うつびょう

うつ病

最終更新日:
2020年09月14日
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2020/09/14
更新しました
2017/04/25
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医師の方へ

概要

うつ病とは、日常生活に強い影響が出るほどの気分の落ち込みが続いたり、何事にも意欲や喜びを持ったりすることができなくなる病気です。社会生活を送るうえで、悲しいことや不快なことへの遭遇を完全に避けることはできません。そのため、悲しく気分が落ち込む・やる気が起こらないといった状態になることは誰にでもあることです。

一方、うつ病の場合は悲しみの誘因となる出来事がはっきりしなかったり、誘因があったとしても、通常その出来事に対する心的な反応と予測される状態よりはるかに強い症状が引き起こされたりします。また、仕事や日常生活に支障をきたすほど強い症状が現れるのもうつ病の特徴です。

うつ病の原因は遺伝、ストレスのかかる出来事、薬の副作用、ホルモン分泌異常などさまざまなものが挙げられ、日本人の発症率は100人中3~7人とされています。治療の主体は薬物療法ですが、治療に難渋するケースも少なくありません。

原因

うつ病の明確な発症メカニズムは現時点では解明されていません(2020年9月時点)。

しかし、うつ病患者は情動行動を制御する神経伝達物質(神経細胞間の情報伝達に用いられる分子)のなかのセロトニンやドパミンの機能低下が関与している可能性が示唆されています。セロトニンは心を落ち着かせ、ドパミンは活動性を高めて楽しみを感じさせるとされています。

また、脳の海馬や前頭葉などの領域で学習機能に重要な“神経栄養因子”が減少していることも示唆されています。ストレスを受けるとストレスに対処するためにグルココルチコイド(コルチゾール)が分泌されますが、このホルモンが長期に過剰放出されると神経細胞が傷害されることが知られており、うつ病発症を誘起すると考えられています。

一方、抗うつ薬によってセロトニンやドパミン機能を高めると神経栄養因子の機能が増強し、うつ病が回復すると考えられています。また近年では、体の軽度の慢性炎症が脳内の炎症を引き起こすことで発症するメカニズムも想定されています。うつ病では遺伝的要因も関与するとされますが、うつ病リスクを高める強い効果のある遺伝子多型は同定されていません。

さらに、うつ病は甲状腺機能低下症更年期障害など体内のホルモンバランスに乱れを引き起こす病気が要因となって発症することが知られています。また、ステロイド薬(上記のグルココルチコイドなど)や一種の血圧降下薬、インターフェロンなどの副作用としてうつ病が生じることもあります。

症状

うつ病の特徴的な症状は、強い悲しみや気分の落ち込みなど、いわゆる“抑うつ気分”や意欲や喜びの低下が現れることです。しかし、症状の現れ方は人によって大きく異なり、動作が緩慢になって反応が遅くなるケースもあれば、些細なことで怒りっぽくなるといった行動の変化が目立つケースも少なくありません。

また、進行するとさまざまな感情を感じにくくなり、生きている実感がわかないといった症状が現れることもあります。さらに、何事も悪く考えてしまい自己否定的になったり、過度に罪責的になったりすることが多くみられます。“死にたい”と考えるようになり、実際に自殺企図や自殺を遂げるという結果になることもあります。

また、うつ病はこれらの精神的な症状のみではなく、不眠や食欲低下、頭痛、消化器症状といった身体的な不調を引き起こすことが多いのも特徴の1つです。

検査・診断

うつ病は薬の副作用やホルモン分泌異常を引き起こす病気などが原因でない限り、一般的な病気のように血液検査や画像検査で異常が見られることはありません。そのため、うつ病の診断は患者との面接場面で現れている症状、日常生活の困難さ、その誘因などさまざまな情報を総合して下されます。

一方、うつ病は身体的な病気の症状として現れることも少なくありませんので、それらが疑われるときは血液検査や画像検査を行って原因を探っていくことが必要なケースもあります。

治療

うつ病と診断された場合には次のような治療が行われます。

心の休養・環境調整

うつ病はストレスを誘因にして発症することが多いため、過度なストレスがかからない環境において心の休養をさせることが重要です。たとえば、仕事量の増加がきっかけでうつ病を発症した場合は仕事量の軽減や自宅療養などの措置を行います。

薬物療法

うつ病治療の主体となるのは薬物療法です。近年、主に用いられるのは脳内のセロトニン濃度を高める作用を持つ選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)とされています(ただし、選択的に作用するのは細胞レベルでの話であり、SSRIではドパミンも増加することが多い)。そのほか、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI)や三環系抗うつ薬などがあります。効果には個人差があり、必ずしも処方された抗うつ薬が有効であるとは限りません。抗うつ薬は通常、効果発現までに4~8週間という時間がかかることにも注意が必要です。上記の抗うつ薬に反応しない場合、抗精神病薬が使われることもあります。また、うつ病によって引き起こされる身体症状を改善するため、睡眠薬や抗不安薬などが必要となることもあります。

そのほか、病気が原因で引き起こされるうつ病の場合には、原因となる病気の治療に必要な薬が用いられます。

精神療法

薬物療法と同時に行うことが多いのが精神療法です。

医師や臨床心理士と対面して会話をしていくなかで症状の改善を目指します。また、絶望感や自己否定感など実際の状況にふさわしくない感情が強いときは、その考えと現実との歪みを修正する“認知行動療法”がよいとされています。

電気けいれん療法

薬物療法や精神療法などで大きな効果が見られず、自殺念慮が強い場合や食欲が全くない場合など、非常に重度な症状が見られる場合に行われる治療です。

麻酔をかけたうえで頭皮に装着した電極から脳に電流を流してけいれん発作を誘発します(ただし、筋弛緩薬(きんしかんやく)を用いて一部の筋肉を除き大部分の筋のけいれんは抑制させて行うのが通常)。週に2、3回で3~4週間程度行われます。はっきりしたメカニズムは分かっていませんが、この治療によってうつ症状が劇的に改善していく場合が少なくありません。しかし、この治療は体への負担が大きいため、実施にあたっては慎重な検討が必要です。

経頭蓋磁気刺激療法

薬物に反応しにくい患者に対して、磁気を用いて前頭葉に電流を発生させ、この領域を活性化させることで治療します。通常は、週5日で6週間繰り返し刺激します。

リワーク

薬物療法などで一定の改善はしたが、職場復帰までには今一歩という患者に対して、デイケアなどに通所しながら、通勤や仕事に慣れていくことを目指すリハビリテーション治療です。

予防

うつ病はストレスが誘因になることが多いので、ストレスが過度にならないように、無理な仕事は引き受けない、相談相手をもつなどの精神衛生的配慮をしておくことが大切です。

また、適度な運動と十分な睡眠を心がける、バランスのよい食事を取る、インターネットやゲームに過度の時間を費やさないなどのライフスタイルでの心がけが予防に有効です。

実績のある医師

周辺でうつ病の実績がある医師

恵比寿駅前メンタルクリニック 院長

すぎもと あずさ
Web予約対応

心療内科、精神科

東京都渋谷区恵比寿南1丁目3-7 隅越ビル3階

東京メトロ日比谷線「恵比寿」 徒歩1分

日本大学医学部附属板橋病院 精神神経科 部長

すずき まさひろ

血液内科、腎臓・内分泌内科、糖尿病・代謝内科、循環器内科、呼吸器内科、消化器・肝臓内科、腫瘍内科、脳神経内科、心療内科、小児科・新生児内科、精神科、皮膚科、消化器外科、心臓外科、血管外科、小児外科、呼吸器外科、乳腺・内分泌外科、形成外科、脳神経外科、整形外科、リハビリテーション科、産婦人科、泌尿器科、耳鼻咽喉科、眼科、放射線診断科、放射線治療科、疼痛緩和外科、麻酔科、歯科口腔外科、病理診断科、臨床検査科、救急科

東京都板橋区大谷口上町30-1

東武東上線「中板橋」バス・タクシー乗り場なし 徒歩20分、東京メトロ有楽町線「千川」国際興業バス 日大病院行 バス10分

東京慈恵会医科大学附属第三病院 院長

なかむら けい
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内科、血液内科、リウマチ科、外科、脳神経外科、呼吸器外科、消化器外科、腎臓内科、小児科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、歯科口腔外科、麻酔科、乳腺外科、呼吸器内科、循環器内科、腫瘍内科、消化器内科、肝臓内科、糖尿病内科、内分泌内科、代謝内科、膠原病内科、脳神経内科、肝胆膵外科、肛門外科、内分泌外科、頭頸部外科、精神神経科、総合診療科、病理診断科

東京都狛江市和泉本町4丁目11-1

京王線「国領」小田急バス(約4分):狛江駅北口・狛江営業所行 第三病院前下車 徒歩12分、京王線「調布」南口  京王バス つつじケ丘駅南口行、小田急バス 成城学園前駅西口・渋谷駅・二子玉川駅・狛江駅北口行 慈恵医大第三病院前下車 バス10分、小田急線「狛江」北口  小田急バス 慈恵医大第三病院行、武蔵境駅南口・調布駅南口行、  京王バス 調布車庫前行、調布駅南口行 慈恵医大第三病院前下車 バス10分

慶應義塾大学医学部 ヒルズ未来予防医療・ウェルネス共同研究講座 特任教授

きしもと たいしろう

内科、血液内科、リウマチ・膠原病内科、外科、精神科、神経内科、脳神経外科、呼吸器外科、消化器外科、腎臓内科、心臓血管外科、小児科、小児外科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、産科、婦人科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、歯科、歯科口腔外科、麻酔科、乳腺外科、呼吸器内科、循環器内科、消化器内科、内分泌内科、代謝内科、放射線診断科、放射線治療科、精神神経科、総合診療科、病理診断科

東京都新宿区信濃町35

JR中央・総武線「信濃町」 徒歩1分、都営大江戸線「国立競技場」A1出口 徒歩5分、東京メトロ丸ノ内線「四谷三丁目」1番出口 徒歩15分、東京メトロ銀座線「青山一丁目」0番出口 徒歩15分

六番町メンタルクリニック 非常勤

ひらしま なつこ
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心療内科、精神科

東京都新宿区左門町2-6 ワコービル 4階

東京メトロ丸ノ内線「四谷三丁目」3番出口 徒歩2分、都営新宿線「曙橋」A1出口、A4出口 徒歩10分、JR中央・総武線「信濃町」 徒歩10分、東京メトロ丸ノ内線「四ツ谷」1番、2番出口 徒歩12分

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