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発達障害の一種である自閉症スペクトラム障害の特徴とは〜気になる症状や特徴が見られた場合の対応〜

発達障害の一種である自閉症スペクトラム障害の特徴とは〜気になる症状や特徴が見られた場合の対応〜
太田 晴久 先生

昭和大学 発達障害医療研究所 准教授

太田 晴久 先生

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自閉症スペクトラム障害(ASD)とは、自閉性障害、アスペルガー障害などを含む脳の発達障害の一種で、“自閉スペクトラム症”“自閉症スペクトラム”と呼ばれることもあります。

自閉症スペクトラム障害の症状はさまざまあり、その重症度や知的障害が伴うかどうかによって抱える問題が異なりますが、典型的な例では対人関係やコミュニケーションにおける障害、パターン化した興味や活動などの特徴を持つといわれています。

本記事では、自閉症スペクトラム障害の特徴や気になる症状が見られた場合の対応、診断までの流れについて詳しく解説します。

自閉症スペクトラム障害は、対人コミュニケーションの問題やパターン化した興味や活動などを主な特徴とする発達障害の一種です。もともと自閉性障害(いわゆる自閉症)という病気は知的障害を伴う患者も多く、その大半が日常生活を送るために支援が必要となることから、まれに発生する重度な障害として認知されていました。しかし、近年では言葉の遅れや知的障害がなくても自閉症の特性を持ち、社会生活に支障が出ている人がいることが分かりました。それらの障害は、“アスペルガー障害”“高機能自閉症”などの医学的診断名がつけられ認知されるようになり、現在では重症度や知的障害の有無にかかわらず、自閉症の特性によって生活に支障が生じている人を総括して”自閉症スペクトラム障害”と呼ぶようになりました。

自閉症スペクトラム障害の罹患率は1.46%で、およそ68人に1人がかかっていると考えられます。また、男性は女性のおよそ4倍かかりやすいといわれています。

自閉症スペクトラム障害の症状は多彩で、患者の年齢や知的障害の有無などによっても異なります。障害の特性は生後2~3年の幼年期に明らかになることが多いですが、知的障害を伴わない場合や症状が軽い場合には大人になってから初めて診断されることもめずらしくありません。以下では幼年期に現れる典型的な特徴を解説します。

  • 言葉の習得が遅い
  • 名前を呼んでも返答がない
  • 他人とのアイコンタクトが少ない
  • 一人遊びが多い
  • 表情が乏しい
  • 落ち着きがない
  • 変化に対応することが苦手
  • 音やにおいなど感覚刺激に敏感
  • 電車の時刻表や図鑑など知識の習得に没頭する

など

言葉の習得の遅れは、幼年期の自閉症スペクトラム障害の代表的な症状として知られています。しかし、患者の中には言葉の習得に遅れのない人もおり、保育園・幼稚園などに入り集団生活を送ることで初めて対人関係の不器用さなどから病気が明らかになるケースもあります。

自閉症スペクトラム障害を疑う症状や特徴が見られた場合、まずは専門家に相談することを検討しましょう。

相談先は、かかりつけの小児科や児童精神科、発達障害の専門外来などの医療機関、もしくは地域の保健センターや子育て支援センター、発達障害支援センターなどの福祉施設でもよいでしょう。

自閉症スペクトラム障害の診断は、アメリカ精神医学会の診断統計マニュアル(DSM)や世界保健機関(WHO)の国際疾病分類の診断基準を基に行われます。自閉症スペクトラム障害は、現時点では血液検査の数値などから診断を行うことができず、脳画像検査での診断についても研究段階です(2020年5月時点)。そのため、症状の観察や聞き取りから得られた情報を基にしてこれらの診断基準に当てはめて診断を行います。

自閉症スペクトラム障害は、現段階で根本的な治療はありません(2020年5月時点)。しかし、イライラや不安など付随する精神症状に対しては薬物療法で症状を和らげるほか、患者それぞれの発達ペースに合った療育やサポートを早期に開始することによって、日常生活を安定して送れるようになります。そのため早期に診断を行い、家族や周囲の人が病気を理解したうえで年齢やライフステージに応じてサポート体制を変えながら長期的に支援していくことが大切と考えられています。

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