
「仕事を長く続けることができない」「忘れっぽい」「すぐにものをなくしてしまう」「仕事場で適切なコミュニケーションをとれない」「すぐに先走ってしまい、失敗する」「時間を管理することができない」……よくあることのように思えます。ひょっとすると、こういう方が周囲にいるかもしれませんし、自分自身がそうだという方もいるかもしれません。
実はこれらは「発達障害」の特徴です。「発達障害」という言葉は最近広まりつつあります。お聞きになったことがある方もいるかもしれません。発達障害を持つ方は人口の10%程度いると考えられており、「よくあること」です。発達障害を持ちながら、まったく問題なく日常生活を送られている方もいます。一方で、生きづらさを感じていたり、トラブルを抱えていたりする方もいます。
発達障害のオピニオンリーダーであり、この分野の臨床経験では世界的にトップクラスの信州大学診療教授、本田秀夫先生にお話をお聞きしました。
発達障害は生まれつきのものです。しかし特に知能の遅れがない場合には、「少し変わった人だ」と認識されながらも普通に大人になっていくケースが多くあります。むしろ、学校の勉強などにおいてはとても優秀な成績で、受験勉強などにおいては成功することもあります。
しかし、学校の勉強までは順調にいったものの、就職をすると問題が現れてくる場合があります。社会人になれば、周囲とコミュニケーションを深くとらなければならないシーンがより多くなります。ここで初めて対人関係でつまづき、さまざまな問題が出現するというケースがあるのです。周囲が「もしかして発達障害ではないか?」と気付く、あるいは本人がインターネットなどで情報を得て受診するなどで、成人になってから初めて発達障害と診断されるようなこともあります。
また後述するように、発達障害の人は大きなストレスにさらされます。それにより、うつなどの精神障害を引き起こしてしまうこともあります。それらへの治療をしている間に「実は発達障害であった」ということが明らかになることも多くあります。
大人の発達障害においては、本人に全く自覚がなく、受診を拒否する場合があります。たとえば、職場などでコミュニケーションの問題が原因でトラブルが起きているにもかかわらず、自分のせいだとは思えない場合などがあります。
発達障害を診断するためには、幼少期の状況を検討することが必要な場合も多くあります。当時の資料や記憶があいまいで、きちんとした情報が得られないケースも多々あります。そのため、子どもの発達障害に比べて診断が難しくなる傾向があります。
行動観察や過去の話をしっかり聞いて、紐解いていく必要があります。子どもの頃からそのような性質が見られたかどうかの確認もしていきます。ここでは、心理テストなどを用いながら診断していきます。
画像や脳波などの検査機器を用いた、いわゆる客観的指標による診断も試みられてはいます。しかしここ何十年間、発達障害だけでなくさまざまな精神科分野で、こうした診断の進歩は少しずつにとどまっています。
発達障害は「大人の発達障害の種類とその症状・特徴―自閉症スペクトラムとADHD、LD」で説明するように、「自閉症スペクトラム」などを含む広い概念です。全部あわせると、人口の10%程度の方はこれに当てはまるのではないかと推測されています。精神科領域でも特に多いとされている、とても一般的なものです。
ポジティブに捉えられるケースでは「活動的」「行動力がある」「言いたいことが言える」という評価を受けている方もいれば、一方では「空気が読めない」「コミュ障」といじめの対象になってしまったり、「発達障害とは―大人の発達障害から起きる二次的な問題について」で説明するような二次的な問題を引き起こしていることもあり、様々です。
ここまでに述べたような発達障害の特徴が自分に当てはまると思う方は、一定数おられるはずです。しかし、「自分は発達障害かな?」と思ったとしても、「発達障害とは―大人の発達障害から起きる二次的な問題について」で紹介するような二次的な問題がない場合や、自分も周囲も困っていない場合は、何もする必要がありません。個性を生かして充実した人生を楽しんで下さい!
しかし、社会生活の中で何らかの生きづらさを感じているようであれば、専門機関に相談してもよいかもしれません。大人を対象とする精神科で発達障害の診療を行っている医療機関か、あるいは「精神科」を訪れることに躊躇してしまうような場合は、県か政令指定都市に発達障害者支援センターがあるので問い合わせてみましょう。
信州大学医学部 子どものこころの発達医学教室 教授
周辺で発達障害の実績がある医師
国立精神・神経医療研究センター 病院外来部 特命副院長/外来部長/てんかんセンター長
内科、外科、精神科、脳神経外科、小児科、整形外科、リハビリテーション科、放射線科、歯科、麻酔科、脳神経内科、児童精神科
東京都小平市小川東町4丁目1-1
西武多摩湖線「萩山」南口 病院シャトルバス運行 徒歩7分、JR武蔵野線「新小平」病院シャトルバス運行 徒歩10分
昭和大学 発達障害医療研究所 准教授
内科、精神科、歯科、歯科口腔外科
東京都世田谷区北烏山6丁目11-11
京王線「千歳烏山」西口 徒歩10分、JR中央本線(東京~塩尻)「吉祥寺」小田急バス 昭和大学附属鳥山病院下車すぐ バス、小田急線「成城学園前」小田急バス 千歳烏山駅北口下車 徒歩7分など バス
国立成育医療研究センター こころの診療部 フェロー
内科、アレルギー科、血液内科、リウマチ科、外科、心療内科、精神科、神経内科、脳神経外科、腎臓内科、心臓血管外科、小児科、小児外科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、歯科、矯正歯科、小児歯科、麻酔科、呼吸器内科、循環器内科、消化器内科、免疫科
東京都世田谷区大蔵2丁目10-1
小田急線「成城学園前」南口 バスの利用も可能(所要時間約10分 小田急バス/東急バス 国立成育医療センター前下車 徒歩1分) 車5分、東急田園都市線「用賀」成城学園前駅行 国立成育医療センター前下車 徒歩1分 バス15分
有明こどもクリニック豊洲院 非常勤医師
小児科、内科、アレルギー科
東京都江東区豊洲5丁目5-25
東京メトロ有楽町線「豊洲」6A出口 ゆりかもめも利用可(徒歩4分) 徒歩3分
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