インタビュー

うつ病をとりまく環境

うつ病をとりまく環境
平安 良雄 先生

医療法人へいあん 平安病院 法人統括院長・臨床研修センター長、横浜市立大学 名誉教授

平安 良雄 先生

この記事の最終更新は2016年04月22日です。

記事3」では、うつ病とストレス・年齢の関係性についてお伝えしました。ここではうつ病には必ずついて回る問題である薬について、そして患者さんとその周囲ことにおける問題点について横浜市立大学病院 精神科 診療部長・主任教授 平安良雄先生にお話をお伺いしました。

現状、うつ病の治療において薬を使い過ぎていると思いますし、これは大きな問題です。

薬はいわば万能感を持っているので、医師も「何かを治してあげられる・治さなければいけない」と思いますし、患者さんも「治してほしい・治療すれば治る」と思っています。薬で治る病気もありますが、自分の力で回復する部分も当然あるので、薬に頼る=治るわけではないのです。

これは例えるなら、骨折肉離れなどを起こした時、治療薬を飲むことで骨や筋肉が元に戻るわけではないことと同じです。回復するために、体操・トレーニング・ウォーキングなどのリハビリテーションを行うように、心の病気もリハビリテーションで回復するのです。今まで運動をしていなかった方が病気・怪我をきっかけに、少しずつ運動を行い、病気・怪我前よりも体が強くなることもあります。心の病気の場合も同じで、もとに戻れる場合もありますし、さらによくなる場合もあります。

「薬を飲んだら治る」という医師はおそらく少ないはずです。しかしその少ない医師がクローズアップされ、「薬漬けだ」「精神科の医療は間違っている」といわれますが、実際はそうではなく、本来は患者さんに合わせた治療している先生が多いのです。

「投薬と休養で治らない場合もあるのか」と聞かれることもありますが、これは当たり前のことです。患者さんの置かれている環境・状況・育ち方・もともと持っている脳の力などが関係するので、薬と休養だけで治ると十把一絡げにしてはいけません。

どのような生活を送っているか・どのような生い立ちだったか・学校でどうたったのか・年齢によって対人関係はどう変わったのかとか、ということをしっかりと聞いて、その方の考え方・頑張る方法・周りの方が患者さんをどのように解釈しているのか・周りの方のことをどう考えているのか、ということなどをトータルで鑑みて、患者さん治療に関する認識を合わせると治療のゴールが見えますし、ゴールや生き方の修正を行うことで患者さんも良い方向に回復します。 

患者さんにとって一番良いのは自分らしく生きていけるところに落ち着くことです。そのために、病気のパターンや、その人の状況にあわせて治療を行うかということが重要です。

ただ「なぜ家族が気づけなかったのか」ということになると、「なぜ早く気づいてあげられなかったのか」「気づけない私が悪かった」となり、悪循環を生んでしまいます。当然様々な啓発を行い周囲の方に気づいてもらうのは大事ですが、ご家族や周囲の方が気づかなくても悪くはないのです。ですから、「うつ病に気づいてあげられなかった」と、ご自身を責めたりはしないでください。

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    慶應義塾大学医学部 ヒルズ未来予防医療・ウェルネス共同研究講座 特任教授

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    六番町メンタルクリニック 非常勤

    ひらしま なつこ
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    心療内科、精神科

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