インタビュー

子どもがかかる病気と治療⑩ うつ病/性器をいじる/自閉症スペクトラム/注意欠陥多動性障害/先天性歯/歯ぎしりなど

子どもがかかる病気と治療⑩ うつ病/性器をいじる/自閉症スペクトラム/注意欠陥多動性障害/先天性歯/歯ぎしりなど
五十嵐 隆 先生

国立成育医療研究センター理事長 日本小児科学会前会長

五十嵐 隆 先生

うつ病

憂うつ、やる気が出ない、眠れない、食欲がない、だるいなどの症状が起こる心の病気です。子どもでは憂うつ感が目立たない場合も多く、うつ病と気づかれないこともあります。 

うつ病は気分が落ち込み、意欲が低下し、思考がにぶくなり、身体面に症状が出る病気です。大人のうつ病と違い、子どもは憂うつ感を訴えず、不機嫌、イライラ、落ち着きのなさだけが目立つことが多いため、うつ病と気づかれないことが多く、注意が必要です。成績が急に悪くなる、友達と会いたがらない、好きな遊びもせずにゴロゴロする、食欲の変化(食欲低下・食欲亢進)、朝は具合が悪くて夜になると軽くなる(日内変動)、なかなか寝つけないなどの睡眠の異常、腹痛や頭痛がする、学校に行けないなどが見られたら、うつ病を疑います。治療は、まずは安心して休める環境を作り、必要に応じて抗うつ薬などの薬による治療を行います。 

(国立障害者リハビリテーションセンター 児童精神科 金 樹英先生)

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性器をいじる

乳幼児に見られる癖の一種で、性的な意味合いはありません。楽しい遊びや活動に目を向けさせることで、成長につれて自然に見られなくなります。

性器をいじって刺激や快感を楽しむ行動は乳児期から小学校入学前後まで見られます。湿疹、おむつかぶれによるかゆみや不快感をきっかけに、また、自分の身体を触っているうちに、偶然に性器をなでると気持ちがいいことに気づいて始まる行動です。思春期のような性的な意味合いはなく、退屈を紛らわせたり、緊張や不安な思いを落ち着けたりするための遊びや癖のようなものです。強く叱る、しつこく注意するのは逆効果です。見かけたら、声をかけ、優しく抱き上げたりして間接的に行為をやめさせ、楽しい遊びや活動に気を向けさせます。陰部を清潔にし、皮膚炎がないか確認しましょう。小学校に入るころには自然に見られなくなります。

  (国立障害者リハビリテーションセンター 児童精神科 金 樹英 先生)

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自閉症スペクトラム

人とかかわり合う能力や、コミュニケーションをとる能力、想像力などに生まれつきの障害があります。環境調整や、トレーニングなどの対応法を考えていくことが大切です。

人とかかわり合う能力や、コミュニケーションをとる能力、想像力などに障害があります。知的な能力が高く、言語発達の遅れもない場合はアスペルガー症候群と言われます。興味の幅が狭い、好きなことに夢中になりやすい、人の気持ちをくみ取ることができない、こだわりが強い、感覚が過敏である、などの症状から、学校や家庭で対応に困ることがあります。生まれつきの障害ですので、専門医の先生と相談しながら、障害とうまくつき合うことを考えていきましょう。治療として、発達段階に合わせて環境調整や、人とのかかわり方のトレーニングなどを行います。問題となる行動が多い場合には薬による対症療法も行います。 

 (東京大学 大学院医学系研究科  脳神経医学専攻 統合脳医学講座 こころの発達医学分野 石井礼花先生)

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注意欠陥多動性障害(ちゅういけっかんたどうせいしょうがい)(ADHD)

集中できない、じっとしていられない、思いつくとすぐに行動する、といった症状がその年齢としては目立ち、その状況が学校や家庭など2つ以上の環境で続く場合に診断されます。

注意欠陥多動性障害は、不注意、多動性、衝動性などの症状がその年齢としては目立ち、2つ以上の環境で起きるものです。症状は12歳以前から始まります。学童期の子どもの3〜5%に見られるなど頻度は低くありません。成長に伴い改善することが多いのですが、30%程度では成人期にも症状が続くと言われています。忘れ物が多い、授業に集中できないといった症状で気づかれます。育て方の問題ではなく、脳内の物質の働きがよくないために起こると考えられています。早期からの治療が大切で、学校での教育環境の整備、家庭内での効果的な指示の出し方を学ぶペアレントトレーニング、本人への行動療法、適切な薬物治療などを行います。

 (東京大学 大学院医学系研究科  脳神経医学専攻 統合脳医学講座 こころの発達医学分野 石井礼花先生)

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先天性歯(せんてんせいし)(出生時から歯が生えている)

先天性歯と呼ばれ、1千人の赤ちゃんに1人程度見られます。乳首を噛んで授乳がうまくできなかったり、ができたりする場合には、歯を削って角を丸くすることもあります。

乳歯は生後6カ月頃に下の前歯から生え始めますが、生まれたときにすでに歯が生えていたり、生後1〜2カ月で生えてきたりすることがあります。これは先天性歯と呼ばれ、1千人の赤ちゃんに1人程度みられます。多くは本来の前歯が早く生えてきたものですが、過剰歯(かじょうし)という余分な歯であることもあります。乳首を噛んで授乳がうまくできなかったり、舌の裏に潰瘍ができたりする場合には、歯を削って角を丸くしたりします。過剰歯であれば、自然に抜けるので様子をみますが、誤って飲み込んでしまうおそれがあれば、抜くなどの処置を行うこともあります。小児科や歯科で相談しましょう。 

(田中歯科クリニック 院長 田中英一先生)

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うしょく(むし歯)

むし歯菌が作る酸によって歯が溶かされた状態のことです。ダラダラ食べや歯みがきをしないなどが重なるとできます。むし歯を防ぎ、しっかり噛んで食べることが大切です。

むし歯とは、むし歯菌(ミュータンス菌)という口の中に常にいる細菌が作る酸によって歯が溶かされ、穴が空いた状態のことです。表面のエナメル質という硬い層を超えて、象牙質という少し柔らかい層に進んで歯の神経に近づくと、しみたり痛くなったりします。むし歯菌だけではむし歯になりませんが、食事をダラダラ食べたり、甘いものをたくさん食べたり、歯みがきをしっかりしないことなどが重なるとむし歯ができます。治療は、むし歯の部分を痛くないように取り除き、高分子でできた材料などを詰めることです。むし歯のない歯でしっかり噛んで食べることが子どもの成長には大切です。小さいころから歯みがきの習慣をつけましょう。

(田中歯科クリニック 院長 田中英一先生)

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歯ぎしり

上下の歯を食いしばったり、すり合わせたりすることです。子どもの歯ぎしりの多くは、あごの成長や噛み合わせの変化に対応しようとする生理的なもので、治療の必要はありません。

歯ぎしりは上下の歯を食いしばったり、すり合わせたりすることです。子どもの歯ぎしりの多くは、あごの成長や噛み合わせの変化に対応しようとする生理的なものです。子どもでは「ギリギリ」と、大人よりも大きな音がすることから、心配されるお母さんが少なくありません。ストレスなどの精神的な理由で起きることはほとんどないので、歯ぎしりへの対応は、多くの場合必要ありません。しかし、歯の神経に近づくほど乳歯がすり減り、痛みが出るようなときには歯の治療が必要になることもあります。また、ある程度成長しても歯ぎしりが続く場合は、昼間にストレスがかかっている場合もあるので、環境を見直してみましょう。

(田中歯科クリニック 院長 田中英一先生)

 

※この記事は2012年当時の情報に基づいて記載しております。

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