド性消炎鎮痛剤などの薬剤が原因となることもあります。

症状

尿の泡立ち

尿中にタンパク質が漏れ出ると、尿の泡立ちがみられます。

むくみ

血液中のタンパク質、アルブミンが減少すると、崩れた血管内外のバランスをとるために水分が血管外へと出ていきます。またネフローゼ症候群では腎臓から塩分が排出されにくくなるともいわれています。これにより、体内に塩分・水分が留まり、むくみなどの症状が現れます。

むくみはまぶたからはじまることが多く、両側下肢に広がり、全身性のむくみに進行します。肺に水が溜まり、息苦しさを感じることもあります。

検査・診断

ネフローゼ症候群の診断基準は以下のように定められています。

(1)蛋白尿:3.5g/日以上が持続する。
(2)低アルブミン血症:血清アルブミン値3.0g/dL以下。血清総蛋白量6.0g/dL以下も参考になる。
(3)むくみ
(4)脂質異常症(高LDLコレステロール血症)

上記の(1)と(2)を満たしている場合、ネフローゼ症候群と診断されます。このほか、むくみと脂質異常症が診断の補助となります。

まずは尿検査と血液検査が行われ、上記の基準を用いて診断します。その後、超音波検査やCTで腎臓の形態を評価し、原因疾患を特定するために、腎生検(細い針で腎臓の組織を一部採取する検査)が行われます。腎生検を行うためには約1週間の入院が必要となります。

腎生検が行えない場合

腎臓は非常に血管豊富な臓器であるため、出血しやすい方や、片方の腎臓しかない方、あるいは腎臓が萎縮している方には行うことができません。腎生検が行えなかった場合には、確定診断を得ることはできませんが、診断的治療という意味で治療を先行して行ったり、定期的に尿検査や血液検査を行ったりすることで病状の悪化の有無を確認していきます。

治療

ステロイド療法

原因疾患により、治療期間や薬の効きやすさは変わりますが、基本的にはステロイド療法が第一選択となります。重症例では高容量のステロイドを点滴で投与することもあります。

免疫抑制剤の併用

4週間以上の治療にもかかわらず蛋白尿を抑えられない場合には、ステロイド抵抗性として、一部の環状ポリペプチド抗生物質などの免疫抑制剤を併用します。膜性腎症に対しては、初期からこうした免疫抑制剤が併用されることがあります。ただし、症例によってはステロイド薬や免疫抑制剤の効果が乏しく、難治性ネフローゼ症候群となるケースもあります。

むくみの治療

また、むくみに対する治療やネフローゼ症候群の合併症である高LDLコレステロール血症に対する治療も並行して行います。全身性のむくみがある場合には、塩分制限を行った上で、利尿剤の投与を行い、水分の排出を促します。

高LDLコレステロール血症の治療

高LDLコレステロール血症に対しては、コレステロールの合成速度を抑える薬を中心とした薬物治療を行います。

新薬の登場

ネフローゼ症候群の第一選択薬はステロイド薬ですが、薬を中止すると再燃してしまうケースも存在します。特に微小変化型ネフローゼ症候群は再発が多く、薬を中止できないことによって起こる低身長、肥満、高血圧、骨粗鬆症、感染症などの副作用が問題となっていました。しかし、悪性リンパ腫に対して使用されていた治療薬が、小児期発症(18歳までに発症)でステロイドの減量や中止が困難である、あるいは頻回に再発する難治性ネフローゼ症候群に対して有効であることが、日本における臨床試験で明らかになりました。これを受け、新薬が難治性のネフローゼ症候群 (頻回再発型あるいはステロイド依存性を示す場合) に保険適用となりました。成人発症例の有効性・安全性については現在調査が進められているところであり、使用の際には慎重な姿勢が必要とされています(2018年4月時点)。

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