インタビュー

各国におけるうつ病の現状と自殺率

各国におけるうつ病の現状と自殺率
平安 良雄 先生

医療法人へいあん 平安病院 法人統括院長・臨床研修センター長、横浜市立大学 名誉教授

平安 良雄 先生

この記事の最終更新は2016年04月22日です。

記事1」では、日本においてうつ病の患者さんが増加していることをお伝えしましたが、世界における状況はどのようになっているのか。また、自殺との関連性について横浜市立大学病院 精神科 診療部長・主任教授 平安良雄先生にお話をお伺いしました。

世界各国のうつ病の発症率が調べられていますが、日本・韓国・中国など東アジアにおいて経済的に発展している地域は、うつ病の発症率が極めて少ないことがわかっており、実は日本人はうつ病になりにくいのではないかといわれています。

WHO(世界保健機関)が発表しているデータによりますと、日本人では1年間に全人口の約3%前後がうつ病を発症し、アメリカでは約5%~6%、一番多い地域は中東諸国やアフリカ諸国で約15%、特にアフガニスタンは約20%とかなり高い結果でした。アフガニスタンは戦時下であり毎日そのような状況下にいると、うつ病になることは病気ではなく、うつ病でいることがむしろ当たり前なのではないかと想像できてしまうほど、過酷な状況なのでしょう。

現在、日本でうつ病患者さんが増えてきているといいましても、人種・環境・経済的状況や総合的なファクターから鑑みると、まだ日本人はうつ病になりにくい民族ともいえます。だからこそ、うつ病になってしまった方は立場が無いということもいえます。

日本では国民性・固定概念・意識もあり、根性で乗り切れる人は強いというイメージがあるので、たとえうつ病になっていても、「ならない」と頑張らなくてはいけない、隠さなめればならないという状況に陥っています。そして皮肉なことに、うつ病が最終的にいきつくところは「自殺」なのです。

日本・韓国など東アジアにおいてはうつ病の発症率が極めて少ないとお伝えしましたが、逆に日本や韓国の自殺率は世界でも有数に高くなっています。うつ病は比較的広く知られた病気であり、早期治療に繋がっている人も増えている一方、まだ多くの方が受診に至っていないので、最後の手段に手を出してしまうことが、精神科領域・社会学においてかなり大きな課題となっています。

経済的な回復も大きいですが、うつ病の治療・理解・啓発が比較的進んだことが功を奏したのか、幸い自殺者は一時に比べ少しずつ減っており、また、中高年の自殺者も減っています。

逆に中東諸国やアフガニスタンは自殺者が少なく、そもそも置かれている環境上、戦争・栄養障害・感染症で亡くなってしまうが多いので、自殺者が少ないということも考えられます。また、イスラム教は自殺を禁止しているのでその影響もあり、自殺者が少ないのではないかと思います。

 

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