ぽるふぃりんしょう

ポルフィリン症

最終更新日
2021年12月27日
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2021/12/27
更新しました

概要

ポルフィリン症とは、ポルフィリンと呼ばれる物質が皮膚や血液、肝臓などの臓器に蓄積することによって生じる病気の総称です。

ポルフィリンは、赤血球のヘモグロビンに含まれるタンパク質(ヘムタンパク)が作られる過程で産生される物質です。一方で、神経に対する毒性を示したり、日光の光を吸収すると有害な活性酸素を産生したりする物質でもあります。このヘムタンパクを作るのに必要な酵素に遺伝子の変化による異常が生じ、ポルフィリンが体内に過剰に蓄積するとポルフィリン症を発症します。

主に、皮膚の症状を引き起こす“皮膚型ポルフィリン症”と、運動麻痺(うんどうまひ)や腹痛などの症状を急激に発症する“急性ポルフィリン症”の大きく2つに分けられます。現在、皮膚型ポルフィリン症は5つ、急性ポルフィリン症は4つのタイプに分類されており、それぞれ症状や遺伝様式が異なるのが特徴です。

治療では、いずれのタイプも症状の発症を防いだり緩和したりするための対症療法が行われます。しかし、ポルフィリン症は光線過敏症状や神経麻痺などさまざまな症状を引き起こし、QOL(生活の質)を著しく低下させることのある病気であるため、新たな治療法の開発が進められています。

種類

現在、ポルフィリン症は9つのタイプに分けられています。

大きく分けると、皮膚症状がメインの皮膚型ポルフィリン症と運動麻痺や腹痛などの症状を引き起こす急性型ポルフィリン症の2つです。

皮膚型ポルフィリン症は、先天性赤芽球性ポルフィリン症・赤芽球性プロトポルフィリン症・X連鎖優性プロトポルフィリン症・晩発性皮膚ポルフィリン症・肝性赤芽球性ポルフィリン症の5つがあります。一方、急性型ポルフィリン症は、急性間欠性ポルフィリン症・アミノレブリン酸脱水素酵素欠損性ポルフィリン症・異型ポルフィリン症・遺伝性コプロポルフィリン症の4つです。

それぞれもっとも多くみられるのは、晩発性皮膚ポルフィリン症、急性間欠性ポルフィリン症とされています。

また、ポルフィリン症はポルフィリンが産生される場所によって肝性ポルフィリン症と骨髄性(こつずいせい)ポルフィリン症に分類されることもあります。

原因

ポルフィリン症の根本的な原因は、赤血球のヘモグロビンの材料である“ヘムタンパク”を作る酵素に異常が生じることです。これにより、ヘムタンパクの生成過程で生じるポルフィリンが皮膚、血液、肝臓などの臓器に過剰に蓄積することによって引き起こされます。

ポルフィリン症はいずれのタイプも遺伝によって引き起こされる病気です。遺伝の仕方は、常染色体性優性(顕性)遺伝・常染色体性劣性(潜性)遺伝・X染色体連鎖など病気のタイプによって異なります。しかし、晩発性皮膚ポルフィリン症は、遺伝がなくてもアルコール性肝障害C型肝炎などの病気に併発して発症しやすいとされています。また、遺伝的な要因に加えて経口避妊薬などの内服、過度なストレス、感染症、栄養失調などが発症の引き金となることも少なくありません。

症状

ポルフィリン症の症状はタイプによって異なります。

皮膚型ポルフィリン症は、日光にさらされると活性酸素を産生するポルフィリンが皮膚に蓄積するため、皮膚が日光にさらされると赤み、腫れ、痛みなどの症状を引き起こして水ぶくれやかさぶたができるケースも少なくありません。このような症状を繰り返すことで皮膚が硬くなり、関節運動に支障をきたす場合もあります。また、日光に当たりすぎると肝臓の機能が悪化するタイプもあるため注意が必要です。

一方、急性型ポルフィリン症は非常に強い腹痛・嘔吐・下痢などの消化器症状が発作のように現れること知られており、運動神経麻痺、幻覚や妄想などの精神症状、血圧上昇・頻脈などの循環器症状を伴うこともあります。適切な治療を継続しなければ、呼吸をするための筋肉が麻痺するなどして命を落とすケースもあります。

検査・診断

繰り返される皮膚の光線過敏症状、急性の腹部症状があることや、家族に同じ症状がある、すでにポルフィリン症と診断された人がいる場合は、血液検査、尿検査、遺伝子検査などを行います。

血液検査では貧血や肝機能低下の有無などが確認されますが、ほかの病気との鑑別のために炎症の有無などを評価するのが一般的です。また、尿検査ではポルフィリン症を発症すると尿中の排泄量が多くなる物質の量が調べられます。

そのほかにも、ほかの病気との鑑別や肝臓の状態などを評価するためにX線、CTなどの画像検査を行うこともあります。

治療

ポルフィリン症を根本的に治す方法は現在のところ確立しておらず、発症予防や症状緩和のための対症療法が行われます。

具体的には、皮膚型ポルフィリン症は日光を避けるための日焼け止めなどの使用が行われ、皮膚症状が出た場合はステロイドや抗菌薬の塗り薬を使用するのが一般的です。

一方、急性型ポルフィリン症で腹痛などの急性症状がある場合は、ブドウ糖の注射や痛みを緩和させるための鎮痛剤などが使用されてきましたが、2013年にはポルフィリンが産生される段階で作られる物質の蓄積を抑えるヘムアルギネート製剤が使用できるようになりました。

また、2021年8月には、急性肝性ポルフィリン症に対する新たな治療薬としてRNAi治療薬の販売が開始になりました。この治療薬は急性肝性ポルフィリン症の急性発作を予防することができる薬剤です。RNAi治療薬は、遺伝子情報に関わるメッセンジャーRNA(mRNA)にはたらきかけ、病気を引き起こすタンパク質が作られるのを抑える薬です。RNAi治療薬の登場により、遺伝性の病気や感染症などさまざま病気の治療選択肢が広がる可能性が指摘されています。

予防

ポルフィリン症の多くは遺伝が関与しているため、明確な予防法は確立していません。

しかし、ポルフィリン症は症状が出るのを防ぐことができる病気でもあります。

具体的には、皮膚型ポルフィリン症では日光を避けることが大切であり、急性型ポルフィリン症では急性症状の引き金と考えられている抗けいれん薬や睡眠薬、経口避妊薬などの使用を避け、感染や過度なストレス、低栄養、アルコール摂取などに注意することが大切です。また急性発作を予防することができる薬剤も使用可能です。

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