インタビュー

大人の発達障害の種類とその症状・特徴――自閉症スペクトラムとADHD、LD

大人の発達障害の種類とその症状・特徴――自閉症スペクトラムとADHD、LD
本田 秀夫 先生

信州大学医学部 子どものこころの発達医学教室 教授

本田 秀夫 先生

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この記事の最終更新は2015年07月07日です。

発達障害には、特徴的なものが3種類あります。以下にひとつひとつの症状と特徴を示していきます。しかし、「これらはオーバーラップすることも少なくありません。そのため、現場ではなかなか一概には分類できない」(本田秀夫先生)ようです。また、発達障害の特徴はデメリットになることもあればメリットになることもあります。発達障害の原因や遺伝との関係なども含めて、本田秀夫先生にお答え頂きました。

「自閉症スペクトラム」とは「臨機応変な対人関係が苦手で、自分の関心・やり方・ペースの維持を最優先させたいという本能的志向が強いこと」を特徴とする発達障害です。場合によっては「ちょっと変わった人」程度で済んで、問題なく日常生活を送れることも十分にあります。

イメージとしては「融通がきかない」「ちょっとこだわりが強い」というものです。ポジティブな方向にいけば、「ブレずに自分のペースをきちんと守り、コツコツがんばり続けること」ができる人になります。しかし、不適切な環境におかれると、自閉症スペクトラムは自閉症スペクトラム「障害」になってしまい、実際に問題が出てしまうこともあります。

自閉症スペクトラムの方は一定数存在するとされており、具体的な数字としては人口の1~2%存在すると報告されています。現在調査中ですが、最新のわが国の研究ではさらに多く3~5%程度という報告が出されています。また、男性の方が多いとされています。

なお、「自閉症スペクトラム」は「広汎性発達障害」とほぼ同じ概念を指すものです。この中に、自閉症やアスペルガー症候群、特定不能の広汎性発達障害などが含まれます。これらはそれぞれ特徴があるのですが、これらはオーバーラップすることもあり、互いの境界線を引くのは極めて厳しいため、最近では「自閉症スペクトラム」という言い方が一般的となっています。

自閉症スペクトラムについてさらに詳しくは、「自閉症スペクトラムとは―特徴と症状、どんな人が当てはまるのか?」をご参照ください。

ADHD」とは、一言でいえば「そそっかしい」人です。医療用語で表現すると、多動や衝動性、不注意などの要素があります。「環境次第では集中しきれない」「長時間ダラダラしていたと思ったら急に集中してものすごい勢いで始める」といった表れ方をする人もいます。このタイプは、コツコツやらないと結果が出ない仕事はあまり得意ではありません。学校の先生からもあまり評価されないことがあります。しかし、「とても活動的であり、とてつもない集中力で短期間に非常にスピーディーに仕事を進めていく人」もいます。また、男性の方が多い(女性の数倍)と報告されています。ADHDは、以下の2つのタイプに分類されます。

  1. 多動、衝動性優位型:多くは大人になるとそれほど多動ではなくなる。ただし,ソワソワして落ち着かない状態は残ることが多い。
  2. 不注意優位型:うっかりミスや忘れ物が多い。まとまった時間の仕事に集中できない。

女性には不注意優勢型の方が多いのではないかといわれています。子どもの頃には特に目立たないのですが、大人になってから仕事のミスが多いことで気づかれます。

知的発達には概ね問題がないのに「読み、書き、算数」のいずれか(重なることもあり)が苦手です。周囲に気づかれないことも多くあります。学習障害に関しては、大人になって学校の勉強から解放されると、読み・書き・計算が苦手でもあまり困らない環境で働くことで障害が目立たずにすむケースも多くあります。

はっきりとした原因は分かっていませんが、基本的には生まれつきのものと考えられています。
遺伝の要素は強いとされています。たとえば、一卵性双生児における発達障害の一致率が高い(双子が二人とも同じく発達障害となる)ことが知られています。遺伝的な要因に加え、生まれる前後くらいまでの環境的な要因も影響する可能性が指摘されていますが、水銀との関連などのように否定されているものもあります。

前述したように、基本的には遺伝との関連は「ある」と考えられています。ただし、少し難しい話になりますが、メンデルの法則に従うほどの強い遺伝様式ではないため、多因子遺伝の可能性が指摘されています。

自閉症スペクトラム

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