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全身性エリテマトーデス

最終更新日:
2024年06月20日
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2024/06/20
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2021/01/14
更新しました
2017/04/25
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概要

全身性エリテマトーデス (systemic lupus erythematosus:SLE) とは、免疫システムが誤って自分の正常な細胞や組織を攻撃することで、全身の臓器に炎症や組織障害が生じる自己免疫性疾患です。指定難病の1つであり、日本全国の患者数は約6~10万人と推定されています。男女比は1:9で、妊娠可能な女性に起こりやすく、女性ホルモンが発症に関与すると考えられています。

全身性エリテマトーデスを発症すると、顔に蝶のような形の発疹が出現する蝶形紅斑(ちょうけいこうはん)をはじめ、関節痛、ループス腎炎など全身に多様な症状が現れるため、ステロイドなどを中心に薬物治療を行います。

原因

全身性エリテマトーデスの原因はいまだ明らかではありませんが、遺伝素因に環境要因が加わり、複合的な要因で発症する自己免疫疾患と考えられています。

自己免疫とは本来、細菌やウイルスから身を守る免疫系が、自身の正常な細胞を攻撃する反応です。細菌やウイルスを攻撃する抗体はBリンパ球によりつくられますが、全身性エリテマトーデスでは、Bリンパ球の異常な活性化を伴う自己抗体の産生をはじめ、さまざまな免疫異常がみられます。

また、患者の同胞(兄弟・姉妹)内発症率は一般の人よりも高い傾向にあるほか、まったく同じ遺伝子を持つ一卵性双生児が2人とも全身性エリテマトーデスを発症する確率は約25~50%と報告されていることから、遺伝的要因も発症に関与していると考えられています。近年、網羅的に全ての遺伝子を調べる全ゲノム解析がさまざまな病気で行われており、全身性エリテマトーデスでは自己免疫異常に関与する100個以上の疾患関連遺伝子が同定されています。しかし、一卵性双生児の発症一致率が100%でないことから分かるように、全身性エリテマトーデスは遺伝病ではありません。現時点では遺伝素因に性ホルモン、紫外線、ウイルス感染などの環境要因が関わって発症すると考えられています。

症状

全身性エリテマトーデスでは、皮膚や関節、腎臓など全身に多様な症状が現れますが、その症状の出現パターンや重症度は患者によって異なります。また、治療によって改善しても経過中に悪化を繰り返し(再燃)、悪化したときには発熱、全身の倦怠感(けんたいかん)など全身症状とともに多彩な症状が現れます。以下は、診断につながる特徴的な症状です。

皮膚症状

皮膚症状のタイプはさまざまですが、蝶形紅斑(ちょうけいこうはん)は全身性エリテマトーデスにみられる特徴的な症状です。蝶形紅斑とは、顔に蝶のような形の発疹が現れる皮膚症状で、鼻筋を蝶の体に見立てると、ちょうど蝶が左右に羽を広げたような形のように盛り上がった紅斑を認めることからこのように名付けられています。

このほか、円板状に盛り上がった紅斑、光線過敏症 (強い紫外線を浴びた直後に露光部に皮膚症状が生じる) や、枝毛から脱毛に至る症状が半数以上の患者に認められ、痛みを伴わない口内炎が生じることもあります。

関節痛や関節炎

関節痛、関節炎は特に初期に頻度の高い症状で、左右対称に多関節に生じます。関節リウマチのように関節が変形することは原則ありません。

ループス腎炎

約半数の患者には、ループス腎炎と呼ばれる腎臓の病気が現れます。初期にはたんぱく尿など尿検査の異常だけで特に自覚症状はありませんが、進行に伴って顔や足にむくみが現れるようになります。腎臓に炎症が続くと徐々に腎機能が低下し、適切な治療が行われない場合には腎機能が破綻し、透析療法や腎移植が必要になることもあります。

そのほかの症状

患者によっては、胸膜や心膜に炎症が生じる胸膜炎や心膜炎を発症したり、けいれん、精神症状、脳血管障害などの中枢神経症状が起こることもあります。特に中枢神経病変は腎病変とともに重症病態とされています。

検査・診断

全身性エリテマトーデスの診断には、症状の確認に加えて血液検査が必須です。全身性エリテマトーデスでは、白血球や血小板の減少、貧血が認められるほか、ほぼ全ての患者で抗核抗体が陽性となります。全身性エリテマトーデスが疑われる場合には、抗DNA抗体、抗Sm抗体、抗リン脂質抗体など、特徴的な自己抗体の有無も確認します。

さらに、診断や重症度の評価のために尿検査、画像検査を行うほか、場合によっては病理検査や腰椎穿刺検査で、心膜炎などの心臓、腎臓、関節炎胸膜炎、消化器、中枢神経など各臓器の障害の程度を調べます。多くの場合は入院が必要となります。

治療

全身性エリテマトーデスの治療は、薬物治療が中心となります。もっとも一般的な治療薬はグルココルチコイド(通称ステロイド)ですが副作用が懸念されるため、重症度に応じた用量の調節が重要です。特に重症の場合は、グルココルチコイドを点滴で大量投与するパルス療法が行われます。また、グルココルチコイドの効果が期待したほど得られない場合や、グルココルチコイドの減量・中止を図る場合は免疫調整薬、免疫抑制薬、分子標的薬を併せて用いることがあります。治療早期からこれらの薬剤を併用し、これを軸として早期に寛解(病状が良好な状態)に至ることを目指します。寛解が達成されたら、再燃を防いで寛解を長期にわたって維持すること、グルココルチコイドを最小量または中止することが重要です。

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