インタビュー

自閉症と遺伝—自閉症の発症は遺伝と関係?

自閉症と遺伝—自閉症の発症は遺伝と関係?
宮本 信也 先生

白百合女子大学 教授(副学長)

宮本 信也 先生

目次
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この記事の最終更新は2018年02月26日です。

自閉症は遺伝するのか、と考えている方がいらっしゃるかもしれません。結論からいうと、自閉症そのものが遺伝するというよりも、自閉症の特徴の一部が伝わる、という考え方になります。自閉症と遺伝の関係について、筑波大学 副学長・理事/附属学校教育局教育長の宮本信也先生にうかがいます。

自閉症を含む発達障害は、発達障害そのものが伝わるというよりは、発達障害の特徴が別々に伝わるものと考えられています。

たとえば、自閉症の特徴として「A.こだわり」「B.マイペース」「C.話が通じにくい」「D.言葉の遅れ」の4つがあるとします。Aと関連する遺伝子が伝わればAの特徴が伝わるかもしれませんし、A、Bの特性と関連する遺伝子が伝われば、AとBの特徴が伝わるかもしれないのです。

Aの特徴だけであれば自閉症の診断基準を満たさないことから自閉症と診断されず、「ちょっとこだわりが強い子」となるでしょう。A〜Dのすべての特性がみられると、自閉症と診断される可能性があります。

このように、一口に発達障害の特徴が遺伝するといっても、1つの特徴だけしか伝わらない場合もあれば、複数の特徴が伝わって発達障害の診断基準を満たすこともあるのです。

発達障害の特徴の一つひとつを取ってみると、似たようなところは誰しも一つや二つは当てはまるものでしょう。このように、発達障害の特徴の一つひとつをみれば、それは誰にでも多少はあるような特徴で、生まれつきのものなのです。

これが複数組み合わさって、本人がいる社会的状況(学校生活や仕事など)や時代に合わなくなると、特性による問題が生じやすくなる、つまり発達障害と判断されます。もちろん、診断基準を満たさず発達障害と診断されない場合であっても、生活上の困難がある場面では支援や配慮が必要です。

ですから、本人の発達障害特性そのものをどうにかしようというよりも、社会全体で発達障害の方にはどのような支援が必要か考え、支援を整える体制が求められます。

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