インタビュー

子どもがかかる病気と治療⑦ 急性糸球体腎炎/ネフローゼ症候群/尿路感染症/膀胱尿管逆流

子どもがかかる病気と治療⑦ 急性糸球体腎炎/ネフローゼ症候群/尿路感染症/膀胱尿管逆流
五十嵐 隆 先生

国立研究開発法人国立成育医療研究センター 理事長

五十嵐 隆 先生

この記事の最終更新は2016年11月27日です。

急性糸球体腎炎(きゅうせいしきゅうたいじんえん)とは、腎臓に炎症が起こって、尿が出にくくなる病気です。体のむくみ、血尿、高血圧がおもな症状で、突然発症しますが、適切な治療でほとんどのものが完治します。

急性糸球体腎炎とは、腎臓に炎症が起こって、尿が出にくくなる病気です。体がむくんだり、血尿が出たり、高血圧になったりします。ほとんどの場合、のどの痛みを引き起こす溶連菌(ようれんきん)に感染した数週間後に発症するので、溶連菌感染後急性糸球体腎炎(ようれんきんかんせんごきゅうせいしきゅうたいじんえん)と呼ばれます。ただし、溶連菌感染症とはっきり診断されている例は少なく、急性糸球体腎炎になったために調べてみると、溶連菌に感染していた証拠が見つかるという場合が多いようです。子どもでは3〜10歳の男の子に多いです。治療は、安静にして、塩分制限を行い、むくみや高血圧を改善させることです。利尿薬や降圧薬が必要な場合もありますが、これらの治療でほとんどのものが完治します。

(東京女子医科大学医学部 腎臓小児科 講師 三浦健一郎先生)

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おしっこ(尿)の中にタンパク質が大量にもれて、全身がむくむ病気です。治療は、ほとんどの場合でステロイドが効きますが、再発が多いため、免疫抑制薬を用いる場合もあります。

ネフローゼ症候群とは、腎臓から大量のタンパク質がおしっこ(尿)中にもれる病気です(タンパク尿)。まぶたが腫れぼったくなったり、足がむくんだり、おなかまわりが大きくなることで気づかれます。尿量が少なくなり、体重が増えます。進行すると、だるい、食欲がない、下痢、嘔吐、腹痛などの症状も現れます。ほとんどの場合はステロイドが有効で、タンパク尿は消え、むくみなどの症状もとれますが、ステロイドを減らしたり中止したりすると再びタンパク尿が出る(再発する)ことが多いです。再発が多い場合には、ステロイドの副作用(肥満、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)白内障(はくないしょう)など)が強くならないように、免疫抑制薬を使用する必要があります。

(東京女子医科大学医学部 腎臓小児科 講師 三浦健一郎先生)

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尿路感染症とは、膀胱や腎臓などおしっこ(尿)の通り道に細菌またはウイルスが感染し、尿がにごったり、血尿が出たりする病気です。細菌性の場合は、抗生物質の内服や点滴を行います。

尿路感染症とは、膀胱や腎臓に細菌またはウイルスが感染し、尿がにごったり、血尿が出たりする病気です。膀胱だけに感染している場合を膀胱炎と言い、頻尿や排尿時痛、残尿感(などの症状が出ます。病原体が腎臓にまで感染した状態を腎盂腎炎(じんうじんえん)と言い、発熱や背中の痛みを伴います。小さな子どもの場合は、自分から症状を訴えることができないため、発熱や食欲低下だけが症状の場合も多いです。原因として、膀胱尿管逆流(膀胱から腎臓に向かっておしっこが逆流すること)を伴っている場合もあります。治療は、水分を多くとり、おしっこを我慢しないことです。細菌性の場合は、抗生物質の内服または点滴を行います。

(東京女子医科大学医学部 腎臓小児科 講師 三浦健一郎先生)

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膀胱から腎臓に向かっておしっこ(尿)が逆流する現象で、尿路感染症の原因になります。逆流の程度が重い場合は、予防的に抗生物質を内服するか、手術を行います。

膀胱尿管逆流とは、膀胱から腎臓に向かっておしっこ(尿)が逆流する現象で、尿路感染症という病気の原因になります。そのため、くり返しにかかる場合は、膀胱尿管逆流がないかどうかを調べる必要があります。検査は、細い管を尿道から入れて、この管を通して膀胱内に造影剤を注入し、それが腎臓のほうまで流れていくかをみるというものです。逆流の程度が軽い場合は、何年かたつうちに自然に治ることが多く、通常は治療の必要はありません。逆流の程度が重い場合は、自然に治る可能性が低く、尿路感染症をくり返す可能性があるため、予防的に抗生物質を内服したり、手術で逆流を止めるようにします。

(東京女子医科大学医学部 腎臓小児科 講師 三浦健一郎先生)

 

※この記事は2012年当時の情報に基づいて記載しております。

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