インタビュー

子どもがかかる病気と治療⑧ 水腎症/夜尿症/外陰炎・亀頭包皮炎/包茎/低身長/肥満

子どもがかかる病気と治療⑧ 水腎症/夜尿症/外陰炎・亀頭包皮炎/包茎/低身長/肥満
五十嵐 隆 先生

国立研究開発法人国立成育医療研究センター 理事長

五十嵐 隆 先生

この記事の最終更新は2016年11月27日です。

水腎症(すいじんしょう)とは、腎臓にある腎盂(じんう)が拡がって、水たまりのようになる症状です。程度が軽い場合は治療の必要はありませんが、重い場合は腎臓への負担を調べる検査が必要です。

腎臓の中でおしっこ(尿)が集まってくる場所を腎盂と言います。腎盂は尿管につながっていて、さらに膀胱へと尿が流れていきます。水腎症とは、腎盂の部分が拡がって、水たまりのようになる症状です。腎盂と尿管のつなぎ目のところが狭いことがおもな原因です。水腎症の程度が軽い場合は腎臓に負担はかからないので、何も治療はせず、定期的に検尿や超音波検査だけを行います。程度が重い場合は、尿の流れが悪すぎて腎臓に負担がかかっていないかを診るための検査(レノグラム)を行います。症状によっては手術が必要になることがあります。また、膀胱尿管逆流を伴うことがあるので、尿路感染症に注意する必要があります。

(東京女子医科大学医学部 腎臓小児科 講師 三浦 健一郎先生)

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夜尿症(おねしょ)は普通は成長とともに治っていきますが、生活全般への悪い影響を考えると、5~6歳を過ぎても治る傾向になければ、積極的に治療することが望ましいでしょう。

夜尿症(おねしょ)とは、夜寝ているあいだにおしっこ(尿)をもらすことです。膀胱の容量が小さいことや、夜間に尿を濃くする力が弱いこと、眠りが深いことがおもな原因です。腎臓病や糖尿病などが隠れていることもあります。夜尿症は普通は成長とともに治っていきます。しかし、心理的なストレスによって生活全般や精神面、学業面に悪い影響が出たり、10代以降も引き続き治らないこともあるため、5~6歳を過ぎても治る傾向にない場合、積極的な治療が望ましいでしょう。1日の排尿状況を調べたうえで、各種薬剤やアラーム療法による治療が行われますが、かなりの効果があります。本人の治そうとする意欲も大切です。 

(東京女子医科大学医学部 腎臓小児科 講師 三浦 健一郎先生)

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外陰炎亀頭包皮炎(きとうほうひえん)は、細菌に感染して起こる炎症のため、炎症が起こったところを清潔に保つことが重要です。それでも不十分な場合は、抗生物質の軟膏を使用して治療します。

外陰炎とは外陰部に細菌が感染し、炎症を起こした状態を言います。小さな子どもの場合、おむつかぶれや清潔にする習慣ができていないことが原因で外陰炎を起こすことがあります。思春期以降は性交渉によるものも考える必要があります。治療としては、まず清潔を保つことを心がけ、それでも不十分な場合は抗生物質の軟膏を使用します。

亀頭包皮炎とは包皮と亀頭のあいだに細菌が感染した状態を言います。包皮や亀頭が赤く腫れたり、排尿時などに痛みがあったり、みが出ることがあります。治療は、清潔に保つことと、抗生物質の軟膏を塗ることです。症状が強い場合には飲み薬の抗生物質を使用する必要があります。 

(東京女子医科大学医学部 腎臓小児科 講師 三浦 健一郎先生)

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包茎とは、包皮をむいて陰茎の先端を露出することができない状態を言います。排尿時の問題がなく、亀頭包皮炎もくり返さなければ、とくに治療の必要はありません。

包茎とは、包皮をむいて陰茎の先端を露出することができない状態を言います。赤ちゃんの多くが包茎ですが、病気ではありません。幼稚園児や小学生になっても、包茎の状態が続くことがよくありますが、基本的には治療の必要はありません。無理に包皮をめくる動作をくり返すことによって、かえってくっついてしまい、包茎がひどくなる場合もあります。また、包皮が元に戻らなくなって亀頭の部分の血流が悪くなり腫れ上がってしまう場合(嵌頓包茎(かんとんほうけい))もあります。衛生管理に気をつけていても亀頭包皮炎をくり返す場合や、排尿時に最後まで包皮がプクッとふくらんでしまう場合は、ステロイド軟膏による治療を行います。

(東京女子医科大学医学部 腎臓小児科 講師 三浦 健一郎先生)

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標準成長曲線上で、平均よりも-2SD(standard deviation:標準偏差)以下の場合を指します。多くの場合は体質的なものですが、まれに脳腫瘍など命にかかわる病気の場合もあります。

低身長は、身長が標準成長曲線上で、平均よりも-2SD以下の身長の場合、すなわち、100人中2~3番目よりも小さい人のことを言います。低身長は、統計学的な定義であり、病気ではありません。しかし、病気により低身長になることもあります。とくに、成長速度が遅れてきている場合には、病気の可能性が高くなります。病気のなかには、ホルモンの分泌異常によるもの、染色体の異常によるもの、全身の骨の病気によるものなどがあります。ホルモンの分泌異常の場合には、脳腫瘍によることもあります。治療は、病気に応じて行いますが、ホルモン分泌不全の場合には、ホルモンの補充を行えば、成長率の改善が期待できます。

(帝京大学医学部附属病院 小児科 講師 磯島 豪先生)

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肥満とは、体脂肪が増えすぎた状態で、肥満度が20%以上のものを指します。多くは食べすぎなどが原因ですが、内分泌や先天性の異常による症候性肥満もあります。

肥満とは、標準体重と比べて体重が増えすぎており、体脂肪が増加した状態を指します。肥満度(%)は{実測体重−標準体重}÷標準体重×100で計算でき、20%以上が肥満となります。肥満は、遺伝や今かかっている病気(内分泌や神経学的な異常)が原因で起こる「症候性肥満」と、食べすぎや運動不足が原因で起こる「単純性肥満」に分けられます。肥満の90%を占める「単純性肥満」では、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回っていたり、夜遅く食べるためにエネルギーをためやすい生活を送っていることが多いため、生活習慣を見直して改善するようにします。「症候性肥満」では、原因を見つけて、その治療を食事療法とともに行います。

 (医療法人社団保健会谷津保健病院 小児科 部長 塚田 日出樹先生)

 

※この記事は2012年当時の情報に基づいて記載しております。

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