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インタビュー

ネフローゼ症候群の症状について - むくみや尿の泡立ちがサイン?

ネフローゼ症候群の症状について - むくみや尿の泡立ちがサイン?
向山 政志 先生

熊本大学 大学院生命科学研究部 腎臓内科学分野 教授

向山 政志 先生

ネフローゼ症候群とは、腎臓の糸球体に生じた炎症や機能異常によって尿にタンパクが多量に出ることで、体にさまざまな不調が起こる病気です。日本では、1年間におよそ4,000人の患者さんが新たに発症しているといわれています。ネフローゼ症候群に罹患すると、むくみや体重増加によって体の異変に気付くことも多く、早期の対応で改善が望めますが、しばらく放置した場合や病状が急に進行する場合は、腎不全に陥ることがあります。ネフローゼ症候群の症状や原因、分類について、熊本大学大学院生命科学研究部・腎臓内科学分野教授の向山政志(むこうやままさし)先生にお話を伺いました。

ネフローゼ症候群とは、腎臓で尿を濾過するときに主役を果たす糸球体と呼ばれるフィルターが炎症や機能障害を起こすことによって、本来血液中にとどまるはずのタンパクが多量に尿に出てしまい、その結果、体にさまざまな不調が起こる病気です。

血中の主なタンパク質であるアルブミンには、浸透圧によって血管内に水分を一定に保つ働きがありますが、腎臓の炎症・機能異常で血中アルブミンが減少すると、血管内の水分が血管外に漏れてしまいます。すると、その水分が皮下に蓄積してむくみを引き起こし、全身の血行不良、栄養不良や腎血流障害などの症状が起こります。

日本腎臓学会の調査では、1年間におよそ4,000人の患者さんがネフローゼ症候群を発症しているといわれています。

ネフローゼ症候群は中等度以上(検尿で2+以上)のタンパク尿で始まりますが、最初のうちは症状もあらわれにくく、初期症状でネフローゼ症候群に気づくケースは必ずしも多くありません。尿にタンパク質が混ざると尿が泡立ちやすくなるため、そこで異変に気付く場合もあります。

ネフローゼ症候群の患者さんの尿の色や泡立ち
尿タンパクの検査 画像提供:熊本大学 向山政志先生

ネフローゼ症候群が進行すると、さらに多量の尿タンパクが出るようになります。通常、尿に含まれるタンパク質は1日に0.15g未満と微量ですが、ネフローゼ症候群になると1日に3.5g以上の尿タンパクが出ます。すなわち、この量は通常時に比べて20倍以上ですから、非常に多いことがわかります。また、血中のアルブミン値は通常4〜5g/dl(デシリットル)ですが、ネフローゼ症候群になると3g/dl以下に減少します。

<ネフローゼ症候群の定義>

・尿タンパク量が1日3.5g以上

・血中のアルブミン値3.0g/dl(デシリットル)以下(あるいは総タンパク量6.0g/dl以下)

尿タンパクや血中タンパクの数値は、通常の健康診断でも測定できるため、その時点でネフローゼ症候群と判明する場合もあります。

前述の通り、アルブミンは血中の水分量を調整する働きを持っています。ネフローゼ症候群が進行してアルブミンの血中濃度が低下すると、血管外に漏れ出した水分がむくみとなってあらわれます。また、血液の総量が減るので体は脱水と勘違いしてNa(ナトリウム)と水を貯め込み、その結果尿量が徐々に減少して体内に水分がたまり、体重増加につながります。同じ食生活をしているはずなのに1週間前より3kgも体重が増えた、といった場合にはネフローゼ症候群を疑う根拠となります。

ネフローゼ症候群の患者さんのむくみの症例写真
むくみの症例写真 画像提供:熊本大学 向山政志先生

タンパク尿からむくみに進行するスピードは、早い場合で2〜3日、遅い場合には1か月ほどかかります。しかしながら、病気の種類や患者さんの重症度によって症状経過のスピードは変化するので、すべてがこの通りではありません。

ネフローゼ症候群が進行すると、腎機能低下ののち、腎不全に陥ります。末期腎不全(腎不全が進行して治療を施さないと命を脅かす状態)になると透析治療(腎機能を人工腎臓によって補う治療法)が必要になり、さらに脳梗塞心不全といった心血管疾患のリスクが高まります。最近では治療法の発達により、腎臓病だけで命にかかわることはまれですが、早期に発見して治療を行うことが最善の方法であるため、専門医の指示のもと適切に治療を行うことが重要です。

医師の診察を受ける患者さん

ネフローゼ症候群は、一次性ネフローゼ症候群と二次性ネフローゼ症候群の2つに大別できます。成人の場合にはほぼ同数〜2:1程度の割合で発症しますが、小児の場合には一次性ネフローゼ症候群が圧倒的に多くみられます。

一次性ネフローゼ症候群とは、腎臓の炎症・機能異常を引き起こす原因が特定できないものをさします。多くの場合、腎臓における何らかの免疫異常が原因で起こるといわれていますが、現段階では明確なメカニズムは解明されていません。また先天性ネフローゼ症候群や遺伝性腎炎など、ごく特殊な場合を除いてネフローゼ症候群は遺伝しません。一次性ネフローゼ症候群は、以下のように分類されます。

<一次性ネフローゼ症候群のおもな分類>

  • 微小変化型ネフローゼ症候群
  • 膜性腎症
  • 巣状(そうじょう)分節性糸球体硬化症
  • 膜性増殖性糸球体腎炎
  • メサンギウム増殖性糸球体腎炎(IgA腎症を含む)
  • 半月体形成性糸球体腎炎

微小変化型ネフローゼ症候群は、小児に起こるネフローゼ症候群の7割以上を占めます。一方、成人の場合には膜性腎症、次いで微小変化型が多く、巣状分節性糸球体硬化症と膜性増殖性糸球体腎炎はそれぞれ10%ほどの発症頻度です。

二次性ネフローゼ症候群とは、腎臓以外に起こった疾患が原因となって腎臓の炎症や機能異常を引き起こしているものをさします。原因となる代表的な疾患には、糖尿病による糖尿病性腎症や、SLEに代表される膠原病高血圧による腎硬化症などがあります。

<二次性ネフローゼ症候群の原因となるおもな疾患>

記事2『ネフローゼ症候群の検査と治療-治療中に注意するべきこととは』では、ネフローゼ症候群の検査と治療、患者さんが生活面で気をつける点についてご紹介します。

 

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