インタビュー

自閉症スペクトラムとは――特徴と症状、どんな人が当てはまるのか?発達や大人になってからの不安について

自閉症スペクトラムとは――特徴と症状、どんな人が当てはまるのか?発達や大人になってからの不安について
本田 秀夫 先生

信州大学医学部 子どものこころの発達医学教室 教授

本田 秀夫 先生

目次
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この記事の最終更新は2015年07月08日です。

「自閉症スペクトラム」とは「臨機応変な対人関係が苦手で、自分の関心・やり方・ペースの維持を最優先させたいという本能的志向が強いこと」を特徴とする発達障害の一種です。「少し変わった人」程度で済んで、問題なく日常生活を送れることも十分にあります。

イメージとしては「融通がきかない」「少しだけこだわりが強い」というものです。ポジティブな方向にいけば、「ブレずに自分のペースをきちんと守り、コツコツがんばり続けること」ができる人になります。しかし、不適切な環境におかれてしまうと日常生活に様々な障害を及ぼしてしまうことがあります。
この記事では「自閉症スペクトラム障害」という言葉ではなく、「自閉症スペクトラム」という言葉を使いながら説明していきます。なぜなら、「自閉症スペクトラム」は障害になるパターンもありますし、障害にならないパターンもあるからです。

自閉症スペクトラムにおいて有名な著書があり、この分野の臨床経験において世界的なトップクラスにおられる、信州大学診療教授の本田秀夫先生にお話をお聞きしました。

自閉症スペクトラムは、「広汎性発達障害」とほぼ同じ概念を指すものです。この中に、自閉症やアスペルガー症候群、特定不能の広汎性発達障害などが含まれます。これらはそれぞれ特徴があるのですが、これらはオーバーラップすることもあり、互いの境界線を引くのは極めて厳しいため、ここでは「自閉症スペクトラム」という広い言い方をします。

ここから、自閉症スペクトラムの特徴について述べていきます。自閉症スペクトラムは、以下の2つの症候が組み合わさって出現します。

  • 対人交流とコミュニケーションの質が異常であること
  • 著しく興味が限局すること、パターン的な行動があること

もちろん、人によって強弱がありますし、多かれ少かれ皆が持っている個性であることもあります。これが強く出てしまった場合にのみ、社会的生活に困難を引き起こします。
ひとつひとつを具体的にみていきましょう。

対人交流とは、他人の情動に対してどう反応するか、喜び・興味や達成感を分かちあうときの姿勢のことなどを指します。視線・表情・姿勢・友人関係なども含まれます。

自閉症スペクトラムの人は……

  • ひとりでいることを好む
  • 受け身な態度の対人交流
  • 一方的すぎる対人交流
  • 人情に配慮することに疎い

自閉症スペクトラムの人は、言葉を用いたコミュニケーションにおいて以下の特徴があります。

  • 話し言葉が遅れている
  • 「おうむ返し」が多い(エコラリア、反響言語とも言われます)
  • 話すときの抑揚が異常である
  • 言語による指示を理解できない
  • 会話をしていてもかみあわない
  • 敬語が不自然である
  • 皮肉を言っても通じず、たとえ話がわからない

また自閉症スペクトラムの人は、言葉を用いない(非言語的)コミュニケーションにおいて以下の特徴があります。

  • 身振りや指差し(体の動き)が理解できない
  • 目線、眼差し(目の動き)が理解できない
  • 言外の意味が理解できない
  • 話の文脈が理解できない
  • 特定の物事に対して強い興味をもつ
  • 特定の手順を繰り返すことにこだわる
  • 常同的な動作を繰り返していく
  • 興味をもった領域に関して膨大な知識を持つ

(鉄道、天文学、生物、地理、コンピュータ、テレビゲームなどさまざまなパターンがあります)

自閉症スペクトラムの人の中には、社会で大成功を収めていたり、少々変わった人程度で済んでしまっているケースもあります。一方、非常に生きづらく、厳しい人生を送っている状態の方もいます。

前述したように、自閉症スペクトラムは障害になるパターンもありますし、障害にならないパターンもあります。障害にさせないためには、「できることをしっかりやっていき、個性を伸ばしていく」「できないことは無理をせずやらない」という考えのもと、その人に合った環境を考えていきます(これは自閉症スペクトラムの人に限ったことではありませんが)。自閉症スペクトラムの方は、環境さえ合えば大きな力を発揮することもあるからです(本田先生が取り組んできた支援については「自閉症スペクトラムの方への支援―子どもの頃からの継続的なサポートが重要」を参考)。

ここまで書いたような特徴が自分に当てはまると思う方は、一定数いるはずです。しかし、「自分は自閉症スペクトラムかな?」と思ったとしても、生活の上で自分も周囲も特に困っていなければ、何もする必要はありません。個性を生かして充実した人生を楽しんで下さい!

しかし、社会生活の中で何らかの生きづらさを感じているようであれば、専門機関に相談してもよいかもしれません。大人を対象とする精神科で発達障害の診療を行っている医療機関か、あるいは「精神科」を訪れることに躊躇してしまうような場合は、県か政令指定都市に発達障害者支援センターがあるので、問い合わせてみましょう。

  • 自閉症スペクトラムの原因はあるのか?

大人の発達障害の種類とその症状・特徴―自閉症スペクトラムとADHD、LD」参照。

  • 自閉症スペクトラムは遺伝との関連はあるの?

大人の発達障害の種類とその症状・特徴―自閉症スペクトラムとADHD、LD」参照。

  • 自閉症スペクトラムの検査、診断はどのように?

発達障害とは―大人の発達障害、検査・診断はどのように行うのか」参照。

  • 自閉症スペクトラムの支援・治療は?

大人の発達障害の支援―就労支援機関、就労に必要なスキルについて」・「発達障害への精神科治療―カウンセリングと薬物療法」参照。

自閉症スペクトラム

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    本田 秀夫 先生

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