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インタビュー

公開日 : 2015 年 07 月 06 日
更新日 : 2017 年 05 月 08 日

発達障害とは―大人の発達障害、検査・診断はどのように行うのか

信州大学医学部附属病院子どものこころ診療部 診療教授
本田 秀夫先生

「仕事を長く続けることができない」「忘れっぽい」「すぐにものをなくしてしまう」「仕事場で適切なコミュニケーションをとれない」「すぐに先走ってしまい、失敗する」「時間を管理することができない」……よくあることのように思えます。ひょっとすると、こういう方が周囲にいるかもしれませんし、自分自身がそうだという方もいるかもしれません。

実はこれらは「発達障害」の特徴です。「発達障害」という言葉は最近広まりつつあります。お聞きになったことがある方もいるかもしれません。発達障害を持つ方は人口の10%程度いると考えられており、「よくあること」です。発達障害を持ちながら、まったく問題なく日常生活を送られている方もいます。一方で、生きづらさを感じていたり、トラブルを抱えていたりする方もいます。

発達障害のオピニオンリーダーであり、この分野の臨床経験では世界的にトップクラスの信州大学診療教授、本田秀夫先生にお話をお聞きしました。

大人の発達障害とは

発達障害は生まれつきのものです。しかし特に知能の遅れがない場合には、「少し変わった人だ」と認識されながらも普通に大人になっていくケースが多くあります。むしろ、学校の勉強などにおいてはとても優秀な成績で、受験勉強などにおいては成功することもあります。

しかし、学校の勉強までは順調にいったものの、就職をすると問題が現れてくる場合があります。社会人になれば、周囲とコミュニケーションを深くとらなければならないシーンがより多くなります。ここで初めて対人関係でつまづき、さまざまな問題が出現するというケースがあるのです。周囲が「もしかして発達障害ではないか?」と気付く、あるいは本人がインターネットなどで情報を得て受診するなどで、成人になってから初めて発達障害と診断されるようなこともあります。

また後述するように、発達障害の人は大きなストレスにさらされます。それにより、うつなどの精神障害を引き起こしてしまうこともあります。それらへの治療をしている間に「実は発達障害であった」ということが明らかになることも多くあります。

大人の発達障害を診断することの難しさ

大人の発達障害においては、本人に全く自覚がなく、受診を拒否する場合があります。たとえば、職場などでコミュニケーションの問題が原因でトラブルが起きているにもかかわらず、自分のせいだとは思えない場合などがあります。

発達障害を診断するためには、幼少期の状況を検討することが必要な場合も多くあります。当時の資料や記憶があいまいで、きちんとした情報が得られないケースも多々あります。そのため、子どもの発達障害に比べて診断が難しくなる傾向があります。

発達障害の検査、診断はどのように?

行動観察や過去の話をしっかり聞いて、紐解いていく必要があります。子どもの頃からそのような性質が見られたかどうかの確認もしていきます。ここでは、心理テストなどを用いながら診断していきます。

画像や脳波などの検査機器を用いた、いわゆる客観的指標による診断も試みられてはいます。しかしここ何十年間、発達障害だけでなくさまざまな精神科分野で、こうした診断の進歩は少しずつにとどまっています。

発達障害、どれくらいの人がいる?

発達障害は「大人の発達障害の種類とその症状・特徴―自閉症スペクトラムとADHD、LD」で説明するように、「自閉症スペクトラム」などを含む広い概念です。全部あわせると、人口の10%程度の方はこれに当てはまるのではないかと推測されています。精神科領域でも特に多いとされている、とても一般的なものです。

ポジティブに捉えられるケースでは「活動的」「行動力がある」「言いたいことが言える」という評価を受けている方もいれば、一方では「空気が読めない」「コミュ障」といじめの対象になってしまったり、「発達障害とは―大人の発達障害から起きる二次的な問題について」で説明するような二次的な問題を引き起こしていることもあり、様々です。

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