概要
光線過敏症とは、日光が引き金となって皮膚のかゆみ、発疹、発赤、炎症などが生じる病気です。
紫外線が原因となる日焼けは健康な人にも起こり得るものですが、通常は反応を示さないような光の量や種類にも反応するものを光線過敏症と呼びます。
薬剤や化学物質などが原因となる場合や、遺伝性疾患などが原因で光線過敏症を引き起こす場合があります。
小児にも成人にもみられ、小児の場合は遺伝的疾患が原因になることが多く、成人では薬剤やそのほかの物質が原因になっていることが多いです。
光線過敏症は原因や症状に応じていくつかの種類があり、顔や首、手などの光が当たる部分にのみ症状が現れるものもあれば、光に当たっていない部分にも症状が現れるものもあります。
症状が軽いうちは自然に症状が消失することもありますが、診断が遅れるなどして症状を繰り返すと、症状が強くなったり、皮膚が厚くなったりすることもあります。
原因
光線過敏症の原因には、薬剤、食品、化学物質などのほか、遺伝性疾患、代謝性疾患などがあります。
薬剤や食品、化学物質などの物質による光線過敏症
光線過敏症の原因には、薬剤や食品、化学物質などがあり、その数は100種類以上にも及びます。
これらの物質を口から摂取したり、皮膚に塗ることで紫外線による皮膚への刺激を強くしたり、光によるアレルギー反応を引き起こしたりすることで皮膚症状が現れるようになります。
光線過敏症を引き起こす代表的な物質には、以下のものがあります。
光線過敏症を引き起こす代表的な物質
病気による光線過敏症
何らかの病気によって光線過敏症が引き起こされることもあり、原因となるものには遺伝性疾患、代謝性疾患、膠原病などがあります。
光線過敏症の原因となる代表的な病気
など
症状
光線過敏症には、症状の特徴によっていくつかの種類があります。
日光蕁麻疹
日光を浴びてから数分程度で蕁麻疹のような大きくて赤い、かゆみを伴う発疹が現れます。
数分~数時間以内に消失することが多いですが、長期間続くこともあります。
蕁麻疹の範囲が広い場合は、頭痛や吐き気など皮膚以外の症状が現れることもあります。
光毒性光線過敏症
日光を浴びた皮膚に痛み、発赤、炎症、皮膚の変色(褐色や青灰色)などの日焼けと似た症状が現れます。
通常、日光を浴びてから数時間以内に発生し、光線過敏症の原因となる薬剤や化合物を服用したり、皮膚に塗ったりした後に起こることがあります。
光アレルギー性光線過敏症
特定の薬剤や化学物質に接触した後に日光を浴びることでアレルギー反応が起こります。
日光を浴びた後に発赤や鱗屑と呼ばれるうろこ状のくず、かゆみ、蕁麻疹に似た水疱や斑点などが現れます。
光アレルギー性光線過敏症では、日光を浴びていない部位にも症状が現れることがあり、日光を浴びてから24~72時間以内に発生することが多いです。
多形日光疹
光線過敏症の中でも不明点が多いものの1つで、日光を浴びた部位にかゆみのある赤みや発疹、水ぶくれのようなものができます。
原因は不明ですが、女性や日に当たる機会の少ない人にみられることが多いです。
通常は日光を浴びてから30分~数時間で発生し、数日から数週間以内に自然に消失します。
検査・診断
光線過敏症が疑われる場合、皮膚の症状が日光を原因としたものであるかを調べるために光線過敏試験と呼ばれる検査を行います。
光線過敏試験では、いくつかの波長の異なる光線を背中に当てたときの皮膚の変化を観察したり、光線過敏症の原因として疑われる物質を貼った皮膚に光線を当てたときの様子を観察したりします。
また、何らかの病気が原因となっていることもあるため、血液検査などで光線過敏症を引き起こし得る病気の有無を調べることもあります。
治療
光線過敏症が薬剤や化学物質への接触によるものである場合は、それらの使用を中止して患部の遮光を行います。
遮光は衣類やサポーター、日傘などを使用するほか、日焼け止め(サンスクリーン剤)を使用することも効果的です。
遮光は原因物質を中止してから少なくとも1週間程度は続ける必要があります。わずかな光線でも症状の悪化や再燃を引き起こすことがあるため、屋外、屋内にかかわらず注意する必要があります。
すでに現れている症状に対しては、炎症を抑えるステロイド外用剤やかゆみを抑える抗ヒスタミン剤などを使用します。また、症状が強い場合はステロイド剤の内服や注射を行うこともあります。
症状がなくなった後も症状を繰り返す場合があるため、数か月にわたって遮光が必要になることもあります。
予防
光線過敏症が病気によるものである場合は、原因疾患の治療を行うことで症状が改善することもあります。しかし遺伝性疾患などは治療法がなく、場合によっては生涯にわたって光線過敏症を防ぐ対策が必要になります。
光線過敏症の予防には帽子や長袖の衣服を着用する、化粧(ファンデーション)や日焼け止めなど、治療の際と同様の対策が有効です。
具体的にどのような予防対策が有効かは光線過敏症のタイプによっても異なるため、主治医の指導に従うことが大切です。
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