インタビュー

夜尿症(おねしょ)の治療

夜尿症(おねしょ)の治療

国立成育医療研究センター

田中 俊之 先生

石黒 精 先生

国立成育医療研究センター 教育センター センター長/臨床研究センター 副センター長/臨床研究教...

石黒 精 先生

この記事の最終更新は2016年04月07日です。

夜尿症の多くは年齢が大きくなるにつれて自然に治癒します。しかし、小学生になっても毎晩おもらしをしているようであれば、医療機関への受診を考えてもよいでしょう。適切な治療をすれば、自然治癒の経過よりも早くに夜尿症が改善することが期待できます。

受診のタイミングは、子どもの個性やご家庭の方針によっても異なります。下記が目安となります。

5歳以下:毎晩おもらしをしていても心配はいりません。ご家庭で生活の工夫をしながら経過をみましょう(詳細は『子どもの夜尿症(おねしょ)への対応・対策』)

6~7歳:週の半分以上おもらしがあるようでしたら、一度小児科あるいは泌尿器科を受診することをおすすめします。

8~9歳:週に複数回続くようでしたら、受診をおすすめします。

10歳以降:週に1回はおもらしするのであれば、受診をおすすめします。

ただし、上記にあてはまらない場合でも受診をしたほうがよい場合もあります。今まで夜尿がなかったのに、あるときから突然夜尿が出現しだした場合がこれに当てはまります。ご両親が心配だ、異常だと感じたら、一度受診をしてください。

夜尿症についての受診先は小児科か泌尿器科となります。念のため、受診前に受診先に連絡し、夜尿症に対応できるか相談しましょう。また、受診の際に夜尿の記録(夜尿日記)を持って行くことで、その後の診断や治療が上手くに進んでいきます。

夜尿症と診断されたとき、一般的には薬物療法が中心となります。しかし、薬物療法が絶対に必要というわけでも、必ず効果があるというわけでもありません。治療は日常生活の改善が基本であり、日常の生活指導なしには薬物療法の効果は最大限に得られないのです。

薬物療法では主に抗利尿ホルモン薬、抗コリン薬、三環系抗うつ薬が使用されています。

抗利尿ホルモンは体に水分を貯めるように働くホルモンで、人工的に合成された抗利尿ホルモン薬を使うことでおしっこの量を減らします。

抗コリン薬は副交感神経系の働きを抑え、膀胱に直接作用することで、膀胱でたくさんの尿を貯められるようになる効果があります。

三環系抗うつ薬は抗利尿ホルモンと抗コリン薬の作用を併せ持つ効果があるといわれています。本来は気分を明るくするためのお薬ですが、排尿しづらくするという副作用を逆に利用しています。

夜尿アラームとは、パンツにおもらしをしてしまった際に水分を感知してアラームが鳴る装置です。夜間におもらしが始まるとアラームが作動するため、子どもが覚醒し尿意を感じます。目が覚めて排尿を抑制することで、次第に膀胱容量が増加することを狙っています。アラーム療法で効果があった子どもたちは、睡眠中の膀胱容量が実際に増えていることが分かっています。

アラーム療法は抗利尿ホルモン薬とならんで夜尿症治療の重要な位置づけといえます。最近では様々な工夫がなされたアラームが開発されており、オンラインストアなどでの購入もしやすくなっています。しかし、詳しい使用方法については、医師の指導を受けることをお勧めします。

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