
うつ病は、誰でもかかる可能性のある心の病気です。うつ病の症状というと「気分の落ち込み」が一般的ですが、そうした精神的な症状のほかに、身体的な症状が出ることもあります。うつ病の症状について、国立精神・神経医療研究センター 神経研究所 疾病研究第三部 部長・気分障害先端治療センター センター長の功刀 浩先生にお話をうかがいました。
うつ病の症状は、気持ちとして生じる心の症状と、体に現れる症状の2通りがあります。症状の出方は個人により異なるため、典型的なうつ病の症状というものを定義することは難しいです。以下は心の症状、体の症状の一例です。ここに記されていない、一見うつ病の症状ではないようなものも、うつ病の症状である場合があります。
うつ病には、典型的な症状の経過がありません。そのため、典型的な初期症状も定義しにくいです。ですが、初期には寝つけない、何度も目が覚めるといった不眠、不安による症状(胃痛や腹痛など)が生じることが多く、それにより「うつ病ではないか」と気づきやすいです。
前章の症状一覧も含めて、不眠や不安などの症状が2週間以上続くとうつ病の可能性があります。
うつ病の初期症状についてはこちら
うつ病が進行して重症となると、下記の症状が現れます。
今までは泣くようなことがなかった場面で泣いてしまうことが増えます。女性に多い症状です。
昏迷状態(こんめいじょうたい)といって、呼びかけても反応がない、意識はあるが動けない状態が長く続きます。これは無意識に外の世界の情報を遮断し、外の世界に注意が向いていないために起こります。
実際にはそうでないにもかかわらず、そう思い込んでしまうというような、妄想の症状が生じることがあります。以下はうつ病の患者さんに多い妄想です。
うつ病が進行すると、消えたい・死にたいと思うことがあります。この気持ちが強くなると自分を傷つける(自傷行為)、自殺未遂や自殺に至る危険性が高まります。消えたい・死にたい気持ちが強くなる場合には、病院を受診し早急な治療が必要です。
A
- 毎日、一日中、気分が沈んでいる。
- なにに対しても楽しめなくて、興味がわかない
B
- 食欲がない。もしくは体重が減った。
- 寝つけない。夜中や朝方に目が覚めたりする。
- 話し方や動作が遅くなった。もしくは、イライラしたり落ち着きがない。
- 気力がなく、疲れやすい。
- 仕事や家事などに集中できない。
- 「自分には価値がない」とか「◯◯に対して申し訳ない」と感じる。
- この世から消えてしまいたいとか、死にたいと考える。
①Aのどちらか、あるいは両方が当てはまり、AとBを合わせて5項目以上当てはまる。
②該当した症状が2週間以上続き、その症状により強い苦痛を感じていたり、社会的な機能(仕事や家事など)が障害されていたりする。
この場合、大うつ病(典型的なうつ病)と判断されます。
出典:功刀 浩『こころに効く精神栄養学』p15
うつ病の症状に男女差はそれほどありません。ですが、女性に多い症状があります。
更年期障害によるうつ症状は、一般的なうつ病と同様です。しかしながら、更年期障害で生じるうつ症状は更年期障害の治療をすることで回復することもあります。
すでに更年期障害がある、または更年期障害の生じる年代でうつ症状がみられた場合は、まず婦人科を受診してみるといいでしょう。ただし、重度のうつ状態である場合には、精神科への受診が必要となることが少なくありません。
男性も、女性ほど顕著ではないですが加齢やストレスなどで男性ホルモンが減るため、更年期障害があるといわれます。男性の更年期障害でうつ症状が出ている場合に、男性ホルモンを投与すると抑うつ症状が改善することもあります。
しかし、男性ホルモンの投与でうつ状態から回復する例が必ずしも多いわけではなく、中高年の男性うつ症状は、泌尿器科でなく精神科で治療することが一般的です。また、泌尿器科で男性ホルモン治療を行うと、男性ホルモンを自分で産生する能力が低下するため、長期的なホルモン治療が必要となるというデメリットもあります。
うつ病の治療は長期にわたります。また、治療の中心も丁寧な問診に基づいた薬物治療や認知行動療法などになることから、一緒に治療について考えてくれ、自分が話しやすいと思う医師を選ぶことが大切です。自身の話に耳をかたむけてくれる医師がよいでしょう。
受診する診療科は、精神科や心療内科が一般的です。
うつ病の認知度が高まったものの、やはり精神科や心療内科の受診はハードルが高いと感じる方もおられることでしょう。その場合は、かかりつけの内科医や、職場の産業医、学校の養護教諭(保健の先生)や保健センター、市区町村の保健所などでも相談ができます。
帝京大学医学部精神神経科学講座 帝京大学医学部附属病院 メンタルヘルス科 教授
帝京大学医学部精神神経科学講座 帝京大学医学部附属病院 メンタルヘルス科 教授
日本精神神経学会 精神科専門医・精神科指導医日本医師会 認定産業医日本睡眠学会 認定専門医日本老年精神医学会 老年精神医学専門医・指導医東京精神医学会 会員日本社会精神医学会 会員日本児童青年期精神医学会 会員日本人類遺伝学会 会員
東京大学卒後、帝京大学精神科学教室に入り、風祭元教授に薬物療法、廣瀬徹也教授から気分障害の臨床を学び、藤山直樹先生(現上智大教授)より力動的精神療法について学ぶ。南光進一郎先生より研究の手ほどきを受けた後、ロンドン大学精神医学研究所にてRobin Murray教授の指導下に疫学、分子遺伝学的研究を行う。以後、精神疾患の生物学的研究を継続的に行っている。専門は統合失調症やうつ病の脳科学、新たな診断・治療法の開発。最近は、脳脊髄液を用いたバイオマーカーや創薬標的分子に関する研究に精力的に取り組む。また、食生活・栄養に着目した研究も積極的に行っている。
功刀 浩 先生の所属医療機関
周辺でうつ病の実績がある医師
恵比寿駅前メンタルクリニック 院長
日本大学医学部附属板橋病院 精神神経科 部長
血液内科、腎臓・内分泌内科、糖尿病・代謝内科、循環器内科、呼吸器内科、消化器・肝臓内科、腫瘍内科、脳神経内科、心療内科、小児科・新生児内科、精神科、皮膚科、消化器外科、心臓外科、血管外科、小児外科、呼吸器外科、乳腺・内分泌外科、形成外科、脳神経外科、整形外科、リハビリテーション科、産婦人科、泌尿器科、耳鼻咽喉科、眼科、放射線診断科、放射線治療科、疼痛緩和外科、麻酔科、歯科口腔外科、病理診断科、臨床検査科、救急科
東京都板橋区大谷口上町30-1
東武東上線「中板橋」バス・タクシー乗り場なし 徒歩20分、東京メトロ有楽町線「千川」国際興業バス 日大病院行 バス10分
東京慈恵会医科大学附属第三病院 院長
内科、血液内科、リウマチ科、外科、脳神経外科、呼吸器外科、消化器外科、腎臓内科、小児科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、歯科口腔外科、麻酔科、乳腺外科、呼吸器内科、循環器内科、腫瘍内科、消化器内科、肝臓内科、糖尿病内科、内分泌内科、代謝内科、膠原病内科、脳神経内科、肝胆膵外科、肛門外科、内分泌外科、頭頸部外科、精神神経科、総合診療科、病理診断科
東京都狛江市和泉本町4丁目11-1
京王線「国領」小田急バス(約4分):狛江駅北口・狛江営業所行 第三病院前下車 徒歩12分、京王線「調布」南口 京王バス つつじケ丘駅南口行、小田急バス 成城学園前駅西口・渋谷駅・二子玉川駅・狛江駅北口行 慈恵医大第三病院前下車 バス10分、小田急線「狛江」北口 小田急バス 慈恵医大第三病院行、武蔵境駅南口・調布駅南口行、 京王バス 調布車庫前行、調布駅南口行 慈恵医大第三病院前下車 バス10分
慶應義塾大学医学部 ヒルズ未来予防医療・ウェルネス共同研究講座 特任教授
内科、血液内科、リウマチ・膠原病内科、外科、精神科、神経内科、脳神経外科、呼吸器外科、消化器外科、腎臓内科、心臓血管外科、小児科、小児外科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、産科、婦人科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、歯科、歯科口腔外科、麻酔科、乳腺外科、呼吸器内科、循環器内科、消化器内科、内分泌内科、代謝内科、放射線診断科、放射線治療科、精神神経科、総合診療科、病理診断科
東京都新宿区信濃町35
JR中央・総武線「信濃町」 徒歩1分、都営大江戸線「国立競技場」A1出口 徒歩5分、東京メトロ丸ノ内線「四谷三丁目」1番出口 徒歩15分、東京メトロ銀座線「青山一丁目」0番出口 徒歩15分
六番町メンタルクリニック 非常勤
心療内科、精神科
東京都新宿区左門町2-6 ワコービル 4階
東京メトロ丸ノ内線「四谷三丁目」3番出口 徒歩2分、都営新宿線「曙橋」A1出口、A4出口 徒歩10分、JR中央・総武線「信濃町」 徒歩10分、東京メトロ丸ノ内線「四ツ谷」1番、2番出口 徒歩12分
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親と婚約者からの言葉のDV
先生初めまして。 今私は心療内科にかかっています。診断は鬱ですが、今大分症状が落ち着き、隔週の通院も1ヶ月に一回となりました。今回ご相談したいのは、婚約者と実母から受けている言葉のDVです。言葉としては婚約者からは『気狂い』『頭おかしいんじゃねえの?』等実母からは『あんたはいつまでも結婚も決めないで居候しやがって』『お前のせいで血圧が高いんだよ!』等毎日のように言われていて、もうこんな毎日を過ごしているので。自殺願望が出てきました。取材からはその場から離れなさいとしかアドバイスは受けられず話せる相手もいません。台所で自分で調理をしていれば包丁で自分を刺そうとしたこともありました。助けてください。
うつ病と診断されましたが頼れる人がいません。
3日前に心療内科を受診し、うつ病と診断されました。 症状は、倦怠感、やる気がでない、食欲がない、泣いたり笑ったりを繰り返す、眠れない、仕事に行っても2,3時間しか働けない、疲れやすいなどです。 ご飯に関しては、誰かが一緒にいないと食べれません。 今は彼氏が頼みの綱で、彼氏がお盆休みなので看病してくれてますが、来週の木曜日から通常勤務になるので看病してもらうのが難しくなります。親とはいい関係ではないので正直頼りたくないです。職場の人も気を使ってくれてご飯を一緒に食べに行ってくれたりして嬉しいですが、話していてどっと疲れてしまいます。 一人でいると買い物もできないし、日常生活に支障がでているので、誰か頼りたいのですが頼れず困ってます。施設に入って入院でもした方がいいのでしょうか。
ここ一週間鬱のような感じ
先月くらいからもしかしたら鬱かな?と とにかく朝起床が辛く仕事に行けてません。午前中ずっと横になってます、午後になると少し落ち着く感じですが食欲が落ち体重も減ってしまいました。 仕事の負担感やコロナ不安などあるのでしょうか? 心療内科はどこもいっぱいみたいで、予約が取れたのが月末です。 その日まで大丈夫かな?と不安で仕方ないです。
抗うつ薬に抵抗があります。
主人は、抗うつ薬の副作用が怖く、出来れば漢方が良いのですが、うつ病に漢方薬は効くのでしょうか? 神経内科の医師にパーキンソン病と診断されていますが、運動機能よりも、うつ症状の方が強い為、まずはこちらを治すという判断でした。
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