原因
全身性エリテマトーデスの原因はいまだ明らかではありませんが、遺伝素因に環境要因が加わり、複合的な要因で発症する自己免疫疾患と考えられています。
自己免疫とは本来、細菌やウイルスから身を守る免疫系が、自身の正常な細胞を攻撃する反応です。細菌やウイルスを攻撃する抗体はBリンパ球によりつくられますが、全身性エリテマトーデスでは、Bリンパ球の異常な活性化を伴う自己抗体の産生をはじめ、さまざまな免疫異常がみられます。
また、患者の同胞(兄弟・姉妹)内発症率は一般の人よりも高い傾向にあるほか、まったく同じ遺伝子を持つ一卵性双生児が2人とも全身性エリテマトーデスを発症する確率は約25~50%と報告されていることから、遺伝的要因も発症に関与していると考えられています。近年、網羅的に全ての遺伝子を調べる全ゲノム解析がさまざまな病気で行われており、全身性エリテマトーデスでは自己免疫異常に関与する100個以上の疾患関連遺伝子が同定されています。しかし、一卵性双生児の発症一致率が100%でないことから分かるように、全身性エリテマトーデスは遺伝病ではありません。現時点では遺伝素因に性ホルモン、紫外線、ウイルス感染などの環境要因が関わって発症すると考えられています。
「全身性エリテマトーデス」を登録すると、新着の情報をお知らせします
「全身性エリテマトーデス」に関連する記事
全身性エリテマトーデス(SLE)の治療の選択肢と日常生活での注意点国立病院機構横浜医療センター 臨床研究部...井畑 淳 先生
全身性エリテマトーデス(SLE)とはどのような病気? 顔の湿疹や腎炎といった症状が特徴である全身性の免疫疾患国立病院機構横浜医療センター 臨床研究部...井畑 淳 先生
膠原病とは?画像でみる膠原病の症状と種類、検査、治療法[医師監修]
不育症や流産を防ぐには?抗リン脂質抗体症候群合併妊娠に対する治療・管理北海道大学大学院医学研究院 免疫・代謝内...渥美 達也 先生
抗リン脂質抗体症候群とは?血栓症や脳梗塞の原因になる自己免疫疾患北海道大学大学院医学研究院 免疫・代謝内...渥美 達也 先生




