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パニック症(パニック障害)の診断方法とは?〜動悸や息苦しさ、めまいなど13症状のうち4つ以上が当てはまる場合にパニック発作と定義される〜

パニック症(パニック障害)の診断方法とは?〜動悸や息苦しさ、めまいなど13症状のうち4つ以上が当てはまる場合にパニック発作と定義される〜
清水 栄司 先生

千葉大学 医学部附属病院認知行動療法センター センター長(教授)

清水 栄司 先生

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パニック症(パニック障害)は100人あたり1人程度がかかる病気で、20~30歳代によくみられ、女性は男性の2倍かかりやすいとされています。この病気では突然、動悸、息苦しさ、めまい、寒気やほてり、吐き気などの症状が現れ、「死んでしまうのではないか」といった恐怖を感じることもある発作を起こすことが特徴で、これをパニック発作といいます。また、パニック発作が繰り返し生じるようになり、「また発作が生じるのではないか」という不安を感じて、1人でいることができなくなったり外出が困難になったりすることもあります。

では、どのような基準でパニック症と診断されるのでしょうか。また、どのような場合に受診を検討するとよいのでしょうか。

パニック症は、アメリカ精神医学会による“DSM-5(精神疾患の統計・診断マニュアル第5版)”と呼ばれる診断基準等をもとに、医師が問診によって診断します。

以下では、DSM-5をもとにパニック発作およびパニック症の定義や実際の診断基準についてお伝えします。

パニック発作とは、動悸、息苦しさ、めまい、寒気やほてり、吐き気などによる突然の発作を指します。発作は急に生じ、数分のうちにピークに達した後、次第に落ち着きます。

DSM-5では、以下の13症状のうち4つ以上の症状が現れる場合をパニック発作と定義しています。

  • 動悸や心拍数の増加
  • 発汗
  • 体の震え
  • 息切れや息苦しさ
  • 息が詰まるような感覚(窒息感)
  • 胸痛や胸の不快感
  • 吐き気
  • めまいや気が遠くなる感覚
  • 寒気やほてり
  • しびれやうずきなどの知覚異常
  • 非現実感
  • コントロールを失う恐怖
  • 死ぬことへの恐怖

パニック発作があった場合、DSM-5では以下のような診断基準によってパニック症を診断しています。

DSM-5によるパニック症の診断基準

  • 上で述べたようなパニック発作が繰り返し生じる
  • パニック発作によって1か月以上「また発作が生じるのではないか」という持続的な不安がある、あるいは発作に関連する行動を回避したり変更したりする
  • 発作の原因が何らかの薬物や病気によるものではない
  • 発作の原因が社交不安症や強迫症など、ほかの精神疾患によって説明できない

パニック症は、パニック発作への不安が強くなり行動に制限が生じ、日常生活に支障が生じる状態を指します。うつ病などそのほかの精神疾患を併発することも多いので、早期発見・早期治療を行うことが大切です。

以下では、パニック症のセルフチェックについて解説します。当てはまる項目が多い場合、気になる症状がある場合には病院の受診を検討しましょう。

  • きっかけがなく、動悸、息苦しさ、めまい、吐き気、体の震え、非現実感などパニック発作が急に現れることがある
  • これらの発作が繰り返されている
  • 「また発作が生じるのではないか」という不安がある
  • 発作の恐怖から、電車、飛行機などの公共交通機関の利用や外出などの行動が難しくなったり、1人でいることが怖くなったりしている

パニック発作によって動悸や息苦しさ、胸の痛み、めまい、吐き気などさまざまな症状が現れ、ときに「死んでしまうかもしれない」という恐怖で救急車を呼ぶ人もいます。また、その症状から最初は心臓や呼吸器などの重い病気を疑って内科などを受診する人もいますが、パニック症の発作の場合は、体の病気ではなく不安の病気であるため、血液検査、心電図、画像検査などをしても異常がみられません。

このため、パニック発作があるにもかかわらず検査で異常がみられない場合にはパニック症を疑い、心療内科・精神科の受診を検討しましょう。

パニック症は治療によって症状の改善が期待できる病気です。日常生活に支障があって困っているならば、症状が悪化したり、うつ病などのほかの精神疾患を併発したりする可能性もあるため、早めに病院の受診を検討しましょう。

また、病院の受診をためらう場合には、地域の保健所などにある“精神保健相談”を利用することも検討するとよいでしょう。

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